BA5とワクチン
2022.07.31
新型コロナウイルス感染症の新規感染者の増加が止まりません。
初代ワクチン担当大臣だった私も罹患しましたし、2代目ワクチン担当大臣の堀内詔子代議士も、3代目ワクチン担当大臣の松野官房長官も罹患しました。
今回の第七波を引き起こしている変異株BA5は、免疫逃避を起こしやすく、ワクチンの2回接種や過去の感染により得られた免疫による感染予防効果は低下しています。
アメリカ、イギリス、フランス、スイス、オランダ、ベルギー、イタリア、ドイツ、オーストラリアなどの国々でもBA5による感染、入院が増え続けています。
ポルトガルではヨーロッパの中でもBA4/5が先行して広がりましたが、大きな波にならずに収束に向かっています。
ポルトガルは、15歳から17歳の85%、10歳から14歳の72%、5歳から9歳の30%がワクチンを接種済と世界のトップレベルの接種率です。(日本では5歳から11歳の接種率が16%)
BA5では、ワクチンを2回しか接種していないと、ワクチンによる効果は限られてしまいます。
しかし、ワクチンを3回接種することによって得られる重症化予防効果は、それなりに維持され、BA5に対しても有効です。
ファイザー社のワクチンの場合、3回接種でBA5に対する中和抗体価は接種前の10倍以上に上昇しています。
ワクチンの4回目接種をうけることにより、BA5に対するさらなる重症化予防効果を得ることができるため、リスクの高い高齢者と基礎疾患を持つ人は、積極的に受けるべきです。
カナダのオンタリオ州の長期療養施設での60歳以上の入居者のデータでは、ワクチン未接種者と比べ、4回目接種後7日以上経過すると、重症予防効果86%、感染予防効果49%それぞれ高くなっています。
ハンガリーの調査では、4回目接種を受けると、感染リスクが51%低下し、死亡リスクが93%低下したと報告されています。
ワクチンの4回目接種により、感染予防効果も一時的に向上します。
BA5に対する感染予防効果は6週間から2ヶ月しか続かないとも言われますが、第七波が依然として拡大している中で、その期間だけでも感染を予防する効果を高めることができるのは意味があると考えられます。
特に医療従事者などは、この感染予防効果に期待をして接種するべきです。
この4回目までのワクチンは、当初と同じワクチンです。
今後は、ファイザー社、モデルナ社ともに、オミクロンBA1を対象とした新しいワクチンを開発しています。
このワクチンの治験データをみながら、今後のワクチン戦略を決めていくことになります。