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純国産の桶と準国産の核
2011.05.01
オヤジが使っていた風呂桶がこわれた。
何の変哲もない木の桶だが、長年使っていて愛着があるから修理しようとしたが、直してくれるところがない。そこでインターネットで調べて、京都のたる源という桶屋さんを探し出して桶の修理をお願いした。
驚いたことに、たる源のおばあちゃんがその桶を見て、これは五十年前に河野一郎さんにつくった風呂桶だ。なんとまあ。
僕も子供の頃、その風呂桶を風呂に浮かべて海戦を戦わせたりしていた。
戻ってきた風呂桶をよく見ると、ものすごーくうすくなっているが、『京なわて たる源』とたしかに裏に焼いてあった。大事に使えばあと五十年は使えるそうで、オヤジはペシ坊にこの話をよーく聞かせていた。そりゃ次に修理に出すのは僕じゃなくてペシ坊だ。
土曜日の朝、5時半にTBSに入って、サタズバッに出演した後に、汐留の日本テレビのスタジオからウェークアップに出演。内容は原発とこれからのエネルギー。
その中で、経産省のOBの発言がとても気になった。準国産エネルギーとはどういうことかと問われて、彼はこう言った。「ウランは輸入してから三年から五年発電することができるから、準国産なのだ」!
かつて核燃料サイクルを国策として推進し始めた時、確かにウランは輸入しなければならないが、そのウランの使用済核燃料を再処理して取り出したプルトニウムは、国内の使用済核燃料という資源から取り出したものだから、国産とは言えないが、準国産であると言ったのだ。
核燃料サイクルが当初の目論見通り実現していれば、日本の電力エネルギーは二千年は持つはずだった(核のゴミの処理は問題として残るが)。
ところが高速増殖炉が実用化のめどが立たなくなったため、原子力村はプルサーマルなどという敗戦処理技術を前面に出し、あたかも最初からこのプルサーマルが核燃料サイクルの主役だったかのようなことを言い出した(高速増殖炉の時のように、二千年間のエネルギーを担保するとは言えないので、今度はプルサーマルはウラン資源のリサイクルだといいだした)。
それでも輸入したウランをリサイクルするから準国産だと称していたが、とうとう今日、ウランは輸入してすぐ使い切るのではなく、輸入してから三年から五年の間発電が続くから準国産だという解釈が出てきた。
もちろん、缶詰は輸入してから数年間、保存がきくから準国産の食料品であり、ベンツやBMWという外国車は輸入してから十年近く乗り続けることができるから準国産車である。
ジョージ・オーウェルの「1984年」のThe Ministry of Truthのように、原子力村も都合が悪くなるとどんどん言葉の意味を変えていく。
こんなことで日本の原子力に内外からの信頼を取り戻せるのか。