公式法令データ
2021.07.11
これまで政府は、法案の作成・改定など、国の法制執務に利用するe-Laws(法制執務業務支援システム)を構築してきました。
そのe-Lawsに登録されたデータをe-Gov、すなわち電子政府の総合窓口に掲載し、一般に公開しています。
しかし、e-Lawsの法令データは、法令の策定または改正の後のデータ更新が遅いため、最新の条文が、法令の施行後も、すぐに確認できない場合があり、利用者にとっては大変不便でした。
また、法律、政令ともに約5%程度が、所管省庁の認証なしで公開されており、そもそも条文が正しいのかどうか、不安な面もありました。
そのため、内閣法制局の審査においても使用が認められない場合もありました。
これまで直轄チームと関係府省で、この問題を解決すべく、調整を行ってきました。
その結果、法令データを整備する業務フローを抜本的に見直すとともに、法令の編纂についても、本来その所管である法務省が中心となって、法令データを速やかに整備、更新することになりました。
これまでは公布後に官報データから法令データを作成していましたが、今後は、国会提出時のデータから作業をすることになります。
法律については、国会における修正がない場合は、原則として公布と同日に、e-Lawsの更新、そしてe-Govの更新を行います。
まずは、法務省と総務省が共同で、現在の法令データの検証を行います。
さらに、迅速なデータ更新ができるよう、新たな業務フローの試行を今年度中に行い、来年度には、本格的な運用を開始します。
これまでは、官報に公布されたデータから法令データを作成していたため、
*法令データ案の作成は、公布後に開始されていた。
*各省が認証する時には、既に人事異動が行われ、法令作成・改正チームが縮小・解散され、時間がかかる場合が多かった。
*e-Lawsシステムを管理する総務省は、便宜上、法律・政令の溶け込み案作成を事業者委託により代行していたが、所管各省にかわって認証する権限は無いため、未認証と表示した上でデータを公開していた。
(未認証表示のデータ公開は、総務省からの認証依頼から2か月を経過したものについて行っていました。)
今回の見直しにより、法律については、国会提出時の法令データから作成することになるので、
*一般に、法案の提出から成立まで数か月かかるので、その間に作業ができる
*法令改正チームが残っているので、各省の高い認証能力で実施できる
*法令編纂を所管する法務省が責任をもって整備する
ことから、法律については、国会修正がない場合は原則として公布と同日に法令データを公表することとし、未認証で公表することはなくなります。
これまでのe-Laws法令データも政府が提供している法令データに違いありませんが、今後は、設置法で法令編纂を所管する法務省が責任をもって整備することから初めての「公式法令データ」の整備と位置づけています。