原発と抑止力

2012.09.06

共同通信で、次のようなニュースが流れた。

原発維持「周辺国へ抑止的機能」 就任前に防衛相が講演

森本敏防衛相が就任前の今年1月、電力関係の講演会で日本の原発維持を主張し「単にエネルギーの問題だけではない」「周りの国から見て非常に大事な抑止的機能を果たしている」と発言していたことが5日分かった。

原発の維持が周辺国に核兵器開発の潜在的能力を意識させ、それが日本の国防上のメリットにつながるとの考えだ。

森本氏は共同通信の取材に対し「政府の一員となった現在は(非核三原則を堅持する)政権の方針に従う」とする一方、自らの考えについては「できれば現実の政策の中に生かしたい」とも強調した。
(共同)

時々、こういう発言をする政治家が与党にも野党にもいるが、まさか森本大臣まで、こんな意味不明の発言をするとは思わなかった。

原子炉と使用済み核燃料プールは、テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である。

大飯再稼働にあたっても、この弱点は解消されていない。

福島第一原発に津波は来ないことになっていたのと同じように、日本の原発にはテロリストは来ない、ことになっている。

大飯の再稼働にあたっても、これにかわりはない。

「原発の維持が周辺国に核兵器開発の潜在能力を意識させ」とあるが、これからの日本で原発を維持することと核開発の潜在能力は、つながらない。

核兵器をつくるためには濃縮ウランか、プルトニウムが必要だ。

原発は、ウランを燃やしてしまうから、濃縮ウランで核兵器をつくるためには必要がない。イランのようにどこかでこっそりウランを濃縮すればよい。

もう一つ、北朝鮮のように、ウランを燃やして使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出して核兵器をつくるという方法があるが、日本の場合、すでにプルトニウムを45トンも取り出していて、そのうち10トンは国内にある。

プリンストン大学のフォン・ヒッペル教授によれば、アメリカの核兵器に積んであるプルトニウム総量は38トンということだから、日本が持っているプルトニウムの量はそれと比べてもかなり多い。

8kgのプルトニウムがあれば核爆弾を一つ作れるのだから、すでに日本国内にあるプルトニウムだけで、数百発の核爆弾を作ることができる。もし、本当にその気になればだが。

だから、日本が今後、原発を維持するかどうかは、核兵器開発の潜在能力とは既に関係がない。

もしプルトニウム爆弾を作って核実験をやれば、NPT違反になるのだから、外国からの原発のウラン燃料の供給は止まる。だから、もし万が一、日本が核開発をやろうというならば、原子力への依存度をあらかじめ下げておく必要がある。

森本防衛大臣は、自民党が民主党政権に送り込んだトロイの木馬だという噂があるが...。



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