2003年2月18日号

2003.02.18

最近、イラク問題を巡っておかしな議論が行われている。
北朝鮮問題で、日本をアメリカに守ってもらわなければならないのだから、イラク問題ではアメリカを支持しなければならないという議論だ。
まったくおかしな議論だ。
日米安保は、それ自体で完結しているものであって、条件付きの条約ではない。日米安保は、アメリカの日本防衛と、日本の米軍に対する基地提供で成り立っている。
日米安保の枠内の問題については、日米同盟を機軸にして考える。
周辺事態に関しては、日米安保とガイドラインで対応する。
しかし、その外にある問題に対しては、日米関係を重視しながらも、日本の独自の判断である。
イラク問題で日本がアメリカを支持しなければ、北朝鮮問題で、日本を守らない等ということがあれば、日米安保に対する信頼性は無くなる。
イラク問題が人質になり得るならば、リンケージはどこまで広がるのか。中南米の問題も人質になり得るのだろうか。アフリカでの問題、例えばソマリア介入を日本が支持しなかったら、安保はほごにされるのか。
イラク問題は石油とも絡むから、安保の人質になりえるのなら、核の傘の問題だからとアメリカのCTBT脱退も日本は支持しなければならなくなるのか。そんな馬鹿なことはない。
北朝鮮問題があるから、イラク問題でアメリカを支持しなければならないのならば、そのうちアメリカは、安保のために米の関税を下げろと言ってくるのだろうか。
日米同盟は条件付きの同盟ではない。もし、そんな条件が付くならば、日本は独自の安全保障体制を構築すべきだし、私は反対だが、一部には核武装を唱える人も出てくるかもしれない。
もちろん同盟のパートナーを、罵倒する必要は全くないし、イラク問題に全く何もしないということではないが、言うべきことはきちんと言わねばならない。
国連決議が無ければ、アメリカの私闘である。国連決議があれば正当化される行動もあるが、日本は中東に於いてアメリカと立場が違う訳で、一枚岩にはならない。
いずれの場合にせよ、日本は、中東が直面する困難を打開する支援を中東に直接すべきである。
イラク問題でアメリカを支持するよりも、もっと日本国民の間に安保の重要性をきちんと伝えていくこと、米軍に関する報道に誤解があればそれをきちんと説明していくこと、地位協定の問題を解決していくこと等の方が、安保の強化にとって必要なことだ。
国民にきちんと説明もせず、いや、できずにイージス艦をインド洋に派遣するなどという馬鹿なことはやめた方がよい。
アメリカに関して、わかったようなことを言って、結果的に尻尾を振ってついて行くだけのことはもうやめよう。



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