古い弾薬

2025.11.01

私が防衛大臣の時、自衛隊の弾薬が足りず、当時の麻生太郎財務大臣に弾薬を買う予算をくださいと急遽、お願いに行ったことがあります。

麻生財務大臣は、「たまに撃つ、弾がないのが玉に瑕」といって予算をつけてくれました。

しかし、弾を買う金があってもその買った弾を置くスペースがないという問題もありました。

自衛隊の弾薬庫には、古くて使えない弾薬がたくさんあって、それを処理しないと新しい弾を入れるスペースがありませんでした。

私は、古い弾を演習で撃ってしまえと言いましたが、撃つ兵器の方はとっくに廃棄されていて、一方、弾には火薬が入っているので、火薬を処理しないと廃棄できず、その処理費用がなくて古い弾がずっと保管されているような状況です。

今年の初め。来日中のあるヨーロッパの国防大臣と食事をしていると、先方から、自衛隊の古い弾薬を、費用はいらないから、ぜひ、我が国に処理させてほしいという要望がありました。

つまり、自衛隊では使えない弾をその国がもらって、それをウクライナに持って行く、今、ウクライナはどんな弾でも撃てるし、本当に古すぎて撃てない弾ならば、中の火薬を再利用すればいい、自衛隊は使えない弾薬の処理ができるし、ウクライナは少しでも弾薬を増やすことができるし、一挙両得だよねということでした。

これはいい話だと早速、防衛大臣につなぎましたが、装備品輸出の五類型に当てはまらないからできないと却下されました。

実はこの話、他にもNATOの数カ国から問い合わせがありましたが、断らざるを得ませんでした。

ウクライナの状況を見ても、今やどの国も自分だけで国を守ることはできません。

共通の価値観を持つ国々でお互いに助け合って安全保障をやっていく時代が来ています。

また、これまで我が国の防衛産業にとって、唯一のお客は自衛隊でした。

そのため調達数量も限定され、しかも発注は予算、特に補正予算の規模に左右されて、安定せず、生産ラインを組むことも難しいものがほとんどで、結果として、非常に高い買い物をしなければなりませんでした。

お隣の韓国は、近年、防衛産業に力を入れ、それなりの性能のものを比較的安く売る戦略で発展させています。

冷戦期やアメリカ一強時代のように、何かあったらアメリカが守ってくれる時代から、アメリカだけではアジアの平和と安定を守れない、まずは自分で守り、アメリカの支援が来るまで耐えることが必要な時代です。

重厚長大の高価な兵器よりも安価なものを大量に生産して戦場に投入しなければならない時代に、防衛も変わりつつあります。

そろそろ五類型を見直して輸出することによって生産量を増やし、コストを下げ、防衛産業をきちんと育てながら、自衛隊の調達を根本から見直していく時期になりました。



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