おすすめの一冊「テムズとともに」徳仁親王著

2023.07.28

「テムズとともに」 徳仁親王著 学習院教養新書

天皇陛下が1983年6月から1985年10月までの2年4ヶ月間にわたるご自身のオックスフォード大学への留学についてまとめられたものです。

ちょうど同じ時期に私はアメリカのジョージタウン大学に学んでいて、「インターネット以前」の学生生活を送ったものとして、また、英語で苦労したものとして、大変に親近感を覚える内容でした。

陛下はいろいろな場面で「緊張された」ことを正直に告白されています。

オックスフォードに行かれる前のホームステイについては「3ヶ月もの長期滞在に多少の不安があったのも隠せない」と書かれ、ホームステイの初日の就寝前には「一日が無事に終わったという実感となんともいえない安堵感を味わったものであった」。

イギリスのパブで初めてビールを注文する時は、「いざ注文するのには少々勇気がいる」。

オックスフォード大学に到着され、新入生のしきたりとして記帳する際には「その時の私はよほど緊張していたのか、ペンをもつ手はふるえ、ローマ字でつづったナルヒトの文字は見るも無残なものとなってしまった」。

最初にコレッジの学生達とコーヒーを飲みに行った時は「なかなか話題に入るきっかけがつかめなかった」。

どれについても、うん、自分もそうだったなと感じることばかりで、陛下も同じように苦労されたんだと親近感がわくエピソードばかりです。

陛下はテムズ川の交通史の研究のための史料を探すために、オックスフォード大学内のさまざまな図書館はもとより、イギリス国内のさまざまな図書館、史料館を訪問されています。

オックスフォード州文書館、バーク州文書館、グロースター州文書館、バッキンガム州文書館、ロンドンの国立文書館とギルドホールの図書館等などを訪れて、史料を収集され、しかも、古い手書きの史料を解読されたりもしています。

さらにシュロップシャーにあるアイアンブリッジの博物館や製鉄博物館、テムズアンドセバン運河などを訪問されて、実物や現場をご覧になっています。

陛下は、その合間にヴィオラを弾いて弦楽四重奏のコンサートに参加されたり、コレッジのボート部の練習に参加されたり、テニスではマートンコレッジの代表選手としてコレッジの対抗戦に出場されたり、イングランド、スコットランド、ウェールズのそれぞれの最高峰に登られたりと、非常にアクティブに活動されています。

私のジョージタウン大学時代やその前に一年間過ごしたサフィールド時代を振り返っても、クロスカントリーや陸上のチームのメンバーだったり、インターン先の同僚だったりと仲良くなったことを思い出します。

さらに陛下は、オックスフォードのパブをはしごし、ジョギングし、オペラやシェークスピア劇をご覧に行かれ...。

これから留学しようという学生の皆さんに、おすすめの一冊です。

留学という限られた時間をこれぐらい有効に使うべしというベンチマークとして、ぜひ、参考にしていただきたいと思います。



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