大丈夫か、外務省
2007.10.07
崩落したベトナムのカントー橋の開発調査は、JICAが実施している。
つまり、調査、設計、施工とオールジャパンで行った橋の工事に不備があれば、日本の技術への信頼が揺らぐ。
JICAの調査報告書によれば、橋梁を鋼PC複合斜張橋に決定した理由として「90-95mと深い支持層が存在するために、長大支間が可能な橋梁形式を採用することによって、橋脚数を減じ、コスト低減を図ることが可能である」(最終報告書要約版P18)とある。原因調査では、この選定にまでさかの ぼって調査する必要があるだろうか。
日本のメディアは共同通信のみが多少フォローしているほか、関心なしのようだ。
外務省の5日付の報告書では、依然として福田総理の弔意に対するベトナム側の謝意などが書かれているが、お悔やみを言ったら普通はそれに対してお礼がある。それをいちいちと書き立てる必要があるのか。
事故原因に関すること、原因究明に関することなど、外務省は何も把握していないようだ。
設計と施工の間の責任の切り分けなど、第三者がきちんときりわけるべきこともある。外務省は当事者意識があるだろうか。
ODA予算を半減し、きちんとODAを管理するべきだと日頃から申し上げている。
一部の自民党議員が、外交力を強化するためにODA予算を増やすべきだなどと的はずれな主張をしているが、外交力が強ければ、札束にものを言わせる必要はないのだ。
ODAを出さないと外交ができないのが問題なのだ。
今のODA予算でも、きちんとそれを管理することができていないではないか。
こうした事態が生じたときに、危機管理もなにもかもが後手に回っているこの状況が、ODA管理能力の欠如を表している。
最近、東京の外交団コミュニティでよく聞く話がある。
ある国に赴任していた日本の大使が、離任するにあたり、先方の元首である国王に拝謁を求めた。先方は、日本の大使だからと気を利かして、では明日何時にと時間を調整したが、日本の大使は今日の明日というのは日本の大使を馬鹿にしていると、それを拒否した。
先方は驚くとともに、大いに怒った。
あーあ、何でGaimushouの人はこうなんだろうね、外交官になっていながら、相手の国とうまくやろうとか、相手に喜んでもらおうということを考えないなんて、ほんと変わっているよね、と東京でその話をする各国の外交官はあきれている。
僕もその大使にお世話になっているし、日本と赴任国の関係に関して、とても立派な業績を残された。それなのに、広くそういう話が流布されてしまい、在京の 外交団で話題になっちまうというのは、それも、いろんな国の公電でこの話が本国に打電されているというのは、あの外務省改革はどうなったんだ。