大分トリニータのサポーターへ-その2
2010.01.10
大分トリニータのサポーターから寄せられたメールの中に、今、トリサポがやるべきことは何なのか、トリサポにできることは何なのかという質問があった。
全く僕の私見だが、トリサポが今、やるべきことがいくつかある。
その1
トリニータの公式ウェブサイトをみても、経営状況や再建計画の詳細がわからない。これだけの経営問題で、サポーターに募金までお願いしている状況なのだから、サポーターが経営陣に働きかけて、まず、ウェブサイトのわかりやすいところに今期までの財務諸表と今後の経営再建計画を載せさせるべきだ。
いただいたメールの中には「シーズンパスがこれまでのように売れていない」とか、「シーズンパスの売れ行きがすごく悪いようだ」といったコメントが寄せられている。
トリニータ経営陣が提出した再建計画は、たしかシーズンパスの販売を来期は今期よりも大幅に増加させて、17000席を販売する前提で作られていたはずだ。
J2に落ちたチームが、シーズンチケットをそれまで並みに売り切るのは非常に難しい。大幅にその枚数を増加させるというのは、実現性がかなり薄い。
13億円の予算というならば、シーズンパスの大幅増だけでなく、スポンサーの大幅拡大というものも含まれているだろう。
そうした再建計画がどれほど実現の可能性があるものなのかをチェックするためにも、経営に関する数字を公開させるべきだ。
サポーターの募金は集まったのに、経営陣がやるべき売り上げの確保ができなくて赤字になってしまったということになりかねない。
その2
二月末までにサポーターが募金を五千万円を目標に集めると聞いている。これはこれで大事なことだが、なぜ募金なのか。募金では、経営側に義務も責任も発生しない。
トリサポは、クラブに、市民株主による増資を迫るべきだ。
サポーターは、株主になることによって、今後もクラブ側に経営の透明性の確保と説明責任を果たすことを要求することができる。募金だけでなく、増資に参加して、ステークホルダーとしての役割を一歩前進させるべきだ。
もちろんサポーターの中にはサッカーが好きだから地元のチームを応援しているので、クラブの経営には興味がないという人も大勢いるだろう。すべてのサポーターがクラブ経営に興味を持つ必要はない。しかし、一部のサポーターがクラブの経営をきちんと見ていることがとても大切だ。
そして、クラブのために募金してくださいというよりも、あなたもトリニータのオーナーになりませんかというほうが、たぶん、声をかけやすい。
その3
サポーターの間で、奇跡は起きない、山は一歩一歩自分の足で歩いて登るという意思統一をすべきだ。
どうにかなるかもしれないという気持ちがあると、経営再建のために厳しく支出を切ることができない。
今のトリニータを見ていると、まずサポーターがその覚悟を決めて経営陣に現実を直視させる必要があるのではないか。
全国のJリーグのクラブのサポーターにとって、大分トリニータの問題は、他人のクラブの問題ではない。我々のJリーグの問題だ。
そして、クラブの経営の安定は、トリニータだけでなく多くのJ2クラブや少なからぬJ1クラブの悩みの種である。
もっと各クラブの経営を安定させるためにリーグとしてどうするのか、という議論がオープンな場で、活発に行われるべきだ。
ナビスコカップからのJ2の排除は、J2のクラブがJ1のチームを相手にホームゲームで売り上げを上げる機会を失わせた。
移籍金の廃止が経営母体の小さいクラブに与えるダメージはとてつもなく大きい。
このクラブ経営の状態で、Jリーグが言うように、J2とJFLとの入れ替えをすれば、JFLに落ちたチームは経営が成り立たなくなるだろう。
そろそろリーグとして、クラブの経営をどうしていくのか、ひろく議論する場をつくるべきだ。