大分トリニータのサポーターへ

2010.01.08

大分トリニータのサポーターから、いろんなメールをいただいた。
一言で言うと、甘い!

昨年末に大分トリニータの経営陣が作成した経営再建計画は、西日本新聞によると、なんと来期の年間支出13億円、内チーム人件費5億5千万円。

昇格した湘南ベルマーレの今年度のチームスタッフ人件費が5億4千万。
経営安定化資金に手をつけると来期の昇格はないが、そのチームが今年J1昇格を果たしたチームと同額近いチーム人件費というのはおかしい。

再建するためには、収入以下に支出を抑えなければならない。来期昇格のない、そして借金を返さなければならないクラブのチーム人件費5億4千万円は、はっきり言ってどうなのか!?

多すぎるだろう。
チーム人件費を切れるだけ切らなければ再建はできない。

ちなみにベルマーレのチームスタッフ人件費は昨年度が5億円、19年度が4億3千万円、18年度が3億5千万円だった。
それでも最後まで昇格争いに絡んだ..数学的な可能性だけでも。

難しいのは、人件費を切りすぎて、昇格の可能性が全くなくなると観客動員に影響が出て、収益が悪化する。しかし、トリニータは経営安定化資金に手をつけてしまった以上、来期の昇格はもともと無いのだから、この心配はいらない。借金を返せるだけはやく返して昇格の可能性が出てきてから人件費のことで悩めばよい。

しかも、チーム人件費が5億5千万円で、トータルの支出が13億円というのはいったいなんなのか。
ベルマーレの今年度は、人件費5億4千万円で総費用10億6千万円。昨年度は人件費5億円で総費用9億7千万円。
トリニータの支出は、もっとずっとずっと削れるはずだし、削らなければ。

僕がベルマーレの代表取締役を命ぜられたときは、元の親会社だったフジタがベルマーレのすべての負債を引き受けてくれて、とりあえずゼロからの出発だったのに対して、トリニータは経営安定化資金を返していかなければならないから、ベルマーレよりも再建はもっと厳しい。

僕は代表取締役就任直後にサポーターに集まっていただいて、アウェイゲームに行ってもベルマーレの収入にならないからアウェイには行くな、その代わりホームゲームに友達を連れてきてくれと言って、張り倒された。

それでも初年度に、市民株主を募集して一億円以上の増資をすることができた。サポーターにクラブのウェブサイトの運営から選手食堂の皿洗い(「前園のなめたスプーンを洗ってください!」)までボランティアでお願いした。

クラブの再建は、甘いものじゃない。湘南ベルマーレだっていつなくなるか、いつなくなるかと心配されていたが、川淵チェアマンや小長谷さんのご支援をいただいて、綱を渡ってきた。
眞壁現社長の苦労は筆舌に尽くしがたいものがある。

J2で黒字を出しているクラブはきわめて少ない。そのなかで黒字を出して安定化資金を返済していくのは、並大抵のことではできない。そして、それができなければクラブはなくなるのだ。

「大分のサポーターだって頑張っているんです」
もちろんサポーターが頑張らなければクラブは存続できない。それが大前提だ。だけど、サポーターが頑張っていれば存続できるほど甘くない。Jリーグがトリニータに求めているのは9億円規模までの支出削減だ。それができなければ安定化資金は出ない。ならばサポーターが支出削減を経営陣に迫るべきだ。

「三位以内に入れば県が助けてくれると言っているから来期昇格の可能性だってあるんです」
こんなふざけた話はない。三位以内なら助けるなら、今助けて、Jリーグに基金を返却するべきだ。安定化資金を六億円も食いつぶすでたらめな経営でリーグに迷惑をかけておきながら、一年でJ1復帰などというべきではない。一年で復帰などと甘いこと考えるから支出削減すらできない。

「経営安定化資金に手をつけたクラブは半人前だというのですか」
そのとおりだ。

トリニータがつぶれれば、Jリーグに大きな影響がある。それをさけるためにもトリニータの経営再建が必要なのだ。再建するためには、収入以下に支出を抑えなければならない。

J2にはレッズ戦もなければアントラーズ戦もない。ナビスコカップもない。コンサドーレのサポーターがいったい何人大分に来てくれるのか。ホーリーホックやザスパがどれだけコアでないサポーターをスタジアムに連れてきてくれるのか。

我々はこの十年、サポーター一人一人が身体をはってベルマーレを守ってきた。だから今回の昇格がある。

トリニータサポーターは、もう少し、現実を直視しなければ。



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