力学試験v物理試験

2020.02.15

沖縄の辺野古で行われた調査の件に関して、予算委員会で質疑がありました。
 
しかし、どうもすれ違いだったようです。
 
予算委員会の質疑を聞き起こして、それに解説をつけてみました。

(カッコ内は解説です。)
 
予算委員会2020年2月12日(注:当方での聞き取りのままの抜粋)
 
○赤嶺委員 資料をお配りしてありますが、この問題に関わって海面から深さ90メートルまで軟弱地盤が続くB-27という調査ポイントで、政府がこれまで行っていないとしてきた地盤の強度を調べる力学試験を行っていたことがわかりました。
 
政府が、昨年3月、国会に提出した一連の調査報告書の巻末資料の中に、英文のデータが含まれておりました。
 
これによると、作業船の能力から地盤改良工事が出来ない70メートルより深い部分の強度は、政府の説明を大きく下回る3分の1程度しかありません。
 
防衛大臣に伺いますが、防衛省として、B-27の力学試験が行われていたことを知ったのはいつですか。
  
○河野大臣 キャンプ・シュワブの地盤につきましては、ボーリング調査の実施地点において、その際に採取した土の試料を用いて、土の強度を確認するための力学試験を行うとともに、コーン貫入試験の実施地点において、その際に採取した土の試料を用いて、土の種類を確認するための物理試験などを行うことによって、土の強度や土の種類の調査・分析を行ってきたところであります。
 
お尋ねのB-27につきましては、コーン貫入試験を行った地点であり、採取した土の試料について、土の種類を確認するための物理試験を実施しておりますが、土の強度を測るための力学試験は行っておりません。
 
一般的に、土の強度を測る力学試験を実施するためには、採取する前の状態をできる限り保つことができる専用の機材で土の試料を採取し、更にその分析に当たっては専用の機械を備えた施設内で行う必要がありますが、B-27地点では物理試験を実施することとしていたため、土の強度を測る力学試験に用いることのできる試料はそもそも採取しておりません。
 
(力学試験とは、ボーリング調査により、採取する前の状態をできる限り保った状態の土の試料を用い、専門の機械を用いて強度を測定する試験。 )

tes1 
(図A 三軸圧縮試験に使われる機器 採取した土の試料を、ゴムスリーブに入れ、側方から水圧により力をかけるとともに、縦方向から圧縮していくことで、土の強度を測る試験。 )

tes12
(図B 一軸圧縮試験に使われる機器 採取された土の試料を縦方向から圧縮していくことで、土の強度を測る試験。 )
 
このため、委員が力学試験と言われているB-27地点の試験結果については、力学試験を行うためではなく、物理試験を行うために、採取前の状態を保つことのできない方法で採取された土の試料を用いて実施されており、かつ、受注者が、船上において簡易な方法で行ったものでございます。
 
このような簡易な方法で行われる試験は、国土交通省港湾局が監修する「港湾の施設の技術上の基準・同解説」においても、土の強度を測るための力学試験として認められている試験ではありません。
 
その上で申し上げれば、ご指摘の試験の結果については、受注者が自主的に行ったものであり、2018年12月に、沖縄防衛局に対し、土質調査の報告書の巻末資料として提出され、昨年3月に国会に提出させて頂いているところでございます。
 
○赤嶺委員 今、長々と答弁頂きましたけど、つまり、B-27の力学試験のデータが、去年の3月、政府が国会に提出した資料の中に掲載されているわけですよね。
 
それは防衛大臣もお認めになりました。 力学試験のデータが載っているわけです。 それについての評価を色々言いましたけれども、そのデータは、持っていることはお認めになりますね。
 
○河野大臣 先ほど答弁をしたようにですね、お尋ねのB-27については、コーン貫入試験を行った地点であり、採取した土の試料について、土の種類を確認するための物理試験を実施しておりますが、土の強度を測るための力学試験は行っておりません。
 
一般的に、土の強度を測る力学試験を実施するためには、採取する前の状態をできる限り保つことができる専用の機材で土の試料を採取し、更にその分析に当たっては、機械を備えた施設内で行う必要があります。
 
B-27地点では物理試験を実施することとしていたため、土の強度を測る力学試験に用いることのできる試料は、そもそも採取しておりません。
 
委員が力学試験と言われているB-27地点の試験結果については、力学試験ではなく、物理試験を行うために採取前の状態を保つことのできない方法で採取された土の試料を用いて実施されており、かつ受注者が船上において、簡易な方法で行って得られたものでございます。
 
○赤嶺委員 長々と答弁すれば紛らわしくなって、分かりにくくなっていくと思って、大変長い答弁していると思いますがね、つまり、B-27の土は採取して、そしてみなさんが去年の3月に国会に提出した、しかしみなさんの手元にはおととしの12月に来ているわけですよ。
 
簡易試験であっても、そこに示されている数字は私たちのしんぶん赤旗が示しているように、これは力学試験のデータなんですよ。
 
あなたがたは、それは力学試験と認めたくないとおっしゃっているわけですが、これは力学試験のデータであることは間違いないわけですよ。
 
簡易であってもですよ、なんでこんなデータが載ってるんですか。 みなさんが発注した事業者がやったわけでしょ。 いかがですか。
 
○河野大臣 わかりやすく説明しますと、力学試験をやるためには、専用の機材を差し込んで、この土の状況をそっくりそのまま持ち上げて、それを施設に持って行って、X・Y・Zの3軸から圧力をかける、そういう専用の機材で測る、これが力学試験でございます。
 
このB-27はそうではなくて、コーンを貫入する物理試験を行う地点でございますので、そもそも下から上がってくる土は下の状況がそのまま維持されているものではありません。
 
(コーン貫入試験は、先端が円錐形になっている棒を地面に押し込み、先端についているセンサーで土の特性(先端抵抗、周面摩擦、間隙水圧)を測定し、土の種類等の確認を行う試験。
 
物理試験用の土の試料の採取は、金属製の筒(チューブ)を地面に押し込む方式。
 
この手法では、土に乱れが生じ、土の強度を測るために必要な土の試料を採取することはできない。 (地盤工学会))
 
そしてここで行ったのは、トルベーンという羽根のついたものを手で、船上でねじ込んで数値を測るという簡易的なものでございますから、力学試験とは全く違う数値でございます。

tes123
(図C トルベーン試験(イメージ))

tes1234
(図D ポケットペネトロメータ試験(イメージ))
  
これは力学試験ではございません。
 
○赤嶺委員 簡易な方法でやったデータは力学試験のデータですよね。
 
巻末に英文で載ってる資料の中に出てるデータ。
 
政府が使っているデータよりも3分の1も軟弱な地盤の数字が出てます。 これは物理試験のデータじゃないですよね。
 
いわゆる業者が簡易な方法でやった力学試験の結果ですよね。
 
そうじゃないですか。 それを力学試験とは認められないというのは、そりゃあ都合が悪いのは認めたくないはずですよ。
 
都合が悪いのは認めたくない、だから去年もですね、岩屋(前)防衛大臣がB-27の力学試験はやってません、と、700メートルも離れた遠いところのポイント、最大で700メートル、そこのですね、3箇所の地層とB-27の地層が似ているから、これは物質が堅いと、こういうことを言っていたわけですよね。
 
ところがみなさんが出したデータの中の巻末に、業者は力学試験の結果としてちゃんとデータが出てるじゃないですか。 これを力学試験のデータと認めないと、そうおっしゃりたいわけですよね。
 
○河野大臣 これは力学試験ではございません。
 
コーンを貫入するときに、コーンが小石やらなんやらに当たって異常値が発生したりすることがありますので、土を取り出したものが異常値がないかどうかを簡易的に調べているわけでございます。
 
本来のきちんと採取されたものにX・Y・Zの3軸から圧力をかけるというのが力学試験であり、また、X軸に大きな圧力をかけるのが力学試験でありますが、ここで言っているものは、下から上がってきた、つまり下の状況が維持されていない土に、羽根を手でねじ込んで、その連続性を確認しているものですから、全く力学試験ではございません。
 
これは全然別なもので、物理試験の試料がきちんとしたものになっているか、コーンが小石やらなんやらに当たって変な数値が出ていないか。
 
そういうものを確認するためのもので、力学試験とは全く違うものでございます。
 
○赤嶺委員 コーン貫入試験で採取した土は小石が混ざっていたんですか。 バラバラだったんですか。
 
そして業者は、一番巻末に載っているデータは、これは力学試験ではありません、これは物理試験のデータです、このように言っているんですか。
 
ちゃんと力学試験のデータだと書いてあるでしょう。 なぜそれを認めないんですか。
 
それ認めたら、軟弱地盤をちゃんと調査してなかったことが明らかになるから認めてないんじゃないですか。
 
なんかね、専門的なこと色々、色々言ってますがね、結局載ってるのは力学試験のデータなんですよ。 それは認めますでしょ。
 
○河野大臣 よく聞いていただきたいと思うんですが、そのコーンが小石にぶつかったりしていないか、それによって異常値が出ていないかというのを調べるわけでございます。
 
また、力学試験というのは、下の状況の物をそっくりそのまま持ち上げてこなければこれは下の状況の調査ができないわけで、ここでいっている物理試験に付随した土を採取して持ち上げたものというのは下の状況とは全く違う状況になっておりますから、これは力学試験でもなんでもございません。
 
○赤嶺委員 じゃあ、あのデータは何ですか。 あのデータは皆さんが委託した業者が出したデータですよね。 あのデータは何のためにあそこに載っているんですか。
 
○河野大臣 我々が委託したのは物理試験でございまして、受注者がその物理試験の結果と共に、その時におそらくとってきたデータに間違いがないんだよということを船上で簡易試験をやりましたよ、とつけているだけで、本来は必要ないものだと思いますが、それが巻末に資料としてついておりましたので、それをそのまま国会にお出しをしたものでございます。
 
○赤嶺委員 必要のないものだけれども、国会へ出す資料の中には入れておりましたと。 なんで必要のないものを業者はやったんですかね。
 
○河野大臣 業者としては、試験の結果がちゃんとしたものですよというものを確認するために自らそういう簡易的な試験をやってデータをとったわけですから、それをそのまま巻末におそらくつけてきたんだろうと思います。
 
我々としてはそれが巻末についておりましたのでそれをそのまま国会に提出させていただいた、それだけのことでございます。
 
○赤嶺委員 無責任な話ですよ。
 
簡易的なやり方であれ、力学試験をやったデータが載っている。
 
このデータは政府が示すデータよりも極めて軟弱な、三分の一も軟弱な、そういう地盤である。
 
これがですね、明らかになったらこれ一万ページもある資料の中の一番最後ですからね。 最後ですから。 なかなか見つけられないというのもあったとおもいますよ。 しかしね、それを業者は、じゃあ業者がそういうことを無責任にもしたのですか。 業者の責任はどうなんですか、こういうのは。
 
○河野大臣 度々申し上げておりますように、これは力学試験ではございません。
 
まずそれをはっきりご理解をいただきたいと思います。
 
業者は業者が受託した物理試験をきちんとやったよということを自ら確認するために、こういう簡易的な試験をやったんだろうと思いますが、その結果をちゃんとやってますよということでつけてきたんだろうという風に思っております。
 
これは力学試験でもなんでもございませんし、そもそも力学試験とは全く違う試験でございますし、羽を手でねじ込むというような簡易的な方法でございますから、それは全く違うということをまずご理解をいただかないとこの議論になりません。
 
○赤嶺委員 理解できないですね。
 
海外では大臣がさっきから一生懸命否定しているような簡易的なやり方での力学試験を公式なデータとして使っているところもあるんですよ。
 
これはね、今後、議論していきますよ。 じゃあ今回、私たちの赤旗や、あるいは他の東京新聞や毎日新聞や沖縄の新聞などが出しているそのデータは力学試験じゃないから、今後、今設計変更の作業をやっていると思うのですが、設計変更の作業には反映しないというような理解ですか。
 
○河野大臣 今おっしゃった赤旗のデータというのは、委員が資料としてお配りされた赤旗のデータだと思いますが、これは先ほどから何回も申し上げているようにそもそも力学試験でもなんでもございませんので、これは設計には反映されません。
 
○赤嶺委員 軟弱地盤でないことをですね、軟弱地盤であることを認めたくないために、しきりに防衛大臣、強引な答弁を続けておりますが、今後これまた今国会でも議論にしていきたいと思います。 だから、設計変更申請には反映しないということですね。 するかしないか、その点述べてください。
 
○河野大臣 繰り返しになりますが、これは力学試験でもなんでもございませんので、設計に供するものではございません。
 
○赤嶺委員 じゃあ引き続きそこは議論していきたいと思います。



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