またしても研究者の皆様へ
2016.12.01
まず、国立大学の職員の雇止め問題に関しては、文科省と厚労省が協議をすることになりました。
それを受けて、各国立大学が、単なる文言ではなく、客観的なルールを来年度の契約更新前までに策定し、提示することになる予定です。
文科省から個人研究費に関するアンケートの結果が出てきました。
科研費採択上位200大学(国立76、公立26、私立90、その他11)に所属する研究者10000人へのアンケートで、回答者数は3646人です。
ここでいう個人研究費の定義は、所属機関から当該研究者に対して自由な研究活動及び研究室の運営のために支給される資金で、科研費などの外部資金や所属機関によって共通的に控除される経費を除いています。
平成27年度に所属機関から配分を受けた個人研究費
10万円以下 14%
10-30 21%
30-50 25%
50-100 19%
100万円以上 18%
その他・不明 3%
年間の個人研究費は50万円未満が6割、100万円未満が8割。
理工系では50万円未満が5割、人文社会系・非実験系では8割。
10年前と比べ、個人な研究費が減少した研究者は4割、半減以下が2割。増加した者1割。国立大学では6割が減少。
国立大学の附属病院の教員を除いた、任期付きを含む本採用(正規雇用)の教員についての年齢階層別の割合です。
平成7年 平成10年 平成16年 平成22年 平成25年
平均年齢 45.5 45.8 46.9 47.6 48.0歳
教員数 52845 54423 56059 55972 56263人
25-39 34.0 33.3 28.6 25.9 24.4%
40-49 29.7 28.9 31.3 32.4 32.5%
50-59 27.0 29.0 28.3 28.3 29.6%
60歳以上 9.0 8.7 11.8 13.4 13.6%
若手の減少と60歳以上の増加は、国立法人化以前から始まっていた、つまり運営費交付金の減少前から始まっていたトレンドのような気がします。(25-39の教員の減少は平成7年から16年に5.4%減少、平成16年から25年に4.2%減少)
文科省資料による科研費の推移について
年度 応募件数 予算額(億円) 平均配分額(千円)
24 88,808件 2,566 2.411
25 93,888件 2,381 2,355
26 96,528件 2,276 2,270
27 99,475件 2,273 2,176
28 101,234件 2,273 2,143
行革本部と文科省との意見交換で明確になったこと。
研究者に無用な負担をかけないように、徹底的な業務の合理化が必要だということは合意。当然に大学のローカルルールもその対象になる。
文科省は研究の質が上がっていないことは認識しているが、研究の質を客観的にどうやって測るか、指標が明確になっていない。
研究の質が上がらないのはなぜか、文科省内でもコンセンサスがないようにおもえる。
科研費のような競争的資金から運営費交付金に予算を回すのか、科研費を増やして結果を求めるのか、どちらの流れで行くのか、あるいは限られた予算枠の中でどう優先順位をつけていくのか、データに基づいた
きちんとした議論が必要。
運営費交付金を配布する部局と科研費を配布する部局が異なっているのが、意思決定に影響しているという印象を強く受けた。
また、メガプロジェクトの成果をどう測るのか、メガプロジェクトと運営費交付金や科研費の間のやりくをどうするのか。