不注意と自爆テロ

2011.02.02

特例公債法案以外の予算関連法案について、三月末に成立が間に合わなかったらどうなるか。

*子ども手当法案
児童手当に自動的に切り替えられる。児童手当のシステムに昨年の現況届のデータを入力する必要があり、6月支給が困難になる自治体も発生するが、10月に二回分支給で対応できる。

別途、年少扶養控除が復活しないと受給世帯で手取額が減少する。
支給対象となる子どもに国内居住要件を設け、保育料や学校給食費を手当から徴収することができるようにする法改正が必要になる。

*地方交付税法改正案
4月交付分の自治体への地方交付税が4.1兆円から2.6兆円に減額されるので、自治体は一時借り入れをする必要が出てくる。その一時借り入れの金利負担が発生する。

*関税定率法改正案
関税法は成立せず、暫定税率が切れるとすべて税率が上がる。
牛肉      暫定税率38.5%が基本税率50%
        100gあたり11円の上昇
麦芽      無税が21.30円/kgの協定税率に。
プロセスチーズ 無税が29.8%の協定税率に。
        150gあたり10円の影響。

コメ、乳製品、コーンスターチの特別緊急セーフガードの法的根拠が無くなり発動できなくなる。
発展途上国向けの特恵国税率がきれる。

*税制改正案
1.成立しないと税金が上がらないもの
給与所得控除の上限設定
法人役員の給与所得控除の縮減
勤続五年以下の法人役員の退職金の二分の一課税廃止
成年扶養控除の縮減
相続税の基礎控除引き下げ
相続税の税率見直し
地球温暖化対策税の導入  等

2.成立しないと税金が上がるもの
航空機燃料税の引き下げ
NPO法人への寄付に対する控除率40%の税額控除の導入
贈与税の税率緩和
相続税の未成年者及び障害者への控除額引き上げ
法人税率の引き下げ
中小企業への軽減税率の引き下げ
上場株式等の10%軽減税率の延長  
住宅用家屋の売買に関する登録免許税の軽減税率の延長
不動産の譲渡に関する印紙税の特例の延長
日本入国の際の煙草やウィスキーの税率の特例の延長
農林漁業用A重油に関する石油石炭税の免税措置の延長  等

*独立行政法人日本学術振興会法改正案
23年度新規に採択される科学研究費の支払いができなくなる。

*教職員定数法改正案
小学校一年生の35人学級化に伴う義務教育国庫負担分の支払いが遅れる。都道府県が一時借り入れをする必要が生じ、金利負担が発生する。

*地方税法改正案
不動産取得税、特にJリート・SPCの課税標準の特例措置が失効し、税率が3倍になる。

*国民年金法改正案
年金支給には影響はないが積立金2.5兆円の取崩が必要になる。

*公害財特法改正案
港湾浚渫の資金手当ができなくなる。

*雇用保険法改正案、特定求職者支援法案
会期中に成立すれば問題なし。

*戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法改正案
特別給付金の支給ができなくなる。

予算関連法案の中には、会期中に成立すれば問題が起きないもの、自治体が一時借り入れをすることになり金利が発生するもの、問題が起きるものなど様々な影響があり、与野党で一つ一つ合意して三月末までに通すべきもの、予算修正とセットで修正すべきもの、会期中の対応で大丈夫なものの仕分けが必要になる。

与党国対は、特例公債法案が成立しなくとも6月までは政府の資金繰りは大丈夫と考えているふしがあり、その間に社民党を抱き込んで再議決すればいいという安易な考えがそこはかとなく伝わる。財務省と与党のこの温度差が、不注意からの破壊的な事故につながりかねない。

一方、自民党には「解散総選挙に追い込め」との安易なキャッチフレーズとともに、解散に追い込めなければ総裁の責任を追及するといった自爆テロ型の雰囲気もあり、予断を許さない。

官邸と与野党国対の間で、法案処理をするためのメカニズムが必要だ。



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