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事業仕分け スパコン
2011.11.17
ブログでのスパコン関係の問いに大変多くの方々からご意見をお寄せいただきありがとうございました。
その多くは関係者からのご意見で、ポジショントークを超えた客観的なご意見が多く、両側の意見を併記していただいたコメントも多数あり、ありがとうございました。また、さまざまな関係、お立場からのコメント、ありがとうございました。
多くの方から、我々の問いにこれだけはっきりお答えをいただいているにもかかわらず、文科省からは相変わらず、答えらしいものが返ってこないところをみると、もはや文科省は説明をしないのではなく、説明をできないのではないかと思う。
高速のスパコンを開発するということは、科学技術の一分野であるスパコンの技術またはスパコンの開発技術そのものの分野を発展させるということと、高速のスパコンを使う環境を提供することによって日本の科学と技術を進歩させるという二つの目的があるはず。
しかし、文科省の説明を聞いているかぎり、スカラー、ベクターをめぐる迷走ぶりや今後のスパコンの開発戦略がないことから、文科省は、スパコンの技術そのものの発展に重きを置いているのではなく、スパコンを利用できる環境を提供することによって、日本の科学と技術を発展させようとしていると考えられる。
スパコン京に関する文科省や理研の説明を聞いていると、素粒子同士を衝突させて何が生まれるかを知ろうとする研究と自動車を衝突させる研究が並列に扱われている。
素粒子同士を衝突させて、何が生まれるかという研究は、成功すればこの世の中の真理に一歩近づくことができるが、その成果それ自体は純粋科学なので、それから対価を得るのは難しい。
だからこうした基礎科学の分野は政府が資金を投入していかない限り、研究を続けるのは難しい。
一方、自動車の衝突による安全性の研究は、自動車を十台実際にぶつけるよりもシミュレーションのほうが安価にできたり、十台衝突させるよりもシミュレーションのほうがはやく成果をまとめることができれば、スパコン京を利用して、結果を出して利益を得ることができる。だから、利益に見合ったスパコン使用料をいただくこともできる。
シミュレーションによる創薬研究等も同じことだ。きちんと対価を頂けるものには対価をいただけば、その分、基礎科学に配分する予算を増やすことができる。
しかし、現在の文科省は、純粋な研究も対価を頂ける技術開発も一緒にしている。
さらにスパコン京の利用に関しては、ある財団法人が登録機関として指定され、そこが利用の割り当てを行う。この財団の内容の説明もなく、割り当て審査の条件も不明だ。
こうした透明性のなさが原子力ムラと同じような利権化につながるのだ。
この他にも、開発加速経費110億円を削ったことで、開発日程が遅れるはずが、結果的に何も影響がなかったことに対する説明がはっきりしない。本来、この開発加速経費は必要なかったのではないか。
さらに一部予算を削減しておきながら、結果的には予算が焼け太りしていたり、さまざまな説明不能なことが起きている。
ちなみに電力料金は関電との契約が14.4円/kWhで見積もっていると明記されている。
スパコンをはじめ、科学技術振興費の大型プロジェクトには説明されていない、あるいは説明できないものが多い。横串でこうしたプロジェクトの仕分けを決算委員会で行っていくことになるだろう。
参考までに、今日の参考人だった亀井善太郎東京財団政策プロデューサーのブログ
http://blog.canpan.info/zkamei/archive/102
さらに先日のブログでの呼びかけに公開で答えていただいた東工大の牧野淳一郎教授のブログ
109. 「スパコン京への疑問」について(2011/11/16)
http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/future_sc/note110.html#rdocsect217
108. 「スパコン 二番でもいいかもしれない」について(2011/11/15)
http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/future_sc/note109.html#rdocsect216
70. 次世代スーパーコンピューター計画見直し (2009/5/14)
http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/future_sc/note071.html#rdocsect76
49. 次世代スーパーコンピューターは一体全体どうなってるのか? (2007/6/12)
http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/future_sc/note050.html#rdocsect55