信任状捧呈式

2023.04.27

信任状捧呈式という式典があります。

日本に赴任してくる各国の大使が、天皇陛下に前任者の解任状と自分の信任状を捧呈する式典です。

信任状とは、先方の元首から天皇陛下宛のXXを駐日特命全権大使に任命し陛下のもとに遣わす旨の書状で、先方の元首が署名しています。

大使は、信任状を天皇陛下に捧呈して初めて正式な駐日特命全権大使として認められます。

天皇陛下が信任状の捧呈を受けることは、憲法7条の9「外国の大使の接受」であり、天皇陛下は「内閣の助言と承認により...左の国事に関する行為を行ふ」とあります。

そのため大使の接受は事前に閣議に諮られます。

この式典では各国の大使が陛下の前に進み出て信任状を手渡すのですが、必ず大臣が一人、侍立します。

侍立大臣の都合がつかない場合は、信任状捧呈式は実施されません。

予算委員会の時期は、国務大臣の日程の都合をつけにくいので、信任状の捧呈が先延ばしになることがあります。

今回、私が侍立した大使は、昨年12月に来日し、4月下旬の今回まで待たれていました。

一回の信任状捧呈式は、所要15分程度、1日に二組の大使にそれぞれ信任状捧呈式が行われます。

 

信任状捧呈式における侍立大臣の服装は
モーニングコート
ベストの色は黒、
ネクタイの色は無地の銀鼠色
靴は黒のフォーマルな紐付き
という、宮中でのモーニングコートのルールです。

ちなみに女性は
ロングドレス着用、ただしデイドレスも可。デイドレスの場合は膝が隠れる丈が望ましい。
半袖は不可
帽子及び手袋は不要
色や柄については奇抜なものや黒一色は避ける。
アクセサリーの着用は随意
靴についてはドレスにふさわしいデザインであれば可。

私の前回の侍立は、2017年9月に南アフリカのサイレンス・ロモ大使とアメリカのウィリアム・ハガティ四世大使の捧呈式でした。

必ずしも外務大臣が侍立大臣を務めるわけではなく、私も国家公安委員長の時にも一度、侍立しました。

日本の信任状捧呈式では、皇居に参入する際に宮内庁の馬車で参入するのが普通ですが、この数年間、コロナの影響で、馬車ではなく、宮内庁の特別な車両で大使は参入されています。

特命全権大使の服装もモーニングコート又はロングドレス、あるいは民族衣装ということになっています。

前回の南アフリカ大使は、豹と牛の皮でできた装いに盾を持つというズールー族の正式な装いでいらっしゃいました。

盾とポール(槍を模したもの)を持っていると信任状を持つことができないので、盾とポールは控室に置いていかれました。

今回はオーストラリアのジャスティン・ヘイハースト大使とシンバブエのステュワート・ニャコチョ大使のお二人です。

侍立大臣は、捧呈式の20分前までに坂下門を経て、宮殿南車寄に参着します。

南車寄から休所となる千草千鳥の間(閣僚の認証式の休所でもあります)で、宮内庁長官とともに新任大使をお待ちします。

大使は馬車で到着されると随員とともに正殿松の間で所作の練習をして、それが終わると千鳥千草の間に向かいます。

大使が千鳥千草の間に到着されると、大使が随員を侍立大臣に紹介し、しばし懇談。

その後、まず侍立大臣が正殿松の間に移動します。

宮内庁長官と侍立大臣が正殿松の間に参進して、所定の位置につきます。

式部官長の先導で、天皇陛下がお出ましになります。

侍従長及び侍従が随従します。

式部官長の誘導により特命全権大使が御前に参進して、信任状及び前任者の解任状を捧呈します。

信任状及び解任状は封筒に入っていることが多いようですが、書類ばさみに挟まれていたりということもあるようです。

天皇陛下は信任状及び解任状をお受け取りになられると、侍立大臣の方を少し向かれます。

侍立大臣は天皇陛下に近づいて受け取り、そのまま後ずさりして所定の位置に戻ります。

そのまま式が終わるまで信任状および解任状を腰の位置で持ったまま、式の終了まで侍立します。

天皇陛下が特命全権大使と握手、御会話なさいます。

随員が順次御前に参進し、謁見・握手の上、退出します。

特命全権大使が退出します。

天皇陛下が御退出になります。

侍立大臣は、松の間の廊下で、大使にお祝いの言葉を述べます。

特命全権大使が随員を従え、皇居を退出しました。

一人目の大使の捧呈式が終わると、侍立大臣は休所に戻り、次の大使をお待ちします。

各大使は随員を最大6名、連れて参入します。

辞令をいただくか信任状をお渡しするかの違いはありますが、参進から退出までの所作は、閣僚の認証式の所作とよく似ています。

10時10分に参着し11時20分までに、二回の信任状捧呈式が終了しました。



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