ブッチホンで思い出したこと

2011.01.27

小渕恵三外相が初めての国連訪問でニューヨークに行かれた時、山本一太さんと2人で随行した。ブッチホンがかかってきて、君、オルブライトさんの教え子だろ、ニューヨークで会談するからついてきてくれないか。その場でハイと答え、2日後の飛行機に飛び乗った。

当時、山本一太、河野太郎のコンビで、日本の国連の安保理常任理事国入りを目指して、常任理事国の代表部を2人で飛び込み訪問したりしていたのを小渕さんはよくご存じだった。

初の会談の前に、小渕外相は僕にこう言った。「君、そこの廊下に立っていてくれ。向こうからオルブライトさんが歩いてきて、君を見つけて話しかけるだろう。そしたらしばらく雑談してくれ」「かしこまりました」。会談の部屋に入ったオルブライトさんに、小渕外相は「彼はあなたの教え子だそうですね」と話しかけたそうだ。実は、前任の外務大臣がオルブライト長官と折り合いがメチャクチャ悪かったそうだ。なんとかオルブライト長官との初会談をなごやかにやりたいという小渕大臣の小道具に使われたのだ。

外相日程の中に、ニューヨークのメトロポリタンオペラのシーズン初日「カルメン」の観劇というのがあった。演出もキャストもすごかった(らしい)。外務大臣はクリントン大統領夫妻とボックス席でご覧になったが、我々はダフ屋から目の玉飛び出るような値段で切符を買って、交通規制の厳しい中、必死に検問を通り抜けて劇場に駆けつけた。

そして満席の観衆が待つ中にクリントン大統領夫妻が到着した。観衆は総立ちになり、割れんばかりの拍手。僕らのまわりのアメリカ人は共和党支持者だと話していたが、彼らも立ち上がって、大きな拍手。「クリントンは民主党じゃなかったっけ」とちゃかそうとしても、「彼はアメリカの大統領だ」と当然のように敬意を払う。

ひるがえって日本の国会。
かつて自民党政権時代は、衆議院議長が後ろの扉から入場し、議長席に着こうとすると、全議員が立ち上がって議長を迎えた。

ところが政権交代後、横路議長が議長席に着こうとしても、野党議員の多くは(正直に言えば自民党議員の多くだ)起立して議長を迎えようとしない。

そりゃたしかに、以前の横路議長の采配に問題があったかもしれない。小沢一郎手下の民主党の国対の顔色をうかがっていたという批判はあるかもしれない。しかし、自分達の院のトップに敬意を払わないのがよいことなのか。しかも、新人、若手に院の権威を伝えるはずのベテラン議員の多くが起立しない。

今日の代表質問でも、「総理、ゆっくり外国に行ってください。なんならそのまま外国にずっと行ったままでも云々」。そりゃ、相手党の首相だ。しかし、日本の首相だ。個人的に尊敬するかどうかは別として、きちんと敬意を払うべきではないか。

相手の悪口はもういい。この国が直面する問題を解決するために何をすべきかを議論しよう。相手の政策が、法案が、予算がおかしければそれを批判するのは当然だ。しかし、相手の人格を攻撃するのはやめよう。



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