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最近読んだおすすめの本
2015.02.14
私が愛読している山内康一さんのブログは、年に一回、その年に読んで気に入った本について書いています。
それを真似して、私も最近読んで気に入った本について書いてみます。
Tip and the Gipper:When politics worked
Chris Matthews著
サイモン&シュスター
1980年代のレーガン大統領の任期中のレーガン大統領とティップ・オニール下院議長という二人のアイルランド系のアメリカ人の交流を読みやすく描いたノンフィクション。
つまり、最近のオバマ大統領と下院共和党の批判の応酬をいかに馬鹿げたものかと暗に批判していることになります。
内容としては特にオリジナルなものでもありませんが、読みやすいのが特徴です。レーガン大統領とオニール議長の経歴に関する章はコンパクトにまとまっています。
ちょうど私がリチャード・シェルビー下院議員の事務所でインターンをしていた時期でもあり、ダン・ロステンコウスキ、クロード「レッド」ペパー、ヘンリー・ワックスマン等々、懐かしい名前がところどころに出てきます。
80年代のアメリカ連邦議会は、シェルビー議員のような保守的な南部民主党議員が、共和党と北部民主党の間を行ったり来たりして、接着剤の役割を果たし、また、妥協のネタを作っていたのだと思います。
私がジョージタウン在学中に書いた論文の一つに、シェルビー下院議員が提出したHydro Bill、一定の期間が過ぎた水力発電所を公営化するという古い法律を廃止する法案が、議会内の保守派とリベラル派の間でどんな取引が行われて成立したかを描いたものがあります。
当時、保守的な南部民主党の議員だったシェルビー議員が、超リベラルで名前に引っ掛けて「レッド(赤)」と呼ばれたペパー議員とさまざまなやり取りをして法案を委員会を通過させたプロセスは、非常に興味深いものでした。
シェルビー下院議員も上院議員に当選後、レーガン大統領に請われて共和党に鞍替えし、やがてリンカーン大統領以来民主党だった南部は共和党の牙城に変わっていきます。
それとともに民主党と共和党の間の政策の接点は小さくなり、党派色が強くなっていきます。
その古き良き80年代のアメリカ議会の雰囲気がわかる読みやすい一冊です。
韓国「反日」の真相
澤田克己著
文春新書
著者は、私が韓国のことについて教えを乞う一人です。
「日本のことを韓国が知らなくなっているという現実」を直視して、「韓国にとって今や日本は『外国の一つ』であるという現実を受け止め、私たちもまた『外国の一つである韓国』を冷静に見つめていく。いま日本に求められているのは、そうした姿勢なのだ」というのが現実なのでしょう。
私が初めて当選したころは、韓国の国会議員の多くが日本語を話すベテランでした。両国の議員連盟の会合では日本語が使われ、夜のカラオケでは日本語の歌も歌われていました。
ポスコを設立し国務総理も務めた朴泰俊(パク・テジュン)さんのようなとてもきれいな日本語を話し、こよなく親子丼を愛する方もいらっしゃいました。
我々の世代の両国国会議員は英語でやり取りをするようになりました。
お互いに外国の一つになりつつあることを、ソウルを訪れるたびに実感してきました。
この著者の前著である「『脱日』する韓国」とあわせて読むと現在の日韓関係の底流を理解できるような気がします。
イスラーム国の衝撃
池内恵著
文春新書
イスラーム国に関してわかりやすく、しかもかなり突っ込んで理解できる一冊。
親書はタイミングと言った出版社の人がいましたが、まさにドンピシャのタイミングの本です。
それにしても中東の固有名詞、なんとかならんものでしょうか。
イスラーム国とイスラム国、アルカイダとアルカーイダ等々、専門家にしてみれば、発音に忠実に書いているんだというのかもしれませんが、もともとアラビア語の発音をカタカナで書けるはずもないわけで、表記の仕方をみなさん統一してもらいたいものです。
草魚バスターズ
真坂昭夫著
飛鳥新社
京都の大覚寺にある大沢池に放たれた草魚が池の水草を食べつくし、そしてとうとう池を破壊し始めてしまいました。
その草魚を退治して池を再生させたお話です。
草魚を退治するとハスが再生するけれど、ヒシも大発生し、ヒシの葉を食べるヒシハムシが大発生して大変なことになり、でも燕がそれを食べてくれて云々と生態系は繋がっているんだなあということがよくわかります。
たんに草魚を捕るだけでは問題は解決せず、生態系の復活のためには様々な学問が必要なんだということが実感できる本です。
インフルエンザからの回復期に読みました。
強襲
フェリックス・フランシス著
イーストプレス
ディック・フランシスの次男のフェリックス・フランシスが書いた本なのに原作はなぜか「A Dick Francis Novel GAMBLE」。
フェリックス・フランシスは、ディック・フランシスの著作を助けていたのですが、ディック・フランシスの死後にフェリックス・フランシスが一人で書いた本にも、A Dick Francis Novelだとか、Dick Francis’sという表題がつけられています。
これはディック・フランシスだけでなく、最近のトム・クランシーなんかも同じようです。
欧米ではこういうのがありなんでしょうか。
ディック・フランシスは、子供のころオヤジの本棚で見つけ、その時からずっとハヤカワミステリだったのが、フェリックス・フランシス単独のものはイーストプレスになったのでしょうか。ハヤカワミステリは、フェリックス・フランシスを評価しなかったのでしょうか。気になります。
ハヤカワミステリと比べて翻訳がこなれていないような気がしますが、ディック・フランシスファンとしては、フェリックスも日本語訳が出ているのはうれしいです。
ヴァロワ朝 フランス王朝史2
佐藤賢一著
講談社現代新書
直木賞作家である佐藤賢一の作品はいろいろと読んでいますが、私が高く評価しているのは彼の書いた「英仏百年戦争(集英社新書)」と「カペー朝 フランス王朝史1(講談社現代新書)」の2冊です。
「英仏百年戦争」を初めて読んだときは驚きました。それまでに習った歴史とは全く違うイギリスとフランスの現実。
なるほどヨーロッパの歴史というのはこういうことかという納得感がありました。ヨーロッパ史の授業には必ずこの本を使うべきだよなという思いは今も同じです。
ですから「カペー朝 フランス王朝史1(講談社現代新書)」を本屋で見たときは、中身も見ずに買いました。期待に背かない一冊でした。
それ以来、講談社現代新書の棚では「ヴァロワ朝」をずっと探していました。
なんで見落としたのかわかりませんが、見つけたのは総選挙の後でした。
昔読んだ漫画「ベルサイユのばら」に、「私だってヴァロワ朝の流れを引いている」という登場人物が出てきて、それ以来、ヴァロワ朝に興味もありました。
喜んで買って読みましたが、これはだめでしょう。これまでの2冊に全く及びません。期待が大きかっただけに、期待外れの反動も大きくなりました。
たぶん図表をケチったり、編集の失敗です。ブルボン朝を出す前に、ぜひヴァロワ朝をやり直していただきたいと思います。