新嘗祭2023

2023.11.23

「令和年五年十月二十七日
                        掌典長加地正人
デジタル大臣河野太郎殿

来る十一月二十三日、新嘗祭神嘉殿の儀を行われますので、御参列の向きは、午後五時三十五分までに賢所参集所に参集されますよう御案内申し上げます。
なお、半蔵門、乾門又は坂下門から御参入願います。

服装 モーニングコート、紋付羽織袴又はこれらに相当するもの
なお、外套を着用の上、参列されてもさしつかえありません。

追伸

一、御参列の場合は、夕の儀及び暁の儀への参列が原則ですが、新嘗祭は深夜長時間にわたって行われる祭儀であり、御都合により、夕の儀だけ参列されても差し支えありません。(夕の儀退出予定時刻 午後八時頃)

二、夕の儀終了後、一旦退出され、暁の儀にも参列される場合は、午後十時三十五分までに賢所参集所にご参集願います。(暁の儀退出予定時刻 翌午前一時頃)

三、御本人或いは御家族に風邪の症状等がある場合は参列を御遠慮いただきますようお願い申し上げます。」

「祭儀における参列者の服装は次のとおりですので、念のため申し添えます。

モーニングコート(ベストは黒色、シルクハット・手袋は不要)
ネクタイはシルバーグレー(銀鼠色)のものが望ましい
ポケットチーフは随意

紋付羽織袴
これらに相当するもの(制服等)」

新嘗祭神嘉殿の儀に参列いたしました。

まず夕の儀。

宮内庁からの資料によれば、儀式の次第は

「時刻、御殿を装飾する。

次に神座を奉安する。

時刻、参列の諸員が参進して幄舎に着床する。(午後5時55分頃)

次に親王が参進して幄舎に着床される。

次に掌典長が祝詞を奏する。

午後6時、天皇が出御になり、続いて皇嗣が参進される。(神嘉殿正面から)

次に神饌行立(しんせんぎょうりゅう)

次に天皇が神饌を御親供になる。(午後6時10分頃から7時30分頃まで)

次に天皇が御拝礼の上、御告文を奏される。(午後7時30分頃)

次に御直会

次に皇嗣が拝礼される。

次に親王が拝礼される。

次に諸員が拝礼する。(午後7時40分頃から)

次に神饌を撤下する。

次に天皇が入御になり、続いて皇嗣が退下される。(神嘉殿裏廊下から)

次に神饌退下

次に親王が退下される。

次に諸員が退下する。(午後8時頃)」

暁の儀の次第は

「時刻、参列の諸員が参進して幄舎に着床する。(午後10時55分頃)

次に親王が参進して幄舎に着床される。

午後11時、天皇が出御になり、続いて皇嗣が参進される。(神嘉殿裏廊下から)

次に神饌行立(しんせんぎょうりゅう)

次に天皇が神饌を御親供になる。

次に天皇が御拝礼の上、御告文を奏される。

次に御直会

次に皇嗣が拝礼される。

次に親王が拝礼される。

次に諸員が拝礼する。(翌午前0時40分頃から)

次に神饌を撤下する。

次に天皇が入御になり、続いて皇嗣が退下される。(神嘉殿正面から)

次に神饌退下

次に親王が退下される。

次に諸員が退下する。(翌午前1時頃)」

参集所に夜5時35分ごろ参集します。

今年は例年と比べて温かく、モーニングのベストの下に黒い毛のセーター、ズボンの下にヒートテックとレッグウォーマー、貼るホカロンを背中に張り付け、マフラーとネックウオーマー、外套という格好です。

外套は、黒色又は地味な色、マフラーは白色又は地味な色、毛皮は避けることとなっています。

5時55分に、総理を先頭に衆議院議長、参議院議長、最高裁長官が並び、その後は両院副議長、閣僚、最高裁判事が年齢順に並び、さらに認証官の人事院総裁などが並んで、ろうそくがともされた提灯に導かれて参進し、幄舎に着床(椅子に座る)します。

神殿と幄舎に囲まれた広場では、数カ所に穴が掘られ、たき火がたかれています。

たき火の光と提灯の光のみです。雅楽が奏でられています。

膳舎(かしわしゃ)から掌典、采女(うねめ)、掌典補約20名によって、脂燭を先頭に削木(けずりぎ)、お手水の具等や葛筥(くずばこ)に納められている数々の神饌を手に手に捧持し、神嘉殿の東階下に立ち並んでお待ちしています。

午後6時、天皇陛下が、純白生絹(すずし)の御祭服で、御冠は立纓(りゅうえい)を特に巾子(こじ)越しに前に曲げて白絹で括った「御幘(さく)御冠」で、出御になり、皇嗣殿下も純白の祭服で、続いて参進されます。

天皇陛下が神嘉殿に出御されると、「おーしー」の警蹕一声があり、陛下がお手水を終えられた後、神饌行立が開始され、次々に神嘉殿内に運び込まれます。

宮内庁の資料によりますと、天皇陛下には神嘉殿母屋の中に独り端座され、まず采女奉仕によるお手水が行われます。

次に運び込まれる神饌を古来伝承の御作法に従い長時間にわたって丁寧に自らお供えになります。

御親供(ごしんく)が終わりますと御拝礼の上、御告文(おつげぶみ)を奏上されて五穀の豊穣を奉謝され、国の平和と国民の安寧を祈らせられます。

この御告文が済みますと、天皇陛下には神々と対座され、神様にお供えしたものと同じ新穀(米御飯・栗御飯)、新酒(白酒・黒酒)を召し上がられます。

この新穀新酒をいただかれることを直会(なおらい)と称します。

暁の儀も夕の儀と同じ儀式が行われます。

天皇陛下の御装束は、純白生絹(すずし)の御祭服で、御冠は立纓を特に巾子(こじ)越しに前に曲げて白絹で括った「御幘(さく)御冠」です。皇嗣殿下も純白の祭服をおめしになります。

ただ、神殿には白い薄い幕が張られ、我々には中の儀式の様子はまったくわかりません。

我々は提灯とたき火の光のみの暗い中、儀式中、一時間半ほど幄舎で着床しています。

最後に総理を先頭に一人ずつ神殿に拝礼します。

神殿の前の真菰(まこも ござのようなもの)の前で一礼し、真菰にのって拝礼、そこから降りて一礼して退下します。八時二十二分

その後、本来ならば参集所で直会ですが、コロナのため、お弁当と白酒(しろき)、黒酒(くろき)をいただいて一度、宿舎に帰ります。

白酒と黒酒は、味は酸っぱく(甘酒の酸っぱいもののような)、どろっとしています。

黒酒は言われてみると灰色がかっているような気がするという程度です。

黒酒は、久佐木という植物を蒸し焼きにして粉末にした灰をつくります。つくります。

この白酒(しろき)、黒酒(くろき)は、各都道府県の精農家からの献穀をもって謹醸され、行われたばかりの新嘗祭(にいなめのまつり)に、皇祖はじめ天神地祇に供進されたものです。

天皇陛下も御告文の奏上が終わると新穀(米御飯・栗御飯)と新酒(白酒・黒酒)を神々と対座されて召し上がられますが、これを御直会と称するそうです。

初穂をお供えし、それを多くの人に分かち、直会を共にすることはいにしえの新嘗祭の豊明節会(とよのあかりのせちえ)と同一のご趣旨と拝察されます。

新嘗祭には皇后陛下、皇嗣妃殿下、妃殿下、内親王殿下、女王殿下方は参列されません。

暁の儀

夜10時35分ごろに参集所に参集します。

服装は同じです。

10時55分ごろに参進し、幄舎に着床します。

我々は、夕の儀と同様、暗い幄舎で1時間半ほどの儀式の間、着床しています。

その後、参集所でもう一度お弁当をいただいて帰ります。

1時過ぎに退出。

宮内庁によれば、神嘉殿にはふだんは神様はいらっしゃらず、夕の儀で神様がいらっしゃり、暁の儀で神様が帰られるのだそうです。



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