政府ぐるみの陰謀を防ぐ

2011.08.10

東京電力福島第一原発の事故処理に当たっていた作業員のうち143人と連絡が取れず、被曝量検査ができていない。さらにこの143人を含めた770人の検査ができていない。

東京電力は、七次下請けまである現実を知りながら、三次下請けまでしか認めず、作業員の所属を偽らせていた。

保安院は当然、このことを知っていた。にもかかわらず、放置してきた。

以前の自民党本部の会合で、保安院は千数百人が作業に従事してきたと述べた。そこで、その千数百人の、名前など個人を特定できる情報を省いた作業時間と被曝量の一覧表の提出を求めた。

今日に至るまで保安院は提出してこない。しかも、五月から作業に携わった人数だけでもどうやら三千人を超えている。かなり意図的に保安院は情報を隠蔽している。

国会の質問に対して、保安院は、福島第一原発の事故処理は東電の仕事で、保安院の仕事は東電がきちんと安全基準に沿って作業をさせているかどうかを確認することだと答弁したが、それすら何もできていない。

当然、この問題は、保安院を管轄する経産大臣や事故処理を担当する細野大臣、官房長官も知っていたはずだ。彼らは作業員の安全管理をどう思っていたのだろうか。

今日、内閣審議官の来訪を受けた。新しい原子力の規制組織に関する説明を受けたが、新組織は環境省か内閣府の下に作るという説明だ。

私は、新組織はきちんと独立した三条委員会であるべきだと主張する。

それに対して、内閣審議官は、危機管理に際して、大臣がいた方がよい、委員会形式は危機管理対応をしにくいと主張する。

そんな馬鹿なことはないはずだ。さらに、IAEAも規制組織に関して、政治からの独立を求めている。

そして、さらに日本には日本独特の理由がある。

なぜ、福島の事故に関して、内部被曝や低線量被曝に関する政府の対応が鈍いのだろうか。

ひょっとして広島、長崎の原爆訴訟に影響が出ることを政府内で恐れているから対応が鈍いのではないか。

官僚組織は、もし、政府から独立した三条委員会を設置すれば、政府内のこうした思惑と関係なく、物事が進むことを恐れているのではないか。もし、大臣が上にいたら、大臣を説得して、あるいは瞞して、まずいことを止められる。だから独立した三条委員会はだめだという判断があるのではないか。

私のこうした質問に対して、内閣審議官は特に否定もせず帰っていった。

あの校庭の20mSVの基準も、文科省が疎開をさせたくないということから決まった数字だ。もし純粋に科学的に判断していたら、こんな数字にはならなかったはずだ。

東京電力の作業員の問題も、厳密に安全管理をやれば現場の作業に支障が出かねないという政治的な思惑があったかもしれない。

班目委員長の発言が、次の日、首相補佐官との相談の上、修正されたこともあった。

官僚組織には、しばしば国民の安全よりも優先して守らなければならないものが発生する。

新しい原子力規制組織は、政治的な思惑が入り込む余地があってはいけない。大臣がいなければ危機管理ができない等というのは、詭弁だ。

新規制組織は、政治的な思惑を排除し、科学的、専門的な判断ができるものでなければならない。

与野党の過去官僚や官僚に受けの良い議員たちが、大臣がいないと危機管理ができないという論陣を張り始めている。はたして本当にそうだろうか。彼らは何を守ろうとしているのだろうか。



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