防衛予算

2019.12.27

自衛隊が必要とする装備品は、一つ一つが非常に高額で、また契約から配備までに長い時間を要するものが多くなっています。
 
そのため、防衛力整備は、将来の安全保障環境を見据えて、継続的・計画的に推進していかなければなりません。
 
「防衛計画の大綱」(大綱)と「中期防衛力整備計画」(中期防)という2つの中長期の計画を立てた上で、それを踏まえて毎年の予算を組むこととしています。
 
大綱では、おおむね10年程度の将来に必要な防衛力を示し、中期防は、これを実現するために、5年間の防衛力整備の方針や数量を定めています。
 
最近では、平成30年12月に、この2つの計画を新たに作成して閣議決定しており、令和2年度政府予算案は、その2年目のものとなります。
 
中期防を踏まえつつ、その時々の優先順位を考慮して、毎年の防衛予算を組んでいます。
 
防衛予算には、装備品の購入費だけでなく、自衛隊の日々の活動を支える経費や、基地周辺対策に必要な経費なども含まれます。
 
12月13日(金)、令和元年度補正予算案が閣議決定され、防衛省関連では4287億円が計上されました。
 
相次ぐ台風等の災害で被害を受けた施設や装備品の復旧、厳しさを増す安全保障環境等への対応や災害対処能力の向上などに必要な経費です。
 
この補正予算を組むにあたり、予備費の使用とあわせて、私がもっとも力を入れたのが、災害派遣に従事する隊員の勤務環境に関する経費を十分に確保することでした。
 
今年は台風15号、19号など多くの災害が発生し、自衛隊も各地で災害派遣活動に従事しました。
 
派遣された隊員は、被災者の救援を最優先に活動することは言うまでもありませんが、一方では交代でしっかりと休養し戦力を回復してこそ、より効果的な災害救援ができるという面もあります。
 
また活動中も、トイレ等に不自由することがあれば、活動に支障が生じます。
 
このため、予備費や補正予算案において、作業服などの消耗品はもちろんのこと、展開時に使用する簡易トイレ50個(約100万円)や、出動した隊員が使用する簡易ベッド約1万台や収納ボックス約1万個(1億円)などを整備することとしました。
 
12月20日(金)には、令和2年度政府予算案が閣議決定されました。
 
防衛関係費については、総額5兆688億円(SACO・米軍再編関係経費等を除く)を計上しています。
 
第2次安倍政権になってから防衛予算は増加傾向にあり、今回の予算も過去最大の規模となりました。
 
しかし、20年ほど前までは4兆9000億円台だった予算額が一時4兆6000億円台まで落ち込んでいたことを考えれば、ようやく以前の水準に回復してきたものと見ることもできます。
 
国際的に比較すれば、この水準でも多額であるとは言えません。
 
たとえば、購買力平価で換算した国防費と、国防費の対GDP比、の二つの観点から比較すると、以下のようになります。
日 本  487億ドル(0.90%)
米 国 6007億ドル(2.92%)
中 国 3105億ドル(1.25%)
ロシア 1102億ドル(2.72%)
韓 国  502億ドル(2.28%)
豪 州  253億ドル(1.91%)
英 国  514億ドル(1.70%)
 
※ 国防費については、各国発表の国防費を基に、2018年購買力平価(OECD発表値:2019年10月現在)を用いてドル換算。
※ 対GDP比については、各国発表の国防費を基に、IMF発表のGDP値を用いて試算。
 
防衛予算の定義は各国によって異なるため、単純な比較は難しく、特に中国については、公表されていない国防関連支出もあると指摘されています。
 
中期防の2年目に当たる令和2年度予算案では、中期防でも強調された、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力の獲得・強化を図ることとしています。
 
現在の戦闘は、従来の陸・海・空にとどまらず、宇宙領域やサイバー領域なども組み合わせたものになっており、各国ともこの分野での技術の獲得を追求しています。
 
これらの領域は民生分野でも活用されているので、その安定的な利用を妨げられれば国民の安全にも重大な影響が生じるおそれもあります。
 
令和2年度予算案では、宇宙作戦隊(仮称)の新編やサイバー防衛隊の拡充などにより体制を強化するとともに、宇宙空間における状況把握のためのSSA衛星(宇宙設置型光学望遠鏡)の整備や、航空作戦に際して敵の電波妨害を担うスタンド・オフ電子戦機の開発などの能力強化を図ります。
 
あわせて、従来の陸海空の領域においても、戦闘機F-35Bの発着艦を可能にするための護衛艦「いずも」の部分的な改修や、我が国主導の次期戦闘機の開発への着手、総合ミサイル防空能力の強化など、将来の安全保障環境を見据えた防衛力整備に取り組みます。
 
今回開発に着手することとなる次期戦闘機は、F-35やF-15能力向上機と組み合わせて将来の戦闘機部隊を構成して、主として空対空戦闘を担うこととなります。
 
これに必要な性能・能力を長期にわたって保持するとともに、米軍との相互運用性も確保しなければなりません。
 
F-2の退役が始まると見込まれる令和17年に量産初号機の配備を開始できるよう、我が国主導での開発を推進していきます。
 
自衛隊は、装備品を揃えるだけで機能するわけではありません。
 
精巧な機械とシステムから成る装備品は、常に丁寧なメンテナンスを尽くさなければ、動くこともできなくなります。
 
技術の進展に対応するための研究開発も欠かせません。
 
また、どんな装備品も、どれだけ省人化・無人化やリモート技術が発達しても、それを動かすのは、隊員です。
 
有為な隊員をしっかり採用し、教育を通じて高い専門性を身につけさせ、安心して勤務できる生活環境を整え、任務中の負傷にも万全の医療体制をもって備え、一般社会よりも早い定年に備えて退職後の援護も必要です。
 
この各段階に必要な経費をきちんとつけていかなければ、自衛隊は機能できません。
 
私の着任後にもっとも配意したのが、この生活・勤務環境の整備でした。
 
多くの隊員が駐屯地・基地の中に居住していますが、予算を節約する中で、トイレットペーパーなど日々の生活に使用する消耗品が不足しがちです。
 
また、自衛隊の施設には老朽化したものや女性隊員が勤務することを前提としていない施設も多く、これらの改修等も必要となります。
 
こうした経費について、私から麻生財務大臣に直接お願いして、371億円の予算を計上することとなりました。
 
このうち約1億円は、約440万ロールのトイレットペーパーを調達するための予算です。
 
この他に
維持整備費
装備品は、不断に維持整備しなければ、高い可動率を維持することができません。
 
このため、令和2年度予算案では、装備品等の維持整備に必要な経費として、対前年度702億円増(約7.8%増)となる9656億円を計上しました。
 
AIを活用した電波画像識別技術の実証研究(8億円)
常時継続的な情報収集・警戒監視等を効率的に実施するため、目標識別への人工知能(AI)の適用を実証するものです。
 
募集広報用動画の制作・放映費(2.4億円)
少子化・高学歴化の進展により自衛官の募集環境は厳しさを増す一方です。
 
このため、採用広報の充実・強化策として、より多くの募集対象者や保護者の方に自衛隊が就職対象として広く認識していただけるよう、インターネットCMや広告バナーの活用等、広報媒体の多様化に取り組み、インターネット空間等において広く取り上げられることを意識した採用広報動画を作成していきます。
 
自衛隊音楽祭(0.4億円)
「自衛隊音楽祭」には今年も多くの方々にご来場していただきました。
 
来年も、一人でも多くの方に隊員の訓練の成果をご覧いただけるよう、関連経費を計上しました。
 
能力構築支援(3.6億円)
「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンの下、地域の安定化のため、自衛隊が有する知見を活用して、インド太平洋地域の各国等に対して、人道支援・災害救援や海洋安全保障分野等における能力向上や人材育成支援などに取り組んでいます。
 
防衛医科大学校病院におけるクレジットカード払いに係る経費(約800万円)
社会全体でキャッシュレス化が進む中、いまだに防衛医大病院での支払いは現金のみとなっておりました。
 
利用者の利便性向上等のため、来年度からクレジットカードでの支払いができるよう、関連経費を計上しました。
 
防衛大学校のグラウンド整備(約600万円)
防衛大学校のグラウンドを人工芝にする事業について、当初計画を約3年圧縮して早期化し、防衛大学校の教育訓練環境の改善を図ることとしました。
 
将来の自衛隊の根幹を担う学生たちの教育訓練効果を高めるとともに、横須賀市から災害時の広域避難場所として指定されている防衛大学校の防災拠点としての強化にもつながります。
 
防衛研究所の戦史資料に関連する費用
防衛研究所では、約16万冊に及ぶ希少な戦史資料を保有しており、現在も多数の寄贈を受けています。
 
その整理・保管の一環として、以下のような取組も行っています。
 
展示用史料の整備(戦史資料レプリカ)(60万円)
防衛研究所の市ヶ谷地区移転に伴い、旧陸海軍省公文書を主とした歴史的価値の高い史料のレプリカを作成しています。
 
戦史史料の整理(0.1億円)
戦後80年以上がたち、戦史資料の多くが老朽化しています。貴重な史料を後世に継承するとともに一般公開できるよう、1冊1冊ていねいに補修や脱酸処理、内容の確認などを行っています。
 
史料庫の燻蒸(70万円)
貴重な史料を虫害やカビから保護するため、史料庫内の燻蒸を行います。
 
このほか、戦史資料室の貴重な史料をより多くの方々に活用していただくため、土日にも開庁できるよう準備を進めています。
 



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