日本周辺の安保情勢

2019.10.22

日本周辺では、中国、北朝鮮、ロシアといった国等が大きな軍事力を持ち、なおかつそれを拡大しようという傾向が顕著です。
 
特に中国は、急速に軍備を拡大し、「世界一流の軍隊」を建設することを目標に、軍備を拡大、近代化させています。
 
公表されている中国の軍事費は、1989年から急速に拡大し、この30年間に48倍、2009年からの10年間だけでも2.5倍になりました。
 
2019年度の日本の防衛関係費は約5兆円ですが、中国の公表国防費は約20兆円を超え、日本の約4倍です。
 
しかも中国の公表国防費には外国からの装備品の購入額や研究開発費は含まれていないとみられ、実際の軍事費はさらに大きくなるとみられます。
 
中国は、1991年までは、近代的な潜水艦や駆逐艦、あるいは第四・第五世代戦闘機をなに一つ保有していませんでした。
 
しかし、今日では自衛隊でも19隻しか保有していない近代的な潜水艦を46隻、近代的な駆逐艦を自衛隊の48隻に対して61隻、第四・第五世代戦闘機に至っては自衛隊の三倍近い988機も保有しています。
 
中国は、確立された国際法や国際秩序とは相容れない独自の主張に基づいて、力を背景とした一方的な現状変更を試みるとともに、東シナ海など日本周辺の海空域で軍事活動を活発化させています。
 
2015年以降、機関砲とみられる武器を搭載した中国公船による尖閣諸島周辺での我が国の領海侵入が繰り返し行われるようになりました。
 
2019年1月から8月の間に24回、94隻の領海侵入が行われました。
 
中国は、尖閣諸島への領海侵入を繰り返してきた公船が所属する海警部隊を、中央軍事委員会の指揮を受ける武装警察に編入する、例えれば海上保安庁を軍に編入するような動きをみせています。
 
また、日本周辺で領空侵犯のおそれのある航空機が発見されると自衛隊が戦闘機を緊急発進させ、相手の行動を監視するなど、一連の行動を実施します。
 
2018年度には中国機に対するこうした緊急発進回数は638回にものぼりました。
 
この年、ロシア機に対する緊急発進回数も343回となり、その他をふくめ合計回数は999回を数えました。
 
冷戦期のピークでも緊急発進は年間944回でしたので、最近の緊急発進は冷戦期を超えています。
 
さらに中国は、太平洋や日本海においても軍事活動を活発化させて、海軍や空軍の太平洋への進出も高い頻度で行っています。
 
南シナ海では、中国の領有権に関する主張は法的に根拠がないとされた国際的な司法判断を無視し、大規模な埋め立てを強行し、戦闘機や爆撃機が発着できる飛行場やミサイル、電波妨害装置などが確認されています。
 
アメリカとロシアがINF(中距離核戦力)全廃条約を結び、中距離ミサイルの開発を凍結している間も、この条約に加入していない中国は、中距離ミサイルの開発・配備を続けてきました。
 
北朝鮮は、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発を進めているほか、大規模なサイバー部隊を保持し、軍事機密の窃取や他国の重要インフラへの攻撃能力を開発していると思われます。
 
また、破壊工作やゲリラ戦に従事する大規模な特殊部隊も保持していると考えられています。
 
加えて、日本に対して挑発的な言動を繰り返していることもあり、我が国にとって重大かつ差し迫った脅威となっています。
 
さらに、外貨獲得のために弾道ミサイルを輸出していることを北朝鮮は認めたことがあり、核拡散と並び、国際社会全体への深刻な課題となっています。
 
ロシアは、ソ連崩壊後、一時的に軍事を縮小しましたが、近年、軍事活動を活発化させ、ウクライナやジョージアなどで力を背景とした一方的な現状変更を行い、シリアのアサド政権を擁護する立場でシリア内戦に介入するなど国際的な影響力の拡大を意図した動きを見せています。
 
ロシアは通常戦力の劣勢を補い、アメリカとの核戦力の均衡を図る観点から、核戦力の近代化を優先的に推進しています。
 
我が国と関係の深い極東地域のロシア軍は、冷戦期と比べると大幅に削減されていますが、依然として核戦力を含む相当な規模の戦力が存在し、活動が活発化する傾向にあります。
 
このように、我が国を巡る安全保障環境は、非常に厳しいものがあります。そのため、在日米軍をはじめとするインド太平洋地域におけるアメリカ軍の存在は引き続き非常に重要です。
 
そして、日本、オーストラリア、韓国などがアメリカとの同盟関係、友好関係を築くなかで、米軍が駐留したり、ローテーション展開したりしています。
 
独自の主張に基づく力を背景とする一方的な現状に対しては、国際法に基づく既存の国際秩序を守るために、国際的に各国が連携していくことが必要です。



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