ソニー対トヨタ対パナソニック?
2009.02.04
プロジェクトJで、慶応大学の清水浩先生をお招きしての勉強会。
清水先生は、インホイールモーターと集積プラットフォームという新しい設計で時速370kmを実現した電気自動車エリーカを開発した。
リチウムイオン電池、高性能インバーター、ネオジウム-鉄磁石によるモーターという新しい技術と、エンジンの力をシャフトを通じて車輪に伝えるのではなく全ての車輪にモーターを挿入するインホイールモーターと、電池、インバーター、コントローラなどをシャシーの床下に収納した集積プラットフォームという新しい考え方に基づいた自動車を試作し、エリーカと名付けた。
エリーカは30分の充電で300kmの走行が可能で、ガソリン車が最高時速290kmしか出していないブリジストンのテストコースで312kmを記録。
ポルシェ911ターボより加速が速い。(時速100kmに達するまでにポルシェより0.1秒早く、160kmに達するには2.2秒早い)
ガソリン車の設計に電気自動車のメカニズムを入れるのではなく、電気自動車ならば全く新しい設計から入るべきというのが清水先生の主張だ。
エンジンやトランスミッションといった現在の自動車のコア技術が電気自動車では必要なくなるので、デジカメに電機メーカーが殺到したように、電気自動車では自動車メーカー対新規参入する電機メーカーその他の戦いになる。
もっとも現在は、自動車メーカーは電機メーカーのお得意様なので正面切って参入する電機メーカーはいないが、そろそろ背に腹は代えられなくなってくるだろう。
清水先生と組んで新しい電気自動車に参入するメーカーが早く出るべきだ。
自動車メーカーの部品サプライヤーにとっては一生に一回の大どんでん返しのチャンスでもあり、新たな合従連衡で下克上を狙うべきだ。
そしてこうした技術で造られる自動車の様々な仕様を世界標準にするためにも日本は積極的に動く必要がある。もちろんIRENAもそのための大切な道具だ。
太陽電池、リチウムイオン電池そして「ネオジウム-鉄磁石」がこれからの鍵だというのが清水先生の主張だ。
(ネオジウム磁石は、温度が上がると磁性を失う。ジスプロシウムを混ぜるとさらに高温に耐えられるが、ジスプロシウムは主に中国からしか産出しない。ネオジウムの結晶を小さくするなどしてジスプロシウムを使わなくても大丈夫な磁石をつくれるかどうかも鍵を握る)
トヨタはガソリンエンジンがなくなるのはなるべく先延ばしにしたいだろうし、東京電力は発電に分散型の発電システムが入ってきてこれまでの利権が失われることを嫌がるだろう。しかし、これは日本にとって避けて通れない道だ。
これまでの利権、バリューチェーンを壊してでも新しいものを創る必要がある。
そのためには電力会社と経産省と与野党の族議員(ほら、あいつとあいつとあいつとあいつ)をぶっとばさなくてはならない。
高速増殖炉(プルサーマルは論外だ)に多額の金をかけるならば、一足飛びに太陽光発電にいくべきだ。日本は再生可能エネルギー100%を目指すべきだ。
太陽光発電も領が10倍になると価格は半分という価格曲線に従ってきた。経産省のサボタージュで日本のリードが失われようとしている。今やるべきことは、これまでの利権を壊して将来をつくること。
漢字が読めなくても、日本の将来が読めれば、立派な総理だ。