今、改めて首都圏大水害を考える

2019.10.16

今回の台風19号で各地で大きな水害が起きています。
 
自衛隊も陸上総隊司令官を長とする統合任務部隊を13日午後4時に編制完了し、31,000人、艦艇8隻、飛行機等130機の態勢で人命救助、孤立した住民の搬送にあたっています。
 
気候変動が続く中、今回の台風はもはや例外的なものとは言えなくなったと思います。
 
以下は、私が防災担当大臣を務めていた2016年に書いたブログです。
 
当時と比べ、さらに状況は切迫しています。
 
今回、荒川の状況は、間一髪だったと言えます。多摩川は、氾濫しました。
 
相模川も危機的な状況にありました。
 
今や首都圏大水害は起こりうる災害として備えなければなりません。
 
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地球温暖化の影響で、自然災害が激甚化してきています。
 
とくに風水害の確率が高まってきています。
 
東京を三次元マップで見てみると、山の手と下町、そして荒川周辺のゼロメートル地帯の様子がよくわかります。
 
これまで200年に一度の大洪水と言われた荒川の氾濫による水害が、今後、もっと頻繁に起きるようになると予測されています。
 
平成11年と平成19年に、大雨で荒川が警戒水位を超え、あわやという事態に直面しています。
 
もし荒川が氾濫すれば、500万人が影響を受けるといわれています。
 
これは首都直下地震で東京都内で発生する帰宅困難者の数にほぼ等しくなります。
 
これだけの人数に避難してもらうことを考えると、24時間から48時間前に空振りを覚悟で避難指示を出す必要があります。
 
しかも、それだけの数の人をどこで受け入れるのかということを考えると、この避難指示は、東京都の各区で出してくださいというわけにはいきません。
 
東京都、あるいは国が責任を持って避難の受け入れ先を準備すると同時に避難指示を出す必要があります。
 
そして、この場合、自動車で移動することは難しく、公共交通機関を使う、あるいは徒歩で移動してもらう必要があります。
 
200年に一度の雨で荒川が大規模に氾濫した場合、東京の地下鉄も相当部分が水没します。東京メトロをはじめ、各社、真剣に対応策を考えてもらっていますが、例えば渋谷駅の場合、ビルの入り口を含めると地下街への出入り口がいくつあるかわかりません。
 
一説によれば関係者が134まで数えてギブアップしたといわれています。そこまで数えたときに、ビル内には関係者しか知らない従業員用のエレベータなどがあることに気がついて、愕然としたそうです。
 
地下街の場合、どんなに対策をしても、1か所からでも浸水すれば、いずれ水没してしまいます。
 
かつてプラハの地下鉄が洪水で浸水した時は18駅の復旧に半年かかりました。
 
荒川の場合は24時間から48時間のリードタイムがあるといわれますが、神田川や目黒川といった都市河川の場合、1時間100mm程度の大雨が降れば、水位が一気に上がります。
 
このような1時間に100mmという短時間の集中豪雨を予測するのは現実的には困難です。
 
昭和22年のキャスリン台風のときは、決壊地点から離れた東京では、浸水のスピードは時速100m程度だったといわれていますが、最近は舗装が進み、水が流れる速度ははるかに速くなっているはずです。
 
特に災害対応では、細部が問題になります。できる「はず」のことを疑う必要があります。
 
万が一に備えて、防災対策を再点検していきます。



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