2003年4月29日号

2003.04.29

ノムヒョン韓国大統領を青瓦台に訪ねる。
塩崎、大村、山本、浅尾、河野の国会議員五人で、ソウルを一泊二日で訪問した。
中央日報主催の日韓の若手国会議員のフォーラムに出席するのが主目的だが、せっかくソウルに行くならば、新大統領を表敬しようということになり、一週間前に急遽面会をお願いする。
チョン・ジョンベ、シン・キナムといった大統領の側近中の側近の若手議員とは既に太いパイプもあり、その筋からお願いし、三十分のお時間を頂いた。うーん、バクダン議員連盟でやってきたことは、ほぼ日韓議連と同じだけの価値がある。
国会議事堂のなかで行われたフォーラムを四時に終了し、雨の中、事前に登録した車で、大統領官邸を目指してひた走る。
四時五十分から三十分の予定の訪問は、延びにのびて、四十五分、まだまだ続きそうだったのだが、帰国する飛行機の時間が迫っていた。
成田に帰るだけの山本、浅尾、河野は乗り遅れても仕方がないが、塩崎、大村の二人は、関空経由ドバイ経由テヘラン経由クルド自治区経由でバグダッドに向かうことになっており、この二人が飛行機に乗り遅れてはまずい。
とうとう山本一太団長が、大統領、大変申し訳ございませんが、飛行機の時間が...。
雨の中、渋滞をかきわけて仁川国際空港へ。ぎりぎりセーフだった。
ちなみに大統領に我々からも羽田−金浦のシャトルの推進の提案をしたばかりだった。

ノムヒョン大統領は、優しい雰囲気で話す人だ。
慶尚北道の人間がなぜ全羅道の政党に入るのかと、私はよく批判されてきた。大統領になると、全羅道に金とポストを与えすぎていると批判された。全羅道では、私は慶尚北道寄りだと言われることもある。
北韓になぜ、強く立ち向かわないのかとも批判されることもある。
小泉首相を韓国にお招きしたが、首相の靖国参拝があった。なぜ、このことに強く抗議しないのかという批判もあった。でも、それを抑えて小泉首相をお招きした。厳しい決断だった。
アメリカとの同盟を強化せよという人もいれば、アメリカに一方的に協力するだけではダメだという人もいる。
韓国と日本は、今後も感情的に対立することはあるだろう。しかし、未来の北東アジアのビジョンがきちんと共有されていれば、それを乗り越えられるはずだ。
私は、EUへの強いあこがれを持っている。
今のEUの基礎を第二次大戦後に作ったアデナウアーとドゴールの政治決断に強い感銘を受けた。
日韓中の関係もEUのように発展させたいと半年以上も国内で主張し続けている。民間交流、自由貿易協定、政治家同士の議論等も大切だが、全て北東アジアをどうするかというビジョンがあっての話だ。ビジョンのない交流や議論は、結果を出せない。

昨晩は、ウォン・ヒーリョンをはじめ、ハンナラ党の若手グループ未来連帯が夕食会をやってくれた。
今日の午後のフォーラムは、ハンナラ党と民主党の若手の精鋭が、大挙してきてくれた。
民主党では、ノムヒョン大統領側近のシン・キナム、チョン・ジョンベ(この二人は、与党民主党を分裂させ、旧金大中派を除いた新しい新党をつくる運動の中心人物だ)、韓国版鉄の女の異名を取るチュ・ミエ、民主党最高委員の一人チョン・ドンヨン、金大中総裁特別補佐官であり院内首席副総務のチョン・セギョン、元延世大学総学生会長ソン・ヨンギル、民主党スポークスマンのイ・ナギヨン等々。
ハンナラ党では、朴大統領の娘でカリスマ的な人気を誇る女傑パク・クネ、金大中大統領の特別補佐役だったパク・ジン、未来連帯のイ・ソンホン、ウォン・ヒーリョン、ハンナラ党院内副総務パク・ジョンヒ等々。
山本一太さんたちとバクダン議員連盟でやってきたことが確実に実をつけ始めている。我々の世代の日韓関係は、たぶん今よりもきっちりとやっていける。

就任したばかりのノムヒョン大統領がイラクへの派兵を決めた時、民主党では約百人の議員のうち四割が反対した。野党ハンナラ党では大部分が賛成するというねじれが起きた。
しかも、ハンナラ党では、若手議員の何人かは、自分達は賛成なのだが、世論を考えると反対した議員もいた方が良いという政治判断で、反対票を投じた議員もいた。
大統領制なのに、国会では与党が少数派であり、アメリカ議会と違って党派が強いという今の韓国の状況は、非常に不安定だ。
韓国の政治は、制度的に極めて不安定な状況を作り出しやすい。どこかで、制度を直していく必要があるのではないか。
そんな中で、ノムヒョン大統領の側近が、民主党を分裂させ、旧世代の古い政治家と袂を分かって、新党を作る運動を始めた。当面は、与党がさらに少数派になり、さらに不安定な局面を迎えるが、来年4月の総選挙で勝つためには、新しい政党で、有権者に訴えるしかないと考えているようだ。
韓国では、与党議員が、派兵問題でも反対票を投じる。与党議員を全ての問題で党議拘束をかけて縛るどこかの共産主義的国家の国会とは大違いだ。

韓国の新世代のエースとよばれ、ソウル市長選で惜敗したキム・ミンソク前議員に久しぶりで会った。大統領選挙では、チョン・モンジュを支持してみんなを驚かせ、チョン・モンジュがノムヒョン大統領と投票日の前日に袂を分かったこともあり、若手の間では、キム・ミンソクに対する反発が非常に強い。四ヶ月間充電していたが、ようやく政治活動を再開する決意を固めたようだ。バクダン議員連盟を立ち上げた時の韓国のカウンターパートでもあり、彼の今後の活躍を祈りたい。



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