北朝鮮ワークショップ

2006.02.19

再びハワイ一泊三日。
Institute for Foreign Policy Analysis(IFPA)主催の北朝鮮に関するワークショップに出席する。

議題は安全保障、核廃棄と査察、経済関与の三つ。
核問題と改革推進の二つが大きなテーマで、拉致問題は日本以外の参加者の頭にはまったくない。
経済関与の議論では、改革推進に寄与する支援と改革を妨げる支援の議論があり、マネタリーベースを作るための支援、資本市場創設のための直接支援、対外債 務を削減する支援、予算や徴税システムを作るための支援、経済データを明らかにするような支援が最重要という意見が出される。
生産と貯蓄を奨励するような支援を重視するべきで消費を促進するようなものは改革に逆行する。私企業のための支援や中国にいる近親者からの支援は促進されるべきという議論が飛び交う。
そして、北朝鮮国内の農家の生産促進を妨げる米やトウモロコシと言った穀物支援は最も害が大きいという意見がアメリカ側から出される。穀物支援は市場価格を破壊し、改革を妨げる。
燃料や電力の支援も本来、海外からの直接投資が行われるべき分野での投資を阻害するために行われるべきではないという意見がやはりアメリカから出てくる。
アメリカ側の意見は北朝鮮の食糧配給制度を助けるような支援、都市への支援には反対だ。
日本からの支援金はこういう風に使われるべきだという意見がぼんぼん出るので、日本からは拉致問題が解決されるまではびた一文支援はないと言い切るが、日本以外の発言には拉致のらの字もない。
アメリカ対韓国・中国という意見の対峙がしばしば見られるが、拉致にこだわる日本の出番はない。
拉致が解決しなければ日本は単独で経済制裁も辞せずみたいなことをコーヒーブレークで言っても、それでどうなるのの一言でお終いになる。

北朝鮮を除く六カ国協議のメンバーがそろった小グループの議論では、経済支援に関するシミュレーションが行われた。
極めて現実的なのものだが、拉致は要素にない。
拉致が解決しなければ日本は..と発言すると、一言、拉致が解決したと想定してやってくれ。

コーヒーブレークでは、核の問題が解決し、改革が進めば拉致は解決するではないか。なぜ北東アジアの最重要課題に日本はリーダーシップをとらないのか。あるいはなぜ日本はこの問題に参加しないのかという意見が出てくる。
アメリカ側からはベトナムとの国交回復時にPOWの問題がやはり大きく取り上げられた。だから日本の気持ちもわかるという声もあった。

核査察では南アフリカやリビア、イラクでの査察経験者を中心に、極めて現実的なディスカッションが展開される。
査察に必要な時間はどれぐらいかというテーマでは、時間はいくらでも必要だ、だからどれぐらいの時間が必要かと尋ねられたときは政治的にどれぐらいの時間をかけることができるかということを推測して必要時間を割り出さなければならない。
査察チームには政治的なベースが必要で、相手国の駆け引きの材料にならないようにチームは統一された指揮命令系統の中で動く必要がある。だれが査察するか も重要で、北朝鮮の査察に日本人が加わったら上手くいくはずがない。査察の優先順位を明確に決めておく必要がある。モノを見つけるという以外の政治的な目 的があれば査察は上手くいかない。安全に関するルールやトレーニングなどといったRules of Engagementを明確にしておかなければならない等々の現場の議論が続く。

昼食ではイラクをはじめ各国で査察を行ったメンバーと隣り合わせになり、現場で何があったかという信じられないような話をいろいろと聞いた。たぶんポカンと口を開けて聞いていた。
この会議に参加しているということは、それだけで信頼に値するということなのかもしれない。
コーヒーブレークやレセプションでは、六者協議では云々、ホワイトハウスは云々という話が飛び交う。初めてこの問題で現実に触れた気がした。
主催者は、日本の政治家を一度呼びたかったんだ、また来てくれとありがたい話。

ジム・ケリー前国務次官補、フランク・ジャヌージ米上院外交委員会スタッフなどの顔なじみに加え、アメリカからはCIAのアジア経済スペシャリスト、国防省のOn Site-Inspection Directorateのディレクター、国務省の核不拡散政策立案の責任者、国務省の韓国部長、ハーバードのケネディスクールの北朝鮮分析グループのプロ ジェクトリーダー、国防大学前学長、イラクにおける核兵器捜索のCIA責任者、NSCが創設した省庁横断の北朝鮮における核兵器の査察及び廃棄のための ワーキンググループの責任者等々の専門家がずらりと出席。
韓国からは閣僚級ポストの北東アジアに関する大統領委員会委員長をはじめ、外交通商省の北朝鮮核問題タスクフォースの責任者、国防省の国際政策局長、韓国 国防大学教授、韓国海軍駐在武官、KIDA(Korea Institute for Defense Analyses)の関係者数名等。
中国からは中国軍縮委員会の事務総長に加え、CIIS (China Institute of International Studies)とSIIS (Shanghai Institute for International Studies)から数名ずつとそれに加えてCICIR (China Institute of Contemporary International Relations)からも参加。
ロシアからはロシア科学アカデミーのメンバーが参加。
日本からは静岡大学の伊豆見教授と外務省や陸上自衛隊から出席。
六者協議以外ではオーストラリアからも参加がある。



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