TICADをめぐる大きな問題

2025.03.01

TICADとはTokyo International Conference on African Development (アフリカ開発会議)の略で、1993年からアフリカの開発をテーマに日本が開催してきた国際会議です。

現在では、アメリカ、中国、ロシア、インド、韓国、インドネシアなどが同様の会議を開催するようになりましたが、TICADは、アフリカの開発をテーマに、アフリカ各国を招いて行う国際会議の先駆けでした。

私も2019年に横浜で開催されたTICADでは、外務大臣として安倍首相の補佐をしました。(TICADのTは東京のTですが、なぜかよく横浜で開催され、今年の開催も横浜です)

このTICADには、大きな問題が一つあります。

アフリカには、「西サハラ問題」と呼ばれる外交課題があります。

このモロッコの南西のこの地域は、旧スペイン領で、現在、モロッコが大部分を実効支配しています。

しかし、モロッコの実効支配に抵抗する勢力(ポリサリオ戦線)は、「サハラ・アラブ民主共和国(SADR)」の樹立を宣言し、1984年にはアフリカ連合(AU)の前身のアフリカ統一機構(OAU)への「加盟」が認められました。

国連は、この地域の帰属をめぐる住民投票を提案していますが、モロッコとポリサリオ戦線の対立から住民投票は行われていません。

日本は、この「サハラ・アラブ民主共和国」を承認していないので、TICADにももちろんSADRは招待していません。

ところが、アフリカにはこのSADRをTICADの首脳会議、外相会議、事務的な会議に参加させようとする国があり、また、SADRを「加盟」させているAUもSADRが参加すべきという立場です。

私が外務大臣として参加したモザンビークで開催されたTICADの閣僚会議では、SADRの「代表団」を会議場に入れるかどうかで肉弾戦が行われるという事態になりました。

TICAD閣僚会合 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト

このSADRとTICADの問題は日モロッコ関係に大きな影を落とし、モロッコを訪問した際に、モロッコのブリタ外相とはこの問題をめぐっての対応の協議で、外相会談が三時間も続くということになったりもしました。

マグレブ出張 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト

そして横浜での首脳会議にむけて、この問題が息を吹き返すことになりました。

SADRを日本は承認していませんから、当然、SADRのパスポートでは日本に入国はできませんし、会議に参加するための身分証も発行されません。

ところがSADRのメンバーがアルジェリアの代表団としてアルジェリアのパスポートで入国し、アルジェリアの代表団に対して発行された身分証で会議場に入り、会議場の中でSADRの国名が入った札を立てたりするのです。

また、AUが共同開催者になっているので、AUはSADRの肩を持ち、日本の対応を困難にしています。

今年のTICADの首脳会議の準備会合で、同じような事件が起きています。

準備会合が開かれる会議場の中にはSADRの席はなく、もちろん、国名の札もありません。

ところがアルジェリアの代表団の一員として入場したSADRの人間が、空いたスペースに後ろから椅子を引き寄せてすわり、カバンの中からSADRと書かれた札を机の上に置きます。

 
ところが主催者の日本がこれを撤去させなかったために、しびれをきらしたモロッコの代表団の一人がこれを撤去しようとしたところ、SADRを支援する側の人間がそれを投げ飛ばすという事態が起きました。
 
 
日本が主催し、日本で開催されている国際会議で、外交団の一員が、あわやけがをしかねないという事態が起きたことを、主権国として、これ以上黙ってみているわけにはいきません。
 
今後のTICAD関連の会議では、断固としてSADRを排除し、SADRの一員を偽って入場させるようなことをした国にも断固たる対応を取るべきです。
 
先に述べたTICADのようなアフリカ開発に関する国際会議の中で、このような事態が起きているのはTICADだけで、主催者の日本がなめられていると言わざるを得ません。
 
SADRの排除に協力するどころか、むしろそれを容認するようなAUとの共同開催はやめて、日本が開催する会議にAUをゲストで招くようにするべきでしょう。
 
今年のTICADでこのような暴挙を繰り返させてはなりません。


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