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続・変えられた汚染水処理の定義
2015.02.18
福島第一原発の汚染水に関して、いろんな誤解をする人がいる。
なかには「『汚染水』の有害物質濃度は水質基準をはるかに下回る。『処理しないで流せ』という田中俊一委員長が正しい」というような誤解もある。
毎日720トン出てくる汚染水は、まず、キュリオンかサリーを通る。
そこでセシウム134は3000Bq/L程度に、セシウム137は6300Bq/L程度まで除去されるが、それでも告示濃度限度を上回っている。
今年の1月19日以降、キュリオンとサリーでもストロンチウムもある程度除去できるようになったが、もともと10の7乗ベクレル/Lだったものが10の5乗ベクレル/Lまで低下するだけで、告示濃度限度の30Bq/Lとは文字通りけた違いだ。
これをALPSを通すとセシウム134と137が0.3Bq/L未満に、ストロンチウムが0.12Bq/Lにまで下がってくる。
ALPSを通らずにRO濃縮水処理設備とモバイル型ストロンチウム除去設備だけを通った汚染水はいわば「中ストロンチウム汚染水」とでも呼ぶような程度にしか汚染レベルは下がらない。
いずれにしろ汚染水はALPSを通さなければならない。
(東京電力は、すべての汚染水がALPSで処理されるのは、いつになるか今の時点では言えないと経産省に回答している)
だから、「『汚染水』の有害物質濃度は水質基準をはるかに下回る。『処理しないで流せ』という田中俊一委員長が正しい」というのは誤解だ。
田中委員長もそんなことを言っていない。
ALPSを通った汚染水は、依然としてここまで除去されないトリチウムに汚染されている。
当初は、4,000,000Bq/Lぐらいのトリチウムが含まれていたが、最近では400,000Bq/Lぐらいのトリチウムが含まれている。
トリチウムの告示濃度限界は60,000Bq/Lなのでそれを上回っている。
トリチウムを除去することは難しいので、このトリチウム汚染水を告示濃度限界以下まで薄めて流したらどうかということは、規制委員会も言っている。
現在、福島第一原発の地下水バイパスに含まれるトリチウムは400-500Bq/Lなので、漁業関係者の了解をもらって海に排出している。
サブドレンに関しては、海中への排出に関する意見し集約が行われているところだが、トリチウムの濃度が1500Bq/L程度だ。
経産省は、トリチウム汚染水からトリチウムを分離するための技術開発に補助金を出しているが、最終的にトリチウム汚染水をどうするかは決まっていない。
最終段階の『トリチウム汚染水』を薄めて海洋に排出するという選択肢はないわけではないが、そもそもの汚染水に含まれている有害物質濃度は水質基準を下回っているというのは誤解だ。
ALPSと増設ALPSは汚染物質を沈殿させるのでフィルターに加えてスラリーが出る。高性能ALPSはフィルターだけで物質を除去している。
こうしたスラリーやフィルターは敷地内のスチールとコンクリートの入れ物に入れられて保管されることになる。
この汚染水の問題は、自民党内では秋本真利代議士が非常に熱心に取り組んでいる。