2002年6月21日号

2002.06.21

健保法の記名採決の後、呼び出しの馳浩代議士が、議員辞職勧告決議案を提出する。
議長が、馳浩君の動議にご異議ございませんか、と型どおりに諮るので、思いっきり大声で、異議ありーっ、と叫ぶ。本会議場中に聞こえたと思う。と、綿貫議長、何事もなかったかのように、ご異議なしと認めます。
衆議院の本会議も、どこかの株主総会のように、あらかじめ決められたことを、シナリオどおりにシャンシャンと進めるだけになってしまった。
ここで退席する。

夜、ジブチ大使の音頭で、外交団が快気祝いをしてくださった。
ロシア、チュニジア、スウェーデン、メキシコ、南アフリカ..と負け組みが勢ぞろいしたね、とお互い顔を見合わせる。審判のレベルが低いという話題に始まり、クリケットとサッカーの両方の選手だった南アフリカ大使が、クリケットはいかにしてこの問題を解決したかということを説明する。
が、某国大使、いや、でも予選で負けて、ほっとしたところもある。
決勝リーグへ行っていたら、VIPが大勢押しかけてきて、切符の手配から何から大変だった。みんな、本音はそうだろ?
今日の議員辞職勧告決議案の話題になると、なんで、裁判で有罪になったわけでもないのに、辞職勧告をするのかと、みんなから質問攻めに会う。
南アフリカの大使が、わが国は、自分たちの国の歴史の経験から、人権を守るということに、細心の注意を払っている。一時の激情で、これを犯してはならない、と。

議院運営委員会の委員になっている議員から、愚痴を聞きました。
極めて短時間の中で、法務大臣の説明と鈴木代議士の弁明を聞き、全く両側の話が違う中で、さあ、決めろといわれても、本当に、決められるか。鈴木宗男という人物だから、話の中身はどうでも賛成するというのが決まっていたというのが本音だ。もし、えっ、この人が、という議員に対して、許諾請求が出され、本人は全否定するなかで、こんな短時間で、証拠の提示も何もなく、決められるか。
大体、秘密会ということで、誰がどういう発言をしたかということは秘密のはずなのに、なんで新聞に出ているのだ。

今日の本会議の後、議員の中には、法律論をぐだぐだ言うなという人もいる。おい、おい、法律で、人権や制度を守っているのではないか。自分の感情が高ぶってくると、法律はどうでも良いのか。

鈴木宗男は悪い奴ではないのか、という人もいる。こんな悪人をお前はかばうのか、と。
確かに、鈴木宗男は悪い奴だと思う。国民の大部分もそう思っているだろう。だが、だからといって、ここで、感情的になって決議案による議員辞職などの前例を作ったらどうなるのか。
もし暴走した権力が、ある議員に目をつけ、マスコミに、この議員が賄賂をもらっている、脱税している、云々の情報を流す。マスコミはこの議員をたたき始め、それに乗じた権力は、逮捕許諾請求を求め、院は、これを認める。
そこで、今度は裁判も始まっていないのに、院は、院の意思の表明だといって議員辞職を求める。この議員が辞職せざるを得なくなる。
と、いうことにつながる第一歩なのだ。

民主主義の危機だなんて、大げさな、というご意見もいただきました。
ぼくは、大げさではないと思います。
何度も言うようですが、つい最近も、与党の言いなりにならない議長の首が飛ばされました。つまり、日本の国会の議長は、議事の整理をする力がなくなっています。与党が数の力にモノを言わせようとするときに、これを止めるのが議長です。しかし、最近の議長は、与党の人事のローテーションの一つになってしまい、与党の暴走をチェックできなくなっています。危機は、今、そこにあるのです。
異議ありませんか、と尋ねて、異議ありという声を聞いていながら、ご異議なしと認めます、と議事が進んでしまう。あるいは、今日の採決で、久間代議士が反対(起立しなかった)にもかかわらず、議長は総員賛成ということにしてしまった。国会の運営が、極めて形式的、あるいは形骸化してしまった。民主主義の風化は始まっています。

民主党の鳩山代表は、与党の責任は重いではないか、と発言されていました。そのとおりです。鈴木宗男代議士を比例名簿に載せ、当選させた自民党の責任は確かに重い。しかし、だから、気に食わない奴は、辞職勧告で追い出せというところに、本来ならばつながりません。政党の責任と院の行為は分けて考えなければなりません。
鳩山さんのやるべきは、自民党は、この責任をどう考えるのか、どう、再発防止をするのか言ってみろ、と問うことです。いい加減な対策ならば、それを批判するのが筋です。

お前も理屈こねながら、結局は鈴木宗男をかばっているだけではないか、という人もいます。
一期生のときに一生懸命やった外務委員会の運営改革を全てぶち壊され、さんざん、国賊呼ばわりされ、去年一年間、外務委員会の理事会で戦い続けた議員を、なんでかばわなきゃいかんのか。
僕が守りたいのは、日本の民主主義です。



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