条約刑法

2006.04.21

犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法などの一部を改正する法律案の国会審議が始まる。
この法律案は名前が長いので、略して「条約刑法」と呼ばれる。

条約刑法は、平成15年に国会で、自民党、公明党、民主党および共産党が賛成して承認した「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」に基づいて刑法や刑事訴訟法その他の法律を改正するための法律である。
この「国際連合条約」とは何かというと、組織的な犯罪の共謀罪や証人などを買収することを処罰する規定を設けたり、贈賄罪に関して自国民の国外犯を処罰する規定を設けたりする法整備を各国がやることを決めたもの。
この条約の審査は国会で、自民、公明、民主、共産が賛成し、特に条約に留保事項をつけることもなく承認された。

この条約刑法は、自公民共が賛成して承認した条約に基づいて、条約が批准した各国に求める法整備を一括してやるものだ。

この条約刑法を批判する声の中に、「共謀罪」などという罪を新設するのはけしからんという声がある。
が、日本には、いまでも共謀罪という罪がある。たとえば、
刑法、軽犯罪法、爆発物取締罰則、地方公務員法、国家公務員法、スポーツ振興投票の実施に関する法律、モーターボート競走法、小型自動車競争法、競馬法、 自転車競技法、破壊活動防止法、自衛隊法、日米相互防衛援助協定などに伴う秘密保護法、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に 基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法、
に、それぞれ共謀罪又は陰謀罪が設けられている。
だからこの条約刑法が共謀罪という罪を新設するものだという批判には誤解がある。

国際的な刑事ルールを整備していくためには、双罰性、つまりこの罪は自国でも罪になるし相手国でも罪になる、を整備していくことが必要だ。
ある犯罪行為が、A国では罪に問われるがB国では罪に問われないという状況では国際的な刑事協力が難しくなる。だから、世界各国がきちんと組織犯罪に関する行為を同じように処罰することにしましょうというのがこの国連条約の狙いである。



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