新型コロナウイルスと自衛隊病院その3
2020.03.17
自衛隊の病院では、これまでに感染者128名を受け入れて、3月12日までに、116名が退院、2名が転院し、10名が入院中です。
特に自衛隊中央病院では、受け入れた新型コロナウイルス感染者の6割が外国人でした。
そのため、外国語通訳ができる予備自衛官を招集しました。
自衛隊中央病院では、感染症のための病床が10床あります。この10床がいっぱいになると、次の病棟の約50床を感染症用に割り当て、さらにその次の50床というように拡大していきます。
感染症の病床を担当する医官、看護官は専属にする必要があったため、自衛隊中央病院では他の自衛隊病院の医官、看護官の支援を受けたほか、医師、看護師の資格を持つ予備自衛官を招集し、一般患者の診療に従事していただきました。
新型コロナウイルスは、PCR検査で感染が確認されると、軽症でも、無症状でも入院し、隔離されることになります。
一般の病院では、通常、病床の8割から9割は様々な診療科の入院患者で塞がっています。
しかし、新型コロナウイルスの陽性患者が増え、入院する患者が増えれば、他の診療科の入院患者を受け入れることができなくなります。
また、医師、看護師も感染症病棟にとられ、他の診療科に手が回らなくなります。
新型コロナウイルスの陽性患者は、症状がある者でもその8割は軽症ですが、その軽症患者も、退院するためには、症状がなくなってから、48時間おいてPCR検査を行い、その検査で陰性であった場合、さらに12時間おいて2度目のPCR検査も陰性なければなりません。軽症でも退院にはある程度の時間がかかります。
肺炎の症状が出ると病状は重くなり、14%が重症、6%が重篤になります。
自衛隊中央病院では、陽性患者の肺のCT画像を撮り、肺炎の影がなければ比較的軽症にとどまり、影があると重症化する可能性が高いということを突き止めています。
新型コロナウイルスは、インフルエンザと同じように、治療のための特効薬はありません。
いかに限られた病床を重症、重篤な患者に割り当てるかが、この新型コロナウイルスの影響を最小化するための鍵を握ります。
PCR検査を増やせば、軽症の感染者で病床が埋まります。その結果、重症、重篤な感染者、そして他の診療科の患者の病床が制約されます。
PCR検査を増やすのがよいのか、あるいは無症状、軽症の感染者を入院させず、自宅療養にするのか、あるいはホテルなどの宿泊施設である程度様子を見ながら隔離するのか、自衛隊病院も厚労省などと連携しながら対応していきます。