企業団体献金を考える

2011.07.24

7月23日の共同通信のニュースにこういう記事が流れた。

「自民党の政治資金団体「国民政治協会」本部の2009年分政治資金収支報告書で、個人献金額の72・5%が東京電力など電力9社の当時の役員・OBらによることが22日、共同通信の調べで分かった。当時の役員の92・2%が献金していた実態も判明した。電力業界は1974年に政財界癒着の批判を受け、企業献金の廃止を表明。役員個人の献金は政治資金規正法上、問題ないが、個人献金として会社ぐるみの「組織献金」との指摘が出ている。福島第1原発事故を受け、原子力政策を推進してきた独占の公益企業と政治の関係が厳しく問われそうだ。」

別に自民党の個人献金の72%が電力会社の役員、OBからのものであることが悪いわけではない。

全体の個人献金額が少ないから、そこが突出したわけで、問題というならば、個人献金が集められないというのが問題かもしれない。

もし電力会社が、法に則って企業として献金していれば、それも問題ではない。

ここで問題なのは、個人献金であるといいながら、実態として、電力会社が組織ぐるみで献金していることが問題なのだ。

企業献金ならば、どの企業が自民党に献金しているか、はっきりとわかる。個人献金を装って、実体的には企業が献金していれば、それはわかりにくい。情報公開の目的に逸脱している。

役員の92%が献金している、役職ごとに決まった金額を献金しているという実態を見れば、「組織ぐるみ」の献金であろう。では、組織ぐるみの献金の裏に何があったのか。それをきちんと検証しなければならない。

企業団体からの献金を廃止せよという意見がある。企業団体からの献金を認めれば、政策がそれに左右されかねないという理由だ。原発政策がいかに金でゆがめられてきたかを見れば、一理ある。

しかし、実は、企業団体からの献金をやめる弊害もある。

企業団体からの献金の廃止を最近一番強く主張していたのは誰か。民主党幹事長時代の小沢一郎だ。

現状では、政治家への個人献金はきわめて少額だ。この現状の中でもし、企業団体献金をやめれば、ほとんどの政治家は、地元の事務所の維持をはじめ、政治活動を政党からの交付金に頼らざるを得ない。政党からの資金をコントロールするのは誰か。党の執行部、特に幹事長だ。

現状で、企業団体献金を廃止すれば、ほとんどの国会議員は、幹事長に生殺与奪を握られる。幹事長が右といえば左を向けない議員ばかりになる(全員がそうなるというつもりはないが、かなり少数になるだろう)。

民主主義など歯牙にもかけないような政治家がそれなりの党の幹事長になり、金を一手にコントロールし始めたら、政治は腐る。

本当は、政治家一人一人が最低限の政治活動を自ら支えることができるというのが望ましい。

しかし、企業団体からの献金はすべて自由だということにしても腐る。

大切なのは、きちんと情報公開をすること。決めたルールを守ること。

そして政治家一人一人がどういう行動を取っているかをしっかりと見極めること。

電力会社から献金をもらって、ずぶずふになる政治家もいれば、献金を受けても政治行動を変えない議員もいる。献金を受けない、あるいは、献金をされない議員もいるだろう。

それぞれを評価するのが有権者の仕事だ。

企業団体献金は全部禁止だ、あるいは、何でも自由だ、というのは両方とも違うと思う。ルールを決めて、きちんと情報公開をして有権者に伝えることが大切だ。

480人の衆議院議員がいたら、480とおりの政治行動がある。それをきちんとチェックし、きちんと評価することこそが有権者の仕事のはずだ。



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