2003年4月3日号

2003.04.03

今の日本は、原発から最終的に出てくる高レベル放射性廃棄物を最終的に処理することができない。
中間貯蔵というなど呼び方はともかく、問題を先送りしていることは間違いない。トイレのない家に住んでいるのと全く同じ。そして、日に日にその問題は大きくなっている。
国会議員、官僚、地方自治体、電力会社の原発推進派は、そんなことにおかまいなく、もっと原発をつくれ、もっと利権を大きくしろ、もっと補助金を増やせの大合唱だ。
しかも、そのために平気で法律を新たに作る。党内の議論で反対すれば、桜井新参議院議員のように、うるさい、反対するならば、お前離党しろ、とか、悪名高い加納参議院議員のように(原発問題以外では良いおじさんなのだが、原発になるとまるでジキルとハイドだ)変なことを言う人もいますが...で、党内ルールを無視してどんどん先に進む。
だから、こちらもそれならば、国会で反対しますよと、これまで本会議でもずっと反対し続けてきた。
昨日、経済産業委員会で、また原発を国策として推進し、新規立地を一生懸命にやるようなバカな法案と付帯決議が出てきたので、当然に反対した。
今朝、国対で、それが問題視され、経済産業委員会をクビになり、決算行政監視委員会に配属替えになる。
議員辞職勧告決議案への反対、産業再生機構法案への反対、そして原発推進に反対と、三連続の造反ということが大きな問題になった。
文句があるならば、与党審査(自民党の部会など)で反対しろというが、そんなおかしなことがあるか。
国会議員が有権者に見えないところでごちゃごちゃやってどうするのか。見えるところできちんと意見を言い、態度を表明しなければ、有権者はどう判断すればよいのか。
与党議員が閣法に反対するのはけしからんというが、自民党の長老の大半は、議院内閣制を間違って理解している。
政府の一員である大臣以下の政治家は、内閣の一体性に縛られ、閣法をはじめ、内閣のやることを全て支持しなければならない。できなければ閣外に去るしかない。
与党は、そうではない。内閣に属さない与党議員は、基本的に野党議員と立場は同じである。ただし、与党に属しているならば当然に考え方は政府に近いだろうし、政府に不利になることはなるべくやらないようにするだろうし、政府に反対ばかりしていればいつまで経っても総理から政府の役職に指名されないだろうから、自ずとそれなりの立場を取る。しかし、イギリスでも韓国でもどこでも与党が必ず閣法に賛成するとは限らない。
与党議員が自分の意見を言うと委員会をクビになるというのは、民主主義の議会のあるべき姿ではない。かつてのソ連や東欧の共産主義国家の議会のようだ。
早く言えば、今の自民党は民主主義政党ではなく、民主集中制の政党になってしまっている。派閥の上の方にいる人間は、誰に責任を負うわけでもなく、偉そうに振る舞い、下っ端は数あわせだから、言われたとおりに立ったり座ったりしろというのだ。議員としての自覚があれば、そうはしないだろう。
百五十日の会期で百本以上の法律を成立させなくてはならないというが、議会の目的は、単に形骸化したセレモニーをやるのではなく、きちんと議論し、それを国民にしっかり聞かせて、考えてもらうことにある。与党が多数を持っているのだから、法案は成立するのだ。政策を官僚任せにしてきた旧世代と日程闘争しかしない野党の間で、国会審議はだんだんと空虚なものになり、与党は完全に法案にハンコをおすことが国会の仕事だと認識するようになった。
だから議長は、ご異議ありませんかと尋ねておきながら、異議があってもご異議なしと認めてしまうし(本当かどうか知らないが、議長が後でどうなっているんだと議運を叱ったという噂もある)、自民党の若手は十年近く議員をやらないと本会議で話す機会すらもらえないということになる。お前らは自分の意見なんて言うな、ということだ。
それで、議員としての責任を果たしていることになるのだろうか。僕は違うと思うから、自分で重要法案だと思ったものは、委員会や本会議で自分の意思で立ったり座ったりする。と、上の方は、自民党の理屈、日本の国会の慣例を持ち出して、あの野郎はとんでもねえ!
日本企業のガバナンスが問題視されることがあるが、この国の国会のガバナンスはどうなんだ。企業統治の問題よりも議会統治の問題の方が大きいのではないか。
議員もマスコミも国会の運営、議会のあり方をほとんど問題にしなくなった。議員辞職勧告決議案のときも、僕だけでなく、久間さん以下欠席したり、岩屋さんのように静かに退場した議員も少なからずいる。
でも、マスコミの報道ぶりは全会一致で可決となっている。大体、こうした決議はおかしいと正論を吐いていた幹事長が、今回は何も言わずにさっさと採決させてしまうし。
議員立法が、国会法が定める手続きと大幅に現実は違っていることなど問題視している議員は少ないし、マスコミはほとんど気にしない。
国会の同意人事もその人の考え方もわからずに採決する今のやり方も意味があるのだろうか。
長時間内容の薄い質問が延々と続き、質問通告が前の晩で官僚が無駄で非人道的な国会待機を強いられ、大臣が海外出張もできない今の委員会で国が良くなると思っている議員はどれぐらいいるのか。
この国の経済問題が解決されないのは政治に問題があるからだ。政治が問題を解決できないのは、形骸化して役に立たない国会が大いに問題になっているからだ。
河野太郎を処分したいならばすればよいと思うが、それで国の問題は何も解決しない。だんだんと問題点に気がつき、フラストレーションがたまっていく若手の自民党議員が増えていくだけだ。
今日も、いろんな人が声をかけてくれたが、今の自民党のあり方がおかしいと思っている若手の数は増えつつある。積み上がった薪に火がつくまで頑張ろう。



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