なんちゃって国際機関
2008.02.22
ASEAN貿易投資観光促進センターというのがある。
福田(父)首相が設立を約束し、1981年に日本とASEANで設立された。
目的は、ASEANから日本への半加工品と製品の輸出の促進。
日本からASEANへの投資と観光の促進。
たしかに1981年当時は意味があったかもしれないが。
日本の拠出は4億7000万円の義務的拠出金と1億5000万円の任意拠出金。それに銀座にある展示場の家賃8600万円。
で、この組織の理事長は外務省の天下り、給与二千万円。
その下に四つの部門があり、部長が一人、部長代理が二人。
部門 部長 部長代理 部長代理 職員数
総務部 経産省 外務省 フィリピン 8名
貿易部 JETRO 経産省 プロパー 9名
投資部 カンボジア タイ 経産省 4名
観光部 ブルネイ 国土交通省 プロパー 3名
合計三十七名の組織に、現役の官僚が五人出向し、ASEANから四名。プロパーは幹部に二人。
部長の給与一千万円、部長代理八百万円。幹部13人(天下り一人と権益官僚五人、ASEAN四人、プロパー二人JETRO一人)の給与合計が一億二千四百万円。
義務的拠出金の4億7000万円のうち、事業費は約二億二千万円だという。で、幹部の人件費に一億二千四百万円。
で、このご時世、バリ、プーケット、ペナン、バンコク、シンガポール、パガン...、ASEANへの観光旅行は、民間ベースで充分に促進されていませんか。
ASEANへの投資促進も、幹部に一億二千四百万円の人件費かけて、お上がやることですか?
いやいや、これからは、このセンターで日本への投資、日本への観光も促進していこうということで...。
ちょっと待った。国土交通省に観光庁なる組織を作ることになったのだから、日本への観光促進は、幹部13人に一億二千四百万円の人件費を払う組織にやっていただかなくても、それを生業とする組織がやります。
国土交通省におかれましては、こんな組織で対日投資がどうこう言う前に、空港の外資規制をどうにかせんかい!
で、このセンターで、どれぐらいの投資、観光、貿易の効果があるのとたずねると、いや、このセンターは非営利の国際機関ですからと答が返ってくる。
そう、このセンターは、独立行政法人ではなく、れっきとした国際機関なのである。だから、昨年末の独立行政法人の見直しの対象にもならないのだ。なんという役人の知恵!
カメレオンさながらに、どんな行革にも引っかからない、国際機関様でござる。
たぶん、民間企業OBを任命すれば、合計三十七名の組織で幹部13人もいらないよというだろうし、一億二千四百万円も幹部の人件費がかからないに違いない。
しかも、一億二千四百万円の給与をもらう13人の幹部の上に、役所の人間と在京の大使からなる執行委員会というのがあって、さらに、そのうえに各国の外務省の局長クラス(日本は齋木アジア大洋州局長)からなる理事会がある!
年間事業費二億二千万円プラス一億五千万円の任意拠出金の組織のために、局長が各国から集まって、理事会をやるのである。
ちなみに三十七名の組織で、総務部が八名。
しかも、外務省がセンターの「有用性」(役所にとって?)を説明するために持ってきたセンターのパンフレットには、銀座にある年間家賃八千六百万円のセンターの展示場の所在地を示す地図が載っていない!!
給与一億二千四百万円の幹部がどれだけ真剣に仕事をしているか、よく伝わるではないか。
本当に、この国際機関、必要ですか。
ASEANへの、あるいは、からの観光促進をやりたかったら、国土交通省の航空局をクビにして、オープンスカイやったらよろしいし、空港整備特会を廃止して、着陸料その他を下げたらよろしい。
ASEANからの半加工品や製品の輸入促進やりたかったら、きちんと目標を立てた上で、民間企業から人を雇えばよろしい。
FTAきちんとやればよろしい。
外務省は、このセンターを維持するのはASEANに対する日本の姿勢の問題だというが、それならオープンスカイやFTAや看護人材の受け入れをきちんとやればよいことで、なにも13人に一億二千四百万円も支払わなくてもよい。
ASEAN各国は、このセンターを高く評価していますと外務省はいうが、その舌の根もかわかぬうちに、これまで運営費は日本が9でASEANが1だったのを、ASEANの抵抗を押し切って7対1の拠出にしましたと言う。
そりゃ、ただなら誰でも、何でも評価する。
9対1ならいいけれど、7対1はいやだというのは、この組織を評価しているとはいえないのではないか。
ぼくはこんな組織要らないと思うが、みなさんはどう思います?