税・社会保障制度の抜本改革に対する政治家の関心が足りない
2011.06.25
『税・社会保障制度の抜本改革に対する政治家の関心が足りない』と、東京財団が主催した「衆参全議員 連続討論会『税・社会
保障制度の抜本改革を考える』」のコーディネーターを務めた亀井善太郎氏が訴えている。
少し長くなるが、連続討論会から見えてきたものとして亀井善太郎氏がまとめた文章を引用させていただく。
『本討論会は、一般傍聴者の参加を可能とすると共に、インターネットを通じて生中継した。議事録も、中継録画も後日見ることができるようにし、国民にすべてを文字通り“公開”した。
世間に公開することによって、政策に真正面から取り組む政治家の率直な意見は各方面で注目された。新聞やインターネットなどの各メディアでは様々な形で継続して取り上げられ、一般傍聴者やインターネット中継視聴者の数は総じて高い水準で推移した。
その一方、国会議員の参加は、多い回で15 名、少ない回は3 名と、衆参全議員722 名の約1~2%の参加にとどまり、きわめて低調だった。
本討論会を設定した毎週火曜日の夕刻は、国会の本会議も委員会も終わり、国会議員にとって最も参加しやすい時間である。
すべての国会議員に対して、議員会館事務所への週2度のファックス、また、本分野を専門とする議員にはコーディネーター自身が個別訪問を行うなど、本会の開催の周知徹底を図った。
こうした周知活動により、議員本人および議員スタッフの本会に対する認識が高いことは度々の訪問を通じて明らかになったものの、議員自身が出席するには至らなかった。
税と社会保障制度の抜本改革は現政権における最重要課題の一つである。また、総理の意向云々に関わらず、我が国が直面する数々の課題を踏まえれば、政治家が最優先で取り組まねばならないことの一つのはずである。
国会での質問準備、議員との会合、支援団体の集まり、各種勉強会、支援者の冠婚葬祭等、出席を求められる会の中から何に出席するのか、自らのスケジュールを決めるのは、政治家にとって最もシンプルかつ重要な政治行為だ。
議員と個別に話をすると、政局報道ばかりで、せっかく取り組んでいる政策を対象とするものが少なく、これが国民の政治家不信を助長していると嘆く声が多い。
また、期数が若い議員であるがために政策に関与するチャンスが少ないと嘆く人もいる。だとするならば、この7回の討論会は絶好のチャンスだったはずだ。
先輩後輩の上下関係を気にすることなく、国民に選ばれた文字通り“選良”として、不明なことがあれば有識者に質問し、自分自身の考えがあれば率直に意見を述べ、同僚議員と討論を重ねる。
これこそが真の政策議論である。参加した議員による真摯な政策議論では、何が論点で、どう対立しているのか、それぞれの根拠についても含めて明らかになったこと等もあって、傍聴者からは高い評価が聞かれただけに、参加議員数が低迷したのはきわめて残念でならない。
国会議員の出席者数は重要なシグナルである。重要とされる政策課題にも関わらず、震災前・後いずれも、わずか1-2%の議員しか参加しなかったこと、これは与野党に共通した傾向であり、政局に明け暮れ、政策が二の次になってしまう政治の実態を明らかにした。
国民の政治家不信がきわめて深刻になる中、まず、この点に触れなければならないことは極めて不本意だ。』
もちろん全ての議員が社会保障に関わっているわけではない。それ以外の得意分野でめざましい活躍をしている議員も多くいる。
また、このフォーラム以外の場で議論をしたり、情報発信をしている議員もいる。
しかし、このフォーラムは非常に入念に準備され、関係者の評価が非常に高かったのも事実だ。
そろそろ有権者一人一人が、どの議員が何をやっているのか、どう考えているのか、きちんと見極める努力をする時なのではないか。
また議員も、党の社会保障の部会に出席していますというだけでなく、具体的に、自分はどう考えるのかということを明確に発信していく時ではないか。
この連続討論会のまとめ。
http://www.tkfd.or.jp/admin/files/Kamei_report1.pdf
この討論会に一度でも参加した国会議員
浅尾慶一郎(衆・み)
阿部俊子(衆・自)
大串博志(衆・民)
小川淳也(衆・民)
柿沢未途(衆・み)
風間直樹(参・民)
河野太郎(衆・自)
小西洋之(参・民)
階猛(衆・民)
柴山昌彦(衆・自)
白石洋一(衆・民)
竹本直一(衆・自)
田村憲久(衆・自)
津村啓介(衆・民)
遠山清彦(衆・公)
中川秀直(衆・自)
中谷元(衆・自)
長尾敬(衆・民)
野田毅(衆・自)
橋本勉(衆・民)
長谷川岳(参・自)
丸川珠代(参・自)
谷田川元(衆・民)
柚木道義(衆・民)
和田隆志(衆・民)