わかってない総理

2011.02.03

予算委員会を見ていると、菅総理は年金制度を理解しているのか疑問に思う。いや、絶対にわかっていないだろう。

社会保険料方式なら20兆円ですむが、税方式なら30兆円かかるなどという馬鹿なことは起こらない。なぜ、そういうことを総理はきちんと指摘しないのか。

年金を税方式に切り替えて最低保障年金を導入して(社会保険方式では未納、免除が発生するから全ての日本人に年金の最低金額を保証することはできない!)仮に一年間に30兆円かかるとするならば、現実に最低限の年金金額を日本人に保証すればそれだけコストがかかるのだ。

しかし、年金の他に年収がある人には最低保障年金を支払わないようにすれば、30兆円からコストは下がっていく。

仮に20兆円でやれというならば、その水準に所得制限をかければいいだけの話だ。

社会保険料方式だと20兆円で済むというのは、未納や免除に対して年金の支払いをしていないから、済んでいるのだけだ。

税方式ならば、所得の多い方から最低保障年金の支払いをカットすることができるが、社会保険料方式の場合、(所得が多くても保険料を支払わない人もいるが)多くは現役時代に所得が少なくて保険料の免除を受けたり、未納になったりした人が年金を受け取れなくなってしまう。

社会保険料方式だと20兆円というのは、それだけ現役時代に所得が少なかった人の年金を下げるか、無年金にしているからコストが安い。

そしてそういう人たちに生活保護を支給しなくてはならなくなるから、その分、コストがかかる。その分の行政コストが余計にかかるし、生活保護を受けられるレベルの収入であっても生活保護を受けない人もいる。生活保護を受けることによって、医療費その他を免除してもらえば、財政コストはさらに余計にかかる。

という指摘をきちんと総理がすべきだった。

年金の一元化も、今の国民年金の人に厚生年金の保険料を企業負担分まで支払ってもらいましょうという一元化などではない。

税方式の基礎年金の上に、積立方式の二階部分をつくり、サラリーマンは本人負担と企業負担、自営業なら本人負担の保険料を積み立てていく積立保険料比例方式に改めようというのだ。自営業でも本人が望めば本人負担の2倍まで積み立てることを認めれば、サラリーマンと同じ年金額になる。

積立方式ならば45年間で積み立てたものを平均余命で割ってもどすから、金利を入れなくても一万円の積立金は年金の三万円近くになる。

職業を問わず同じ制度に入り、転職してもそれまでの積立がきちんと引き継がれることを一元化というのであって、国民年金加入者を厚生年金に加入させるのが一元化ではない。

税方式というのは民主党案ではない。きちんと年金制度を持続可能なものにすべきだと思っている人たちの願いだ。消費税の収入に手を突っ込まれるのがいやな財務省と社会保険料収入という既得権を失いたくない厚労省が反対しているのだ。

総理はそれもわかっていない。財務相時代に財務省に洗脳され、それで財務省おすすめの与謝野さんを入れたのだろうが、本質を見失っている。

こんな総理が率いる内閣に社会保障改革はできないし、やらせてはならない。



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