おすすめの一冊
2023.02.11
2023年最初のおすすめの一冊です。
“Five Decembers” by James Kestrel (邦題「真珠湾の冬」)
ハヤカワミステリの一冊です。
コロナの最中の2021年に出版され、翻訳は2022年12月。
2022年のエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)の最優秀長編賞受賞作品です。
常夏の島ハワイの真珠湾の冬という邦題を見て、なんじゃこりゃと思って手に取ったのがきっかけでした。
もう少し邦題はなんとかならないものでしょうか。
真珠湾攻撃の直前にハワイで起きた日本人女性の殺人を追いかけて、刑事がハワイからミッドウェー、ウェーク、グアム、マニラを経由して香港に。
翻訳だと500ページちかい大作ですが、コナン・ドイルの「緋色の研究」や「四つの署名」、あるいは「探偵ルコック」などと同じように、犯罪が起きて捜査が始まり、途中で犯罪と関係があるけれども別な話が入り、最後に元に戻って犯罪が解決されるというA-B-A’の形式になっています。
太平洋を横断する捜査は、あることから日本にもつながります。
戦前のハワイや香港が丁寧に描かれ、日本も作者が戦前や戦中の様子をしっかり取材して描かれています。
次作も楽しみな作者です。
冬の夜にミステリを読みたくなった時におすすめです。