なんちゃって国際機関の終焉
2008.05.22
なんちゃって国際機関日本-ASEANセンターは、本日より、きちんとした管理下に置かれ、天下りは禁止され、意味のない銀座の展示会場と事務所は来年三月で廃止される。
福田赳夫首相が設立したときは、たしかにまともな使命をおびたきちんとした国際機関であったのだろう。
しかし、時の流れとともに、外務省の天下り先として、なんちゃって国際機関になりはてた。
このセンターに関する協定では、日本が9、ASEAN全体で1、つまりASEAN各国はそれぞれ1の十分の一だけを負担することになっていた。
折からのODA削減のあおりはこのセンターにもおよび、外務省はセンターの費用を捻出するために、日本の7に対してASEAN側が1を出すように協定の改定を仕掛けた。
この協定は、数百ページもあるような他のいくつもの条約と一緒に自民党の外交部会に提出され、外務省の思惑通り、おそらく誰一人として内容を精査する前に、了承された。
しかし、政調審議会で、このセンターに疑問を持っていた一人の議員が、この協定に反対を唱えた。本来、政調審議会は全会一致のはずであるが、意味不明な理由で、賛成多数で総務会に送られ、総務のうち誰一人として内容を読んだ人間がいない中で、この協定は承認された。
与党審査を経ているといっても、こんなものだ。
センターも外務省も経費管理もまともにせず(そのためのシステムすらない)、貿易、観光、投資とおまじないのように唱えるものの実態はなく(NGOがやっているフェアトレードの物品のほうがまだ売れている)、天下った役人が二千万円の給与と秘書と自動車と銀座のオフィスを楽しみ、外務省と国交省と経産省とJETROから出向できた人間はセンターが朽ち果てるままになにもせず..。
たった一人の反乱は、まず、この協定の委員会審議を遅らせられるだけ遅らせることで始まった。与野党の筆頭理事とそのほかの理事会メンバーのご支援とあきらめで、ASEANとの包括連携協定とこのセンターの協定の二つを残すだけになるまでがんばるも、いよいよあとがない。
継続審議にすることを訴えるも、国対から理事を差し替えろという脅しが入りかねない状況になり、三原筆頭と政調担当の高木理事、そして国対で外務委員会担当の岩屋副委員長と四人で鳩首会議を開くも、与党内の手続きが済んでいる以上、国対としては天ぷら屋に徹するしかない(法案を「あげる」しかない)ということに。
小野寺外務副大臣からは、河野太郎理事差し替えになれば一番喜ぶのは外務省だから、早まるな、と。
協定そのものは、本来、センターが機能していれば日本側の負担軽減になるはずのものなので、協定はあげるにせよ、センターの無駄を排除し、天下りを禁止させ、無意味な銀座の展示会場と事務所を廃止移転ということを実現するべく、小野寺副大臣と打ち合わせに入る。
河野太郎が外務省相手にごねているという話を、外務省があちこちにご注進に走る。風の便りであっちにもこっちにも根回しに役人が行っているという話は聞く。
小野寺副大臣はおくびにもださなかったが、副大臣にも有象無象が圧力をかけたに違いない。
銀座の展示会場の閉鎖にしても、外務省は、中立的なコンサルタントを雇い、移転した方が効果的かどうか調査するなどと開いた口がふさがらない。
センターのトップの給与も、ASEANの事務総長の給与が1200万円を切っているのに、なぜこのなんちゃって国際機関のトップが2000万円ももらうのかという問いに外務省の官僚は、では二割減でなどとまるでバナナのたたき売り。
とうとう最後はASEANの事務総長と同額にするがジャカルタと東京の物価差を考慮に入れて地域手当を付けるなどとほざく。
外務省の官僚が必死で逃げをうつが、小野寺副大臣が一項目ごとに外務省の役人の意見とこちらの意見を聞きながら、それぞれ判断していく。
天下りは禁止、給与はASEAN事務総長を上回らない、地域手当などなし、銀座は来年3月で移転、展示会場は廃止等々。
それでも外務省は抵抗する。が、今日の委員会での答弁で、副大臣が覚悟を決めてビシッと決める。
ついでに太平洋の島嶼国とのセンターについても質問する。
副大臣は、極めて正直に、あのセンターに島嶼国の元首が来日してもつれていきたくありません。
とても見せられるような場所ではありません。
島嶼国との有効に役立っているとは思えません。
と、きっぱり。
なんちゃって国際機関は、まだまだある。
ASEANセンターの運営に責任を持つ理事会には、日本政府を代表して外務省のアジア局長が出席している。
なぜ、理事会がこのような状況を許してきたのか、理事会は何をやってきたのかを聴きたいと出席を要求するが、ワシントンに出張中とのこと。成田空港に三時二十五分着というので、質疑時間を十分だけ最後にまわしてもらってアジア局長の到着を待つ。
が、間に合わない。
委員会終了、と同時に、今到着しましたっ。
うーん、柱の影で待っていたなっ。