亜硝酸ナトリウム

2008.05.22

元東京都消費者センター試験研究室長 増尾清監修 堺英一郎著
「食べてはいけない! 危険な食品添加物」徳間書店

この本の12ページに
「無塩せきハムは、新鮮な良質の豚肉がもつ粘りの特性を活かし、亜硝酸塩(亜硝酸Na、亜硝酸ナトリウムという表示もあり)、硝酸や硝酸Kなどの化学合成添加物を使用しないで製造したハムです。これは比較的安全といえるでしょう。」

さらに、この本の27ページに、こういう記載がある。
「発色剤(亜硝酸Na) 変異原性の不安があります。特に魚に含まれるジアミンと反応し、強い発ガン物質をつくります。」

さらにその下には、
「亜硝酸と発ガン物質 
発ガン物質の一つとして知られるジメチルニトロソアミンは、動物性たん白質が分解してできたジメチルアミンと亜硝酸が反応することによって生成されます。このため、亜硝酸を添加した食品を食べるとガンになる恐れがあるともいわれていましたが、発色剤には使用基準が定められ、食品への使用量が規制されています。また、発色補助剤として用いられるアスコルビン酸には、ジメチルニトロソアミンの生成を阻害する作用があることも報告されています。」

郡司和夫著 「これを食べてはいけない」三笠書房
この本の55ページには
「『危ない食品』への自衛策  ピンクサーモン色のハムは発色剤(亜硝酸塩)で染まったもの。発色剤は、保存料のソルビン酸と反応してニトロン化合物という強力な発がん性物質を作る。この二つが表示されていないかとくに注意。」

ところが
芳川充著 「食品の迷信」 ポプラ社
によると、(長くなりますが149ページから引用します)

「また、これも猛毒のようにいわれることの多い『亜硝酸ナトリウム』。ハムやソーセージなどの防腐剤兼発色剤として使われます。亜硝酸ナトリウムが問題にされる理由は、2級アミンと接触すると発がん性のあるニトロソアミンができるからです。
 2級アミンは肉や魚に必ずといっていいほど含まれているので、亜硝酸ナトリウムを摂取するとほとんどの場合、発がん性物質ができることになります。
 この事実だけをセンセーショナルに叫べば、『食べたらがんになる!』と誰もが恐怖を感じるのかもしれません。」

「ではなぜ『亜硝酸ナトリウム』はハムやソーセージに使われているのでしょうか。
 腸詰めの燻製肉を重要な保存食として用いてきたヨーロッパでは19世紀末までボツリヌス細菌による食中毒の危険にさらされていました。この食中毒菌が作り出す毒素は、フグ毒やサリンの何千倍も強い毒性を持つ、地球上最強の毒素といわれています。
 それが『亜硝酸ナトリウム』の開発によって、この燻製腸詰めによるボツリヌス食中毒は劇的に姿を消したといわれています。」

「ちなみにボツリヌス菌は絶対嫌気性生物(増殖に酸素を必要としない生物で、多くは細菌)で、摂氏120度にも耐えることができるので、レトルト真空パックで加熱処理しても増殖してしまうやっかいな細菌です。
 この恐ろしい細菌をほぼ100%抑えることができる防腐剤こそが『亜硝酸ナトリウム』だったのです。」

「食卓において、実際に人が日常摂取する亜硝酸というものはほとんど野菜からのものなのです。
次に示すのは、主な野菜に硝酸塩がどれだけ含まれているかを調べたデータです。硝酸と亜硝酸は相互に変換するので、同じように考えてかまいません。

 ホウレンソウ 3560+-552 (単位はmg/kg)
 キャベツ    435+-215
 キュウリ    384+-0.8
 ハクサイ   1040+-289
 ナス      387+- 47
 ゴボウ    2350+-438

 もちろん化学肥料の使用状態によってこの数値は動きます。亜硝酸ナトリウムをハムに使用する基準は最大でも1キログラムあたり70ミリグラムですから、野菜に含まれる量のほうが遙かに多いのがわかります。」

「だからといって、これらの野菜が危険なのかというと決してそうではありません。なぜなら、野菜にはそれ以外の有益な成分がたくさん含まれているからです。
 危険になりうるのは、あくまで同じものばかり異常な量を摂取する場合だけと考えていいでしょう。
 また、世界的機関であるFAO/WHOの合同食品添加物専門家会合(JECFA)は、『硝酸塩の摂取と発ガンリスクとの間に関連性があるという証拠はない』と指摘していることも付け加えておきます。」

食品の安全性について、特に食品添加物について書かれた本でも、これだけ多様性に富んだことが書いてある。消費者庁が設立されたあとでも、消費者は、きちんと自分で正しい情報を判断し、科学的に、合理的に行動することができなくてはならない。

食べ物の安全について、政府もマスコミも、もっともっと情報発信を考えていかなければならない。

と、全国消費者団体連絡会の2008年度レセプションに、岸田大臣とともに自民党を代表して出席しながら思った。



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