まだ終わっていない戦争の決算

2013.04.11

国の決算書類の中に旧臨時軍事費特別会計歳入歳出整理額計算書というものがある。
昭和12年9月10日、臨時軍事費を一般会計と区別して戦時終局までを一つの会計年度として特別に整理することになった。
(臨時軍事費特別会計法)
この臨時軍事費特別会計は、「昭和20年勅令第542号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基づく臨時軍事費特別会計の終結に関する件」により、昭和20年2月28日に約8年半を一つの会計年度として終了した。
出納整理期間が同年5月31日までとされ、6月1日以降の歳出歳入及び債権債務は一般会計が承継することとされた。
この特別会計の収入は1733億円、支出は1554億円、差引剰余金179億円。
ところが特別会計閉鎖後も、決算時点では明らかではなかった歳入歳出が頻発し、こうしたものを一般会計から再び切り離し、旧臨時軍事費特別会計分として別途整理することにした。
(ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基づく大蔵省関係諸命令の措置に関する法律 昭和27年法律第43号)
昭和21年以降発生した歳入は4億9287万円(ほとんどが雑収入だが中には北支事件特別税455円、公債及繰替借入金204万円というのもある)。
同じく昭和21年以降の歳出は、旧陸軍省所管分359億823万円、旧海軍省分所管分22億4698万円、旧軍需省所管分0円。
旧陸軍省所管分を見ると
人件費 29億3008万円
物件費165億7775万円
機密費     383万円
一時賜金    668万円
靖国神社臨時祭寄付金 70円
臨時家族手当  593万円
召集諸費    697万円
俘虜収容費  5186万円
軍政費  1億9532万円
物資特別購入諸費 14億6603万円
研究費     386万円
亡失金  3億5860万円
諸払戻金     77万円
償還金      33万円
行賞諸費      3万円
土地建物利用費  508円
特定処分金6億1850万円
帰還者携帯金交換費3262万円
連合軍押収金7億660万円
終戦処理費  4794万円
目別不明瞭128億9454万円
しかし、この旧臨時軍事費特別会計の歳入歳出は1975年以降は発生していない。
さらにこの分の債権として1270万円の債権があり、414億2196万円の債務が残っている。
債権は、満州国軍事部軍政司長を相手に1012万円。これは「昭和19年に旧陸軍航空本部による航空兵器関連機材・武器等の払い下げに係る物件売払代債権」。
さらに南満州鉄道株式会社相手に212万円。「昭和19-20年に旧陸軍燃料本部による軍需品の払い下げ(49件)に係わる物件売払代債権」。
この二つの債権は、旧内務省であった厚労省が一般会計で継承している。
国庫の債務としては、まず、外資金庫を相手に380億2196万円。これは同金庫が設立される以前に朝鮮銀行、横浜正金銀行、南方開発金庫が政府にそれぞれ年3分5厘、年3分5厘、年9分で貸し付けた債権を外資金庫がまとめたもの。
さらにこれとは別に、横浜正金銀行が日歩9厘で政府に貸し付けた債権34億円。
それぞれの債務の金利は特別会計が閉鎖されたときまでで、それ以降は金利はつかないことになっている。
南満州鉄道株式会社も満州国ももはや存在しないし、外資金庫も横浜正金銀行も存在しなくなった。さらに、1975年から40年近く歳入歳出が発生していないのだから、そろそろこの旧特別会計も閉じるべきではないか。
万が一、歳出歳入が発生するようなことがあれば、一般会計で対応すればよいのではないか。
財務省にもう少し詳細の調査をお願いしたが、政府にもあまり資料が残っていないようだ。今年の決算行政監視委員会で、この旧特別会計の廃止、一般会計での承継を議決できるように詰めてみたい。
あの戦争の決算もそろそろ終わらせよう。



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