イージス・アショア

2020.06.18

イージス・アショアに関する質問をいくつかいただきました。
 
Q イージス・アショアとはなんですか。
 
A イージス・アショアとは、イージス艦の弾道ミサイル防衛に関する装備、すなわち、レーダー、指揮通信システム、迎撃ミサイル発射機などで構成されるミサイル防衛システム(イージス・システム)を、陸上に配備したものです。
 
イージス艦同様に、大気圏外の宇宙空間を飛翔する弾道ミサイルを地上から迎撃する能力を有しています。
 
Q なぜイージス・アショアを導入しようとしたのですか。
 
A 北朝鮮が保有する日本を射程に収める各種の弾道ミサイルから、24時間、365日、我が国を守るために、自衛隊は、イージス艦を運用しています。
 
2017年の夏に、北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返し、弾道ミサイルが日本の上空を飛び越えるという事態まで発生しました。
 
イージス艦は、日本海で弾道ミサイル防衛の任務に就いていますが、艦艇の整備や補給で港に入る必要があり、複数のイージス艦が交代で任務に就く必要があります。
 
また、長期間の洋上勤務が繰り返されることとなり、乗組員の勤務環境は極めて厳しいものとなっています。
 
陸上のシステムであるイージス・アショアを導入することにより、イージス艦の乗組員の負担も大きく軽減され、また、イージス艦を東シナ海などにおける安全確保のための任務に就かせることができるようになります。
 
そこで、2017年12月、国家安全保障会議の議論を経て、政府としてイージス・アショアの導入を閣議決定しました。
 
Q なぜイージス・アショアの配備先は山口県と秋田県なのですか。
 
A SM-3ブロック2Aというミサイルを搭載したイージス・アショアの防護範囲を解析したところ、イージス・アショア二基をそれぞれ秋田県と山口県に配備した場合が、もっとも効果的に日本全国を防護できるという結果になりました。
 
Q なぜイージス・アショアの配備のプロセスを停止したのですか。
 
A SM-3ブロック2Aのブースター(第一段ロケット)は、発射後に切り離されて落下します。
 
このブースターの落下が周辺住民に被害を及ぼすことがないように、ブースターは確実に山口県のむつみ演習場内に落下させると説明してきました。
 
ブースターの落下場所は、イージス・アショアのソフトウェアを改修することで、演習場内に限定できると考えていました。
 
しかし、ブースターを確実にむつみ演習場の中に落とすためにはソフトウェアの改修に加えて、ミサイルそのものの改修も必要だということが明らかになりました。
 
現時点において、具体的なコストと期間について確たることをお答えすることができませんが、ミサイルの改修を行うとなれば、SM-3ブロック2Aの共同開発と同規模程度、あるいはそれ以上の規模となる可能性も考えられ、その場合、少なくともおよそ2000億円のコストと12年という期間が必要になると思われます。
 
これだけのコストと期間をかけて、ブースターの落下場所をコントロールすることができるようになったとしても、ミサイルの性能が向上するわけではありません。
 
我が国周辺の厳しい安全保障環境を考えると、このコストと期間をかけて、この改修を行うことは合理的ではないと判断し、イージス・アショアの配備のプロセスを停止することにいたしました。
 
Q 秋田県の配備プロセスも停止されるのですか。
 
A 秋田県の配備プロセスも停止されます。
 
Q なぜブースターを確実に演習場内に落下できるようにしてから配備先を決めなかったのですか。
 
A 2017年、北朝鮮が繰り返し弾道ミサイルを発射しているなかで、弾道ミサイル防衛の強化は我が国の防衛にとって急務でした。
 
ソフトウェアの改修を終えてから、配備先を決め、配備のプロセスを始めるとなると、相当な時間がかかります。
 
そのため、ソフトウェアの改修の検討と配備に必要なプロセスを並行して行うことといたしました。
 
Q ソフトウェアの改修で、ブースターの落下場所をコントロールできるという当初の認識が甘かったのではないか。
 
A イージス・アショアの導入を決め、日米で協議をするなかで、そう判断いたしました。
 
イージス・アショアに搭載するSM-3ブロック2Aは、日米で共同開発をしたミサイルですが、ブースター部分はアメリカ側が開発したものであったため、ブースターの落下場所をコントロールするためには、アメリカ側の情報が不可欠で、日米の協議を続けていました。
 
Q この決定を受けて、日本の弾道ミサイル防衛をどうするのですか。
 
A 当面は、現行のイージス艦とPAC-3による弾道ミサイル防衛を継続していきますが、すみやかに今後の対応について、国家安全保障会議で議論を進めていきます。
 
Q 今回のイージス・アショアの配備のプロセスの停止は、配備先の地元に反対の声があることも要因になっていますか。
 
A 配備プロセスの停止の理由は上記の通りです。
 
しかし、この配備プロセスのなかで不適切な対応があり、地元の皆様に大変なご迷惑をおかけしたこと、また、大勢の方々にご尽力をいただきながら、このたびの結論に至ったことについては、真摯にお詫び申し上げたいと思います。
 
Q イージス・アショアにかかるコストは総額でいくらですか。
 
また、イージス・アショアの配備プロセスが進んでいるなかで、これまで契約した金額はいくらになりますか。
 
A 配備地が確定していないため見積もることが困難な施設整備費等を除き、現時点で判明している経費としては、イージス・アショア二基の取得費用、要員の教育訓練経費、30年間にわたる維持・運用に必要な経費を合計して約4504億円と見積もっています。
 
また、これまでに契約した金額は約1787億円になります。
 
Q 5月6日に「防衛省『イージス・アショア』秋田市の候補地を事実上断念」というニュースが流れ、防衛大臣記者会見で否定していましたが、これは結局、事実だったのですか。
 
A このニュースは事実ではありません。
 
また、このニュースは今回の配備プロセスの停止とは関連がありません。
 
このニュースは、「防衛省が、当初予定していた秋田市の新屋演習場におけるイージス・アショアの配備を断念し、他の場所に配備するように方針変更した」というものですが、そうした事実はありませんでした。
 
「実施していた再調査の結果を受けてゼロベースで検討する」という防衛省の方針は、配備プロセスの停止まで変更はありませんでした。
 
Q 配備プロセスの停止は、防衛大臣の判断ですか、それとも総理大臣の判断ですか。この決定は、総理大臣の了承を得ているのですか。
 
A 配備プロセスの停止は、防衛大臣が判断し、総理大臣の了承を得たものです。
 
Q なぜ配備の白紙撤回ではなく、配備プロセスの停止なのですか。
 
A イージス・アショアの配備は国家安全保障会議及び閣議で決定されています。
 
防衛省としては、配備のプロセスを停止し、まずは、国家安全保障会議に今般の状況を報告の上、その議論を踏まえて今後の対応を検討して参りたいと考えています。
 
Q そもそもイージス・アショアの導入の決定が誤りだったのではないですか。
 
A 2017年当時の北朝鮮のミサイル発射の状況に鑑み、その脅威から我が国全域を24時間365日防護する態勢を構築するためにイージス・アショアの導入が必要だとした決定は、適切だったと思います。
 



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