2002年6月20日号

2002.06.20

明日、鈴木宗男代議士に対する議員辞職勧告決議案が本会議で採決される予定です。
私は、採決に当たり、退席します。

私は、鈴木宗男代議士とは、昨年、外務委員会の理事同士として、対立し続けてきましたし、政治家鈴木宗男を全く評価しません。ことここに至っては、鈴木宗男代議士は、自発的に議員辞職するべきだと思います。しかしながら、この決議案を本会議で採決するのは間違っていると思います。
主権者たる国民が選んだ議員を、選ばれた方の議員が多数決で、その議員という身分を剥奪しようとするのは、民主主義の基本に反していると思います。
一度、選挙で選ばれた議員は、その任期中、院の品位を汚して除名されるか、自発的に辞職する以外に、議席を失うことはありません。
これは、権力を持つものが、それを濫用して、議会に圧力をかけることがないようにするためです。
過半数で可決されるような決議案で、議員の身分をもてあそぶに等しいこの行為は、許されるべきではありません。少数派である野党が、この決議案の採決を求めているのは、権力の怖さを知らない、スタンドプレーであると思いますし、いままで、正当にこの決議案の本会議上程を否定してきた与党国対が、ここでこれを認めたことにも憤りを感じます。
もし、逮捕されたことが、与党国対の態度を変えたとしたのならば、これは間違っています。
鈴木宗男代議士をかばう気持ちは全くありませんが、法治国家である日本では、裁判で有罪となるまでは、無罪と推定されるはずで、逮捕されたから即、有罪ではありません。逮捕され、起訴された場合と在宅で起訴された場合に差が生じるのでしょうか。
逮捕という行為も、権力者の行為であり、逮捕イコール議員の身分を留保するということならば、権力側は、気に入らない議員を逮捕するだけで、目的を達してしまいます。

これは、拘束力がない、勧告決議案なのだから、そう目くじらをたてるな、という方もいらっしゃいますが、最初から無視されても構わないような決議を採択することは、院の権威を結果として失わせることになりかねません。
三月二十日付けのごまめの歯ぎしりにも書きましたが、日本の国会は、すでに、ゆがめられています。民主主義の危機は、静かに忍び寄っていたりもするのです。
そのよい例が、議長の権威です。すでに議長職は、自民党議員の人事ローテーションの中に組み込まれ、形骸化しつつあります。
参議院の選挙制度改革の審議のなかで、自民党の参議院執行部の意に反した議長が、辞めざるを得なくなったのは記憶に新しいところです。本来ならば、議長裁定は、極めて重いはずです。それが、あっさりと無視されてしまった、そして、与党の意のままにならない議長の首が飛んだ。私は、これは非常に大変なことだと思っています。
国会運営のルールが時に無視される、ということが現実に起こったのです。
昔の議長は、例えば少数の野党に七、与党に三というスタンスで、与党が横暴なことをやろうとしたら、議長が本会議のベルを押さないで、止めた、ということもありました。
たかが、一つの議員辞職勧告決議案だから、拘束力はないのだから、あいつは悪いやつだから、と、感情的に決議案を上程することは、民主主義の基礎にひびをいれることにつながると思います。

もちろん、鈴木宗男代議士を比例名簿に登載し、当選させた自民党の責任は否定できません。
自由民主党は、その存在価値をかけて、ここで、正すべきは、自らきちんと正す必要があります。
自民党は、こうした疑惑を持たれかねない候補者を事前にきちんと排除する自浄能力を持たなければなりませんし、同様の疑惑がある代議士の次回選挙での公認を取り消すべきです。現職は、無条件で公認などということはできません。これは、公党として、避けては通れません。
鈴木宗男代議士の復党は二度とありえませんし、北村代議士の小選挙区での当選を果たすために、総裁、幹事長、そして野中広務代議士が、全力を挙げて選挙運動をするべきです。

私は、鈴木宗男という人間のために、日本の民主主義が揺らぐことは避けたいと思います。



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