エネルギー基本計画続き

2014.04.09

顔見知りの記者たちが、この数日、なぜ原子力協定の本会議採決に賛成したのかと尋ねてくる。

よく考えると、政府提案の法案になぜ賛成したのかと与党議員に真顔で聞くのも変な話だが。

自民党の意思決定の最後の砦である総務会に出て、エネルギー基本計画の党内のとりまとめがおかしい、ルール違反だから部会に差し戻して、もう一度きちんと議論をさせてほしいという主張をしようしているときに、その直前に自分たちが本会議で党議拘束を破って造反していたら、おいおい、君たちもルール違反をしているではないか、ちょっと待てよということになる。

原子力協定とエネルギー基本計画は別物ではあるが、多くの議員は同じ原子力ものと認識しているはずだ。

だから、二正面作戦は避けて、原子力協定の採決には賛成し、エネルギー基本計画に絞って党内できちんと主張しようと呼びかけた。

(ちなみに衆議院の本会議の採決は、記名投票以外はすべて、議員個人の賛否は記録されない! 起立採決において自民党議員が起立しようが、着席のままであろうが、退席しようが、『自民党は賛成』と記録されるだけだ。)

本来、議院内閣制では政府が国会に対して連帯責任を負う。つまり、政府の一員であれば政府の全ての政策を支持しなければならない。しかし、与党が連帯して責任を負うわけではない。与党議員がどう投票するか、それぞれの議員が決めるべきことだ。

しかし、現在の自由民主党は、あたかも与党が連帯して国会に対して責任を負うかのようなシステムをつくりあげている。その前提となるのが部会、政審、総務会がそれぞれ満場一致で承認するシステムのはずだ。

(つまり、与党審査の間に反対する機会はあったはずだが、党内のすべてのプロセスで満場一致だったのだから、反対はありませんでしたね。だから国会では党議拘束をかけても文句はありませんね、という建前だ。)

さらにその前提となるのが、意見の違いを埋めるための徹底した党内議論であるはずだが、このエネルギー基本計画に関しては、それが行われてこなかった。

野党時代には山本一太委員長の下、36回にわたり特命委員会が開かれ、エネルギー問題が議論された。その結果、その議論に参加したほぼ全員が納得する形でとりまとめが行われた。

自民党が与党に復帰して、初めてとなる今回のエネルギー基本計画の議論は、それとはほど遠いものになった。

わずかに各自が意見を述べる平場が三回開かれただけで自公協議が始められ、その後、自公協議の内容の説明もなく、平場での議論も一か月、中断された。

三回の平場の議論でも、党内に意見の違いがあることは明白であり、それを埋めるための様々な努力がおこなわれてしかるべきだった。

しかし、自公協議の終了と同時に、それ以前との変更点も明確に示さない新たな案が平場に提出され、各自が意見を述べただけで一任が求められ、少なからぬ数が反対する中で一任を取り付けたとされた。

これだけ党内に意見の幅があるなかで、わずかに平場を四回開いただけで終わりにするプロセスは、本来の機能を果たしているとは言い難いのではないか。

政調会および総務会は、議論の内容もさることながら、その手続きが正当であったかどうかを確認する役割があるはずだが、具体的な確認もなく了承されてしまったのは、誠に残念だ。

かつての特命委員会をみれば、それなりに党がまとまることは可能なはずだ。今回、全くそれとはほど遠いものになってしまっているのは、とりまとめのための努力が行われなかったからだと言わざるを得ない。

エネ庁が、核燃料サイクルに関して我々が指摘した問題点について、何一つ反論できなかったことを考えると、一つ一つの問題を議論して詰めれば政策転換を強いられることになるという判断があったのだろう。

しかし、政策転換こそが、我々が公約で約束したものであったはずだ。

わずかな慰めは、自公協議で削除された前文の福島に関する記述の一部が元に戻されたことだ。

削除された『2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故は、我が国の社会に対して甚大な被害を与えた。政府及び原子力事業者は、いわゆる「安全神話」に陥り、十分な過酷事故への対応ができず、このような悲惨な事態を防ぐことができなかったことへの深い反省を一時たりとも放念してはならない。 』のうち、
『政府及び原子力事業者は、いわゆる「安全神話」に陥り、十分な過酷事故への対応ができず、このような悲惨な事態を防ぐことができなかったことへの深い反省を一時たりとも放念してはならない。』だけが元に戻された。

この後に「事故の反省と教訓を将来に活かすべく...国民のみならず世界中が厳しい目で中止していることを決して忘れてはならない。」という二段落は削除されたままだ。

いかにエネルギー基本計画を糊塗しようとしても、現実はそれとは乖離している。原子力ムラが望む未来ではなく、国民が望む未来をつくっていかなければならない。



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