外務委員長のお仕事

2008.09.29

外務省の政策棚卸しで、本省予算とODAにわけて実施して、そのときにテーマにしようと思っていたことがある。
残念ながら、政策棚卸しはだいぶ先になってしまいそうだが、それならば、外務委員長としてきちんと問題提起をしようと。
せっかくの委員長職、5日間でもやれるだけやるぞ。

というわけで、外務委員長のお仕事、その1。

これまでの日本政府の有償資金協力は、政府と相手国政府が交換公文を結び、その上で実施主体であるJBICが相手国政府と融資契約を結んでいた。その融資契約の中で、環境社会配慮ガイドラインを守ることがうたわれていた。措置条項としてガイドライン違反があれば融資を止めたり、期限前返済を求めることもできた。

一方、無償資金協力はこれまでは日本政府と相手国政府の交換公文だけ。この中にはガイドラインがらみの条項はない。
今年10月新JICAが発足すると、無償資金協力の実施主体もJICAになり、政府間の交換公文だけでなくJICAと相手国政府の贈与契約が結ばれることになる。

このJICAの贈与契約に環境社会配慮ガイドラインを守ることとかけばよいのだが、一つ問題が出てきた。
無償資金協力と有償資金協力の交換公文の文言が違うのである。

これまでの有償資金協力の交換公文は
The loan will be made available by loan agreements to be concluded between the Government of 相手国 and the Bank.  The terms and conditions of the Loan as well as the procedures for its utilization will be governed by the said loan agreements…

これに対して無償資金協力の交換公文は
For the purpose of contributing to the execution of the project for 案件名 by the Government of 相手国, the Government of Japan will extend to the Government of 相手国, in accordance with the relevent laws and regulations of Japan, a grant up to \\\…

つまり、有償資金協力ではJBICがガイドラインに基づいて融資を止められるのに、無償資金協力ではJICAではなく日本政府が意思決定することになる。JICAが実施主体になる10月以降箱の無償資金協力の交換公文を修正し、新JICAが実施主体としてガイドライン違反に対してプロジェクトを止めることができるようにしなければならないのだが、外務省はその作業をせずにごまかそうとしているように見える。

無償資金の実施主体はJICAということにしながら外務省が権限を握り続けたいという意図があるとしたら、そりゃけしからん。
10月分からの交換公文の文書の修正を外務委員長としては、確認をしていきたい。

外務委員長のお仕事、その二。
ODAに関して、国別の事業展開計画というものがある。
JICAとJBICの現地事務所と現地大使館がタスクフォースをつくり、外務省本省が最終決定する。
すでに80カ国程度の国に対する計画が策定されている。が、外務省は、これを公開しない。相手国政府が承知していないから。

ODAは日本の納税者の納める税金で実施される。相手国の承知の前に日本の納税者の承知が必要だ。
これを公開できないのなら、ODA予算はつけるべきではない。

外務委員長のお仕事、その三。
なんども指摘してきたことだが、カンボジアの国道一号線の拡張に関する立ち退きの補償がガイドライン違反になっているにもかかわらず、JICAと外務省が何も行動を取らない。

この春、あまりのいい加減さに怒り心頭に来て、爆発したことがあるが、その後、外務省はカンボジア政府に働きかけて再補償をさせた。が、ようするに、その再補償の根拠がまるで不明なのだ。
カンボジア政府がやったIRC調査(Inter-ministerial Resettlement Committee調査)に基づいた補償だそうだが、その調査内容が公開されないのだ。補償の額がどうのではなく、補償の仕方が不透明だというのが問題だということを外務省はまるでわかっていない。

しかも移転された住民の生計のことについては何も対策がない。
外務省曰く、「カンボジア政府と対話を継続しています」。で、いつまで対話してるのか。

この状況で第三期の交換公文を締結しようという動きがある。
いいかげんにせーよ、外務省。

こうして日本の税金が海外で無駄に使われようとしているにもかかわらず、外務省の記者クラブから、何の問題提起もないのはどういうことか。

ODAに興味のないジャーナリストばかり集まっているのか、毒まんじゅうを食っているのか。
各社とも、外務省のクラブには、政治部を送るのをやめて、社会部から記者を送ったらどうか。
それよりも記者クラブを解体する方が有効だが。



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