99年6月2日号

1999.06.03

外務委員会でKEDOの質問に立つ。
戦後の日本の核戦略の矛盾を突く鋭い質問をくりだし、後に続いた先輩に「同僚議員の質問を傾聴していましたがウンヌン」とほめられ、よし、今日のごまめは、手柄話を書くぞ、と意気込んだものの.....
あーあ、盗聴法案! はいはい、わかってます。
だーれも、外交問題の事なんか聞きたくないんだから。
日米安保にほころびが、という大事件なのに、世の中は盗聴法案!!
なんで、盗聴法案に賛成したのか?!!!
今日だけは、「外交はアクセサリーだから」といった長老に思わずうなずきたくなりますが、とにもかくにも盗聴法案、始まりはじまりーい。(えっ、盗聴法案じゃねぇ、通信傍受法案だって。だって長いんだもの。)
それは、ムラヤマ首相がナポリタンスパゲッティを食べておなかをこわした(と、私の妹は信じている)ナポリサミットに始まります。
ちょっと長いけど、付き合って下さい。
ナポリサミットの経済宣言のなかに「国際犯罪及び資金洗浄に対抗する協力」という一項があり、「…我々は、国際的組織犯罪に関する世界閣僚級会議が本年十月にナポリで開催される事を歓迎する。...(中略)...我々は、各国が適当な場合には必要な立法措置をとることを求める」
で、国際組織犯罪に関する世界閣僚級会議(1994年)国際組織犯罪に対するナポリ政治宣言及び世界行動計画「(世界行動計画B17)電子的監視、潜入捜査、コントロールド・デリバリーなどの信頼できる証拠収集の方法は、国内法上これらが考慮され、国際的に認められた人権及び基本的自由、特にプライバシーの権利を完全に尊重しながら、かつ、適切な司法的承認または監督の下で運用される場合には、検討されるべきである。」
そして国連決議49/159「...三、国際組織犯罪に対するナポリ政治宣言及び世界行動計画を是認し、各国に対し、緊急の課題としてこれを履行する事を求める。...」
つまり、早い話が、国際的な犯罪組織による犯罪が極めて増え、悪質になり、国際的な取り決めに基づいて、各国政府が共同して、これに対処しなければならない状況になった、とサミットなどでも認識されるようになりました。
これ以後、サミットや国連の重要議題の一つとして、組織犯罪対策が常に取り上げられるようになり(今年のケルンサミットのコミュニケにも入ります)、28カ国が参加するFATFという組織も設立されました。
主要国のなかに、対策が遅れている国があれば、そこが弱い環になり、犯罪組織に狙われる、あるいはそれが犯罪収益規制であればマネーロンダリングの拠点として使われるということになります。
そこで、犯罪対策の国際協調の一環として、「組織的な犯罪に関する刑を重くし、また、犯罪によって得られた収益を剥奪する手続きを整備する」組織的な犯罪の処罰および犯罪収益の規制に関する法律案と「一定の犯罪の捜査に関し、裁判官の発する令状により、通信を傍受する手続きを整備する」通信傍受に関する法律案と「裁判所による証人の現住所などに関する尋問の制限を定める」刑事訴訟法改正案が、今回、一括して提案され、審議されました。
サミット参加国では、アメリカは1968年、イギリスは1985年、ドイツは1968年、フランスは1991年、カナダ、イタリア(制定年不明)もそれぞれ刑法、刑事訴訟法のなかで、通信傍受が法制化済みです。
日本は、通信傍受の法制化が遅れていましたが、それよりも、犯罪収益の収奪に大きな欠陥があり、国際協調の足を引っ張ると指摘されていました。
今回の通信傍受法案は、「薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航の罪、組織的殺人」の四つの犯罪のみを対象とし、「1.対象犯罪そのものが犯された、2.対象犯罪が犯され、さらに同様の犯罪が引き続き犯される、3.対象犯罪の準備の為にこれと一体として他の重い犯罪が犯され、引き続き対象犯罪が犯される(注)」と疑うに足る十分な理由があり、通信傍受以外の方法では犯人を特定し、犯行状況が明らかになることが著しく難しい場合に、「裁判所の令状を得て」通信傍受を認める、というものです。
(注)無差別大量殺人を行う為に毒物を違法で製造しているケース等
特に、上記四つの犯罪で、末端の者が検挙されても、組織の中枢にいて、指示をするけれど、自らの手を汚さないといった幹部について、末端のものが自白する事がなくなってきたあるいは知らないため、真相解明のための手段として、組織犯罪捜査のための通信傍受が必要になってきたという国際的な認識が高まりつつあります。
他の先進国の通信傍受の要件よりも、今回の法案で定める要件のほうが厳格でもあり、不必要な傍受が行われないよう制限しているということもあり、賛成しました。
警察が乱用するのではないか、というご質問もありましたが、まず傍受のためには、裁判所が令状を出さなければならず、警察が独自の判断で、実施する事はできない、傍受した通信は全て記録され、立会人が封印し、裁判所が保管するため、警察が、乱用したかどうか、事後にチェックできる、この記録をもとに不服申し立ても勿論できます。
その結果、通信の秘密が警察によっておかされたと判断された場合、三年以下の懲役ま
たは100万円以下の罰金が科せられます。
ちょっと、長くなりましたが、以上が私の賛成した理由の骨子です。
きっといろいろご質問があると思いますので、遠慮なくメールください。
あー、だれか、安保条約と核のこと聞きたい人いない??



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