99年11月24日号-2

1999.11.24

私の友人の新聞記者がベルリンからくれた電子メールです。
面白かったので転載します。
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13日から出張でベルリンに来ています。ベルリンでの米朝協議は、米国大使館と北朝鮮利益代表部が協議の場。ということは、待合室やロビーなどありません。ベルリンのどんよりとした寒空の下、外で何時間も待ってるのは、かなりしんどいです。
今回の協議中、最低気温はマイナス6度だったらしい。最高でも4?5度だったのではないでしょうか。正直言って、1日中、ずっと外で待っているというのはつらい。しかも、今回の協議は何日続くか分からなかったのです。みんな、協議の始まりを見届けると、近くのカフェに逃げ込んだりしてました。でも、米国大使館も北朝鮮利益代表部も、目の前にはカフェがないんですよね。終わった瞬間を逃すことはできないので、コーヒーを飲んでても落ち着かない。結局、1時間もしないうちに現場に戻ることになります。
それでも、午前中の協議は、まだましです。昼食を抜くことはないだろうから、正午過ぎに終わると予想できるからです。でも、午後の協議は、いつ終わるか分かりません。結局、最低でも2?3時間は「立ちんぼ」となってしまいます。
そんな状態なので、協議を終えた北朝鮮代表団に飛ぶ質問も「午後は何時から?」とか「明日の予定は?」なんていうのが、多くなります。韓国人記者からは「早く終わらせましょう」という声も飛んでました。協議の中身について質問しても、「協議は真剣な雰囲気の中で行われている」っていうのを繰り返すだけだったためでもありますが・・・。
最低気温を記録したのは、北朝鮮利益代表部で協議が行われた3日目の17日。どんよりとした厚い雲に覆われた嫌な天気だと思ってたら、雪が降ってきました。スキータイツにコールテンのズボン、上はTシャツ、スキー用のとっくりシャツ、厚手のシャツの3枚重ねにゴアテックスのぶ厚いジャケット、耳まですっぽり隠れる帽子、手袋、胸元など数ヶ所に「貼るほっかいろ」も忘れずにという完全装備でも、ツライ。ソウルやワシントンから出張で来た人やベルリンやパリ、ジュネーブ駐在で駆り出されてきた人など、日韓両国の20人近い記者たちが、日本語や韓国語、英語、ドイツ語などで(全員が使える共通の言葉はない)「寒いね?」とこごえていました。
すると、某テレビ局の韓国人記者が「はい、コーヒー」と紙コップを持ってきます。「どうしたの?」と、その先をのぞくと・・・。なんと韓国大使館が「差し入れ」を持ってきてくれたのでありました。中年の女性がポットに入れたコーヒーを配り、あん入りもちを路駐してる車の上に広げています。場の空気は、一気に柔らかくなりました。ワシントンから来た日本人記者の一人は、コーヒーを飲みながら「韓国の悪口を書く
やつは許さん」と、のたもうております。冗談ではあるけど、この場にいた記者たちの気持ちを代弁するものではありました。
おそらくは、インスタントのコーヒーだし、もちにしたって韓国料理店に行けば日本円で千円もしないものでしょう。それでも、やっぱりありがたかったなぁ。こういう小さいことの積み重ねって、意外に大きな結果をもたらすと思うんですが、いかがでしょうか。
最終日の19日は、午後の協議が5時スタートでした。「最後の協議かもしれない」というのは分かってるし、数分で終わる可能性もある。もう完全に日が落ちて、急速に冷え込む時間ではあるけど、終わるまで何時間でも待たざるを得ない。午後4時半すぎ、みんな覚悟を決めて米国大使館前に集まってきます。午後5時すぎに北朝鮮側が入って協議開始。10分たっても出てこない。と、そこでまたコーヒーが回ってきたのです。もちろん、韓国大使館。今回は、コーヒーだけじゃなくてショウガ茶というオプション付きにパウンドケーキまで用意されてます。僕はコーヒーだけもらったけど、やっぱり美味しかった。
韓国大使館がそんなことを考えてたとは思わないけど、外国メディアに対するイメージアップ効果はかなり高いです。大使館の本来業務ではないし、便宜供与を要求しようなんて誰も考えてないけど、その場の話題は、やっぱり日本との比較になりました。19日に至っては「東京の外務省職員に韓国大使館のことを話したら『えー!』と絶句してた」とか「ベルリンの日本大使館員も、話を聞いて考え込んでた」という話まで出てきます。結局、日本大使館は姿を見せないんですけど。でも、日本人記者はともかく、韓
国や米国、ドイツの記者に対する日本の「うけ」が全然変わるのに、こういう機会を見過ごすのはもったいないねという結論にいたりました。
19日午後の協議は結局、7時前に終わったものの、米国側代表が大使館から出てきたのは9時半。みぞれのぱらつく中、5時間近く外で震えてました。



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