チョコレート
2023.08.24
バレンタインデーから半年が過ぎましたが、チョコレートの話題です。
チョコレートの原料は、カカオ豆ですが、これを分離するとカカオニブというものになります。
カカオニブを焙焼、摩砕したものがカカオマス、そのカカオマスを圧搾するとココアバターとココアケーキになり、ココアケーキを粉砕したものがココアパウダーです。
チョコレートと呼ばれるためには、このカカオ分の合計量、すなわち、ココアバターの量、そして「無脂肪カカオ固形分」とよばれるカカオニブ、カカオマス、ココアケーキ及びココアパウダーの量から水分を除いた合計量がそれぞれ一定以上含まれていなければなりません。
日本には、チョコレートとはどういうものかを定義する法令はないので、チョコレートを製造する業界が合意した「公正競争規約」というもので、なにをもってチョコレートというかを規定しています。
ところが、その日本ルールは食品表示の世界基準であるコーデックスやEUの規程と異なっています。
「チョコレート」と呼ぶためには、コーデックスやEU指令では、カカオ分35%以上、そのうちココアバター18%以上、無脂肪カカオ固形分14%以上と定められています。
しかし、日本の公正競争規約では、カカオ分35%以上、ココアバター18%以上は同じですが、無脂肪カカオ固形分の量の規定がありません。
また、日本の公正競争規約には「カカオ分の代わりに乳製品を使用した場合」というコーデックスやEU指令にはないルールがあり、カカオ分21%以上、ココアバター18%以上、乳固形分がカカオと合わせて35%以上、そのうち乳脂肪分3%以上でもチョコレートと呼ばれるとされています。
さらに「ミルクチョコレート」の定義は、コーデックスではカカオ分25%以上、無脂肪カカオ固形分2.5%以上、乳固形分12-14%以上、うち乳脂肪分2.5-3.5%以上、EU指令ではカカオ分と無脂肪カカオ固形分はコーデックスと同一ですが、乳固形分はもう少し厳密に14%以上、うち乳脂肪分も3.5%以上となっています。
日本の公正競争規約では、カカオ分21%以上、うちココアバター18%以上、無脂肪カカオ固形分の規定なし、乳固形分14%以上、うち乳脂肪分3%以上と微妙に違います。
EU指令はほぼコーデックスに準拠しており、日本のルールはカカオ分の代わりに乳製品を多く使用できるようになっています。
これは、カカオをたくさん使わなくてすむ、あるいは苦みが抑えられてこどもにも食べやすいという日本市場の特性や歴史を反映しているのでしょう。
コーデックスやEU指令と日本のルールが違っていても日本の消費者には特に影響はありませんが、もし、日本のメーカーが日本製のチョコレートをヨーロッパをはじめ海外に輸出しようとすると、チョコレートと呼ぶことができないものが出てきてしまいます。
アジアをはじめ、途上国のなかには、コーデックスのルールをそのまま自国の表示ルールにするところもあります。
もし日本のチョコレートを海外市場でも「チョコレート」として販売していこうとするならば、表示の業界ルールを国際ルールにあわせる努力が必要です。
来年のバレンタインデーにはコーデックス基準のチョコレートにしますか、日本基準のチョコレートにしますか。