海上警備行動で自衛隊は何ができるか

2020.02.16

2月2日に横須賀を出航した護衛艦「たかなみ」は、2月末にはオマーン湾に到着し、情報収集活動を始めます。
 
その際、「たかなみ」に対して、あるいは日本関係船舶に対して侵害行為があったとき、「たかなみ」は何をすることができるでしょうか。
 
まず、オマーン湾で情報収集中に「たかなみ」に対して侵害行為が起きたときは、自衛隊法95条の「武器等防護」に基づき、その事態に応じ合理的に必要と判断される程度、つまりその危険を除去するために必要最低限の武器の使用をすることができます。
 
情報収集活動中に、侵害行為を受けている船舶に遭遇した場合、「たかなみ」は、もしそれが他国の領海内ならば沿岸国、公海上ならば被害船舶の旗国への通報、あるいは侵害行為を行っている船への呼びかけ、必要な人命救助などの人道上必要とされる措置をとることができます。
 
旗国というのは、その船舶が登録され、その国旗を掲げている国のことを言います。
 
中東で、さらに緊張が高まり、自衛隊が日本関係船舶を侵害行為から保護する必要が生じると、内閣総理大臣の承認を得て防衛大臣が海上警備行動を発令します。
 
海上警備行動が発令された場合、日本籍船に加えて、日本関係船舶である外国籍船も保護の対象となります。
 
日本関係船舶とは、日本籍船、日本人が乗船する外国籍船、日本の船舶運航事業者が運航する外国籍船、日本の積荷を輸送している外国籍船であって日本国民の安定的な経済活動にとって重要な船舶を指します。
 
しかし、日本籍船と日本関係船舶である外国籍船では、「たかなみ」が取り得る措置に違いがあります。
 
国連海洋法条約で、公海においては旗国が船舶への排他的管轄権を有すると定められており、国際法上、旗国がその責任の下に船舶の保護を行うべきとされているため、日本籍船と違って日本船籍を持たない日本関係船舶の場合は、「たかなみ」のとりうる措置が限定されます。
 
日本籍船が侵害行為を受けたとき、「たかなみ」は、近接したり、呼びかけたり等の侵害の程度に応じた実力の行使を伴わない措置に加え、その事態に応じ合理的に必要と判断される程度で武器を使用することができます。
 
日本関係船舶である外国籍船が侵害行為を受けたときは、我が国が被る被害に比例する形で、近接したり、呼びかけたり等の侵害の程度に応じた実力の行使を伴わない措置を行うことが考えられます。
 
海上警備行動は、警察権の行使ですので、日本と全く関係のない船舶に関して、対処をすることはできません。
 
もし、日本関係船舶以外の船舶が侵害行為を受けているときは、沿岸国や旗国への通報や侵害行為を行っている船舶への呼びかけ、人命救助などの人道上必要とされる措置のみをとることができます。
 
また、公海上の海賊行為に関しては、国際法上、旗国主義の例外として、いずれの国でも管轄権を行使できます。
 
我が国も、2009年にこれを踏まえた国内法(海賊対処法)を制定し、この法律に基づき、現在に至るまで海上自衛隊の護衛艦と哨戒機が海賊対処を行っています。



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