経産省によるボッタクリ

2013.11.06

今年の九月に自然エネルギー財団が出した「回避可能費用の計算方法に関する分析」というレポートがある。
要約すると、自然エネルギー電力の買い取り費用のために、家庭等の電力料金に上乗せされている再エネ賦課金のうち1000億円以上が、そのまま電力会社の懐に入っている!
2012年から始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度では、再生可能エネルギーを買い取るために電力料金に再エネ賦課金が上乗せされている。
2012年には1300億円だった賦課金は、2013年には3100億円に上ると推計され、消費者から賦課金として集められ、電力会社に買い取り費用の資金として支払われている。
電力会社は、再生可能エネルギーによる電力を買い取ると、その分の電力は発電しなくて済む。だから、再生可能エネルギーを買い取るための賦課金の計算は、
再エネ買取見込費用+事務経費-回避可能費用ということになる。
回避可能費用というのは、再生可能エネルギーによる電力を買い取ったため、自社で発電しなくて済んだ火力発電等の燃料費などの費用のこと。
上の式に数値を当てはめると
4800億円+3億円-1670億円=3133億円
つまり、合計して3133億円が再エネ賦課金として、消費者の電力料金に上乗せされる。
しかし、このレポートは、経産省の回避可能費用の計算がおかしいと指摘する。
経産省は、水力発電、原子力発電、火力発電などのすべての電源の運転コストを足して、総発電量で割った金額を回避可能費用としている。
つまり運転コストが1キロワット時2円の水力発電と1キロワット時8円の火力発電が同じ量を発電すれば、経産省式では回避可能費用は1キロワット時あたり5円になる。
しかし、あなたがもし電力会社の経営者なら、再生可能エネルギーによる電力を買い上げた分、発電コストの高い火力発電所を止めるだろう。運転コスト2円の水力発電と8円の火力発電を同じ発電量ずつ止めるなどということはしないはずだ。
だから、本来の回避可能費用は、1キロワット時5円ではなく8円のはずだ。
東京電力が2012年6月に電気料金審査専門委員会に提出した資料には、「運転単価の安い電源がより高稼働率になるように計画」すると明記されている。
こうしたことを考えると、経産省による回避可能費用は不当に安く計算され、消費者が負担する再エネ賦課金が巨額になっている。
本来、刻々と変わる回避可能費用は、その時間帯の卸電力価格でみるべきだ。
自然エネルギー財団が、回避可能費用に卸電力価格を使って再エネ賦課金を計算すると、2400億円となり、経産省の計算による賦課金3133億円と比べ、700億円も安くなる。
全電源の平均運転コストを条件を同じにして計算すると、経産省方式と卸電力価格方式で、実に再エネ賦課金の総額は1000億円以上違う。
つまり経産省によって、電力消費者は700億円から1000億円以上もぶったくられ、その分が電力会社の懐に入っていることになる。
再生可能エネルギーの普及促進に必要な資金源である再エネ賦課金が、こんないい加減に使われていることを許してはいけない。



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