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日本の電力
2026.09.01
アメリカによるイラン攻撃とその後のホルムズ海峡危機は、海外からの輸入エネルギーに頼る日本の脆弱性を浮き彫りにしました。
今後は、海外からの輸入に依存している化石燃料やウランなどに頼らず、国内で自給できる再生可能エネルギーをとことん増やしていくことが、日本の経済にも安全保障にも防災にも大きく役立ちます。
日本の電力消費は、1990年代から2000年代にかけて増加し、2007年から2010年頃にピークを迎えた後、2010年代から2020年代前半にかけて減少しました。
人口の減少や産業構造の変化、省エネ機器の普及に加えて、リーマンショックによる経済の停滞、東日本大震災後の節電などもあり、電力消費はピークから15%近く減りました。(図1)
また、原油の輸入量は2010年から2025年にかけて36%減少しています。
この間、電力に占める再生可能エネルギーの割合は、毎年1%ずつ上昇し、この10年で倍増しました。(図2)
私は日本の電力消費量がこのまま減少を続け、また、再生可能エネルギーの導入を加速し、年間2%ずつ増やしていくことができれば、2050年には火力発電や原子力発電に頼らず、再生可能エネルギーでエネルギーを自給することも視野に入ってくるのではないかと考えていました。
ところが最近、電力消費は再び増加し始め、今後、日本の電力消費量は、急増するとの予測もあります。
その第一の要因は、AIに関連する半導体とデータセンターによるものです。
AIを訓練するためには莫大な電力が必要です。また、データセンターを運用、維持するためにも電力が必要です。
第二の要因は脱炭素です。気候変動対策を進めるなかで、自動車はガソリン車からEVに、冷暖房や工場の動力などもガスや灯油、重油から電気に変わっていきます。
今後の電力消費量に関しては様々な予測が出されていて、国内の原発をフル稼働しても電力が足りなくなるという推計まであります。
たしかに国内で電力が足りなくなって個人情報などを載せた政府のデータセンターを国外で運用しなければならなくなったら大変です。
しかし、データセンターの電力需要は、「AIの利用量 × AIチップの電力消費 × データセンターの効率改善」で大きく変わります。
AIが爆発的に普及すれば需要は政府想定より上振れしますが、AI用の半導体やデータセンターの冷却設備の効率が急速に改善すれば、計算量が増えても電力需要はそれほど増えないでしょう。
政府は、2040年度の電力消費量を再エネで4から5割、原子力で2割程度、火力で3から4割程度を賄うとしています。
気候変動による災害の巨大化を見ると、まず脱炭素が喫緊の課題で、安全に稼働できる原発を再稼働する必要がありますが、再生可能エネルギーを増やすことができれば、その分、原子力への依存を減らすことができます。
今後は「AI時代に増える電力需要を、どの脱炭素電源で間に合わせるか」が焦点になります。
ペロブスカイトと呼ばれる軽くて曲げられるフィルム型の新しい太陽光発電技術を使えば、住宅だけでなく工場や倉庫などの屋根やマンション、アパートのベランダ、ビルなどの窓や壁を活用して発電することができます。
あるいは洋上風力発電、地熱発電、送電網と蓄電池の整備など、やるべきことをやれば、まだまだ日本の再生可能エネルギーを増やすことができます。
日本では、多くの企業や家庭の電気料金は昼間に高く、夜間は安くなっていますが、昼間の太陽光の安い電気が出力抑制で無駄に捨てられています。
昼間の太陽光発電を最大限利用できれば、電気料金を下げることができるはずです。オーストラリアの一部では、今年から太陽光の多い日中の3時間、家庭の電気代が無料になりました。
全国の家庭の冷蔵庫の54%は2015年以前に製造されています。
また、多くのエアコンも15年以上使われています。10年以上前の冷蔵庫やエアコンは、効率が悪く、これらを買い換えると冷蔵庫なら20から30%、エアコンなら14%の省エネになります。
また、住宅の熱の6割から7割を逃がしている既存住宅の窓をリフォームして断熱効率の良い二重サッシや複層ガラスを入れるだけで大きな省エネにつながります。
こうした省エネにつながる対策を進めると、国内の電力消費量も減り、家庭の電気料金も安くなります。低所得世帯や高齢者世帯を中心に思い切った支援をすべきです。
政府の第七次エネルギー基本計画では、2040年のエネルギー自給率は30から40%に留まりますが、再生可能エネルギーの導入の加速化と効率化を進めることで75%程度まで引き上げることができると私は考えています。









