おすすめの一冊 Act of Congress

2022.12.16

ひさしぶりのおすすめの一冊です。

“Act of Congress” by Robert G. Kaiser

2008年の金融危機を受けて、クリス・ドッド上院銀行委員会委員長とバーニー・フランク下院金融サービス委員会委員長の二人がドッド・フランク法と呼ばれるようになった金融改革法案をいかにして米国連邦議会で成立させていったかを詳しく物語った一冊です。

アメリカ議会では、政府には法案の提出権がありません。

議員が法案を作成し、上下両院の委員会、本会議で審議、採決され、両院の法案の違いを揃えた上で、両院が了承し、大統領が署名して、法律となります。

この金融改革法案が作成される過程から、上下両院での委員会、本会議の審議や駆け引き、ロビイストなど関係者の活動の様子を詳細に描いています。

金融改革法案の中身だけでなく、両院のルールであったり、審議のありようをリアルに描いてみせています。

筆者は、アメリカ議会の審議の様子をかなりシニカルに書いています。

法案の内容を理解している議員は極めて少数で、民主党、共和党の分断は審議にも大きく影響し、資金集めに奔走する議員の様子は、アメリカの今の現実です。

私がジョージタウン大学の学生で、連邦議会でインターンをしていたころは、民主党と共和党の議員は、党派を超えて議論し、また、人間関係も濃密でした。

多くの議員は、ワシントンに家族と一緒に住んでいて、家族ぐるみで付き合っていました。

そのころの議員は金曜日に選挙区に戻り、月曜日にはワシントンに帰ってきていました。

それが今では、ワシントンには単身で火曜日から木曜日までしか滞在せず、家族ぐるみの付き合いどころか相手の政党の議員との個人的な付き合いもほとんどなくなってしまいました。

私がインターンをしていた民主党の下院議員、リチャード・シェルビー議員は、その後、上院議員となり、共和党に鞍替えしました。

そのシェルビー議員が、上院銀行委員会のランキングメンバー(少数党の最も年功序列の高い議員)として、この本のなかでも頻繁に登場しています。

私がいた頃の同僚は、一人を除いていなくなってしまいましたが、それでもシェルビー議員の活躍(?)は、読んでいてうれしいものがありました。

英語で389ページのハードカバーですが、最近のアメリカ政治に興味がある方の必読書の一つです。



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